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■2016年読書メモ(1月~3月)

年々読む量が減っているのは、通勤時に読むことがなくなってしまったことと、家では海外ドラマか映画ばかり見ているせいか。読むつもりの本は机に積んであるものの、ほとんど減らない(幸か不幸か本を買う量が激減しているのではあるが)。何かのきっかけにでもなればと思い、簡単な読書メモを作ってみることにした。読んだ本のジャンルはとりとめもないが、フィクションは少ないはず。とりあえず今年の1月から3月までの3か月間分である。27点、月平均9点(2001年から2015年までの月平均は16.5点だった)。

便宜的にほぼ読了した順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、読んだすべてではない可能性もある。なお、一応巻頭から奥付まで目を通したもののみとする。

 

記載方法は、かつても記したことがあるので、こちらを参照されたい。



1月

[1] 藤森照信、山口晃『探検! 東京国立博物館:藤森照信×山口晃』淡交社、2015121日、1700円+税 [注×文×索×]

※『藤森照信×山口晃 日本建築集中講義』(淡交社、201386日)の続編らしく、東博の建築面がもっぱら語られる。藤森氏の一方的な話ばかりで、山口氏は相槌とイラスト程度。黒門の横のヒマラヤ杉は<周囲の広葉樹を圧迫して、全部枯らしている。・・・早く切らないと巨木になるから、トーハクのためにも、生態系のためにも、早く切ったほうがいい。>(p.135)という藤森氏の発言は重要では。

[2] 山下裕二(講師)、橋本麻里(聞き手)『驚くべき日本美術』集英社インターナショナル(発売:集英社)、知のトレッキング叢書、20151031日、1600円+税 [注×文×索×]

※美術の見方を示唆してくれる。例えば<宅配便で送ってこられたらうれしいか迷惑かで、かなりの価値判断ができます。>(p.60)――これって、いつも展覧会でカミさんと二人でやっている!

[3] 小林泰三『誤解だらけの日本美術:デジタル復元が解き明かす「わびさび」』光文社新書、2015920日、1020円+税 [注△文×索×]

※俵屋宗達の「風神雷神図屏風」、キトラ古墳壁画、銀閣寺、興福寺の「阿修羅像」をデジタル技術で再検討。特に本来の阿修羅像は今の姿と異なり、実は合掌していないという仮説の復元はうなずかせる。

[4] 田坂憲二『名書旧蹟』 日本古書通信社、2015331日、2500円+税 [注×文×索×]

※署名本、文学全集、装丁などにまつわるエッセイ集。

[5] 小島隆雄『小島隆雄のミニチュアワークの世界 決定版』学研パブリッシング、2015811日、1800円+税 [注×文×索×]

※ドールハウス作品集。刑事ドラマの「CSI7」でたびたび犯行現場のドールハウスが出てくるのだが、それよりもはるかに上手。巻末には、簡単な作り方と床や壁の表現方法がついている。

[6] 植田樹『諜報の現代史:政治行動としての情報戦争』彩流社、2015715日、3500円+税 [注×文×索×年表△]

※著者は元NHKモスクワ特派員。スパイに関するさまざまな話を万遍なく網羅するが、どちらかといえばエピソードの羅列。部分的に引用の出典は表示されるが、大半の情報の出典表示や注記もない。

[7] 高橋明也『美術館の舞台裏:魅せる展覧会を作るには』ちくま新書、20151210日、780円+税 [注×文×索×]

※三菱一号館美術館館長による、美術館活動・運営の紹介。日本の展覧会では、メディア側にマネジメントの実権を握られ、美術館学芸員にそのスキルやノウハウが蓄積されなかったことを顧みて、「展覧会マネジメント」というプロジェクトマネージャーを置いた(pp.51-3)。最近のガラス張り美術館を見ると、著者は「ああ、建築家がイニシアティブを握ったんだな」と思うそうだが(p.116)、まさにそう。随所にうなずける指摘があり、示唆的でもある。

[8] 片田珠美『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』朝日新書、2015930日、760円+税 [注×文×索×]

※フロイトを頻繁に引用しているので、どうやらフロイト派の精神科医か。嘘を見抜くための方法を示すが(第5章)、一見容易そうで実はなかなか難しい。何度か推理小説でも用いられる方法であるというが、フィクションの世界と現実では大きい隔たりがあるのだが。

[9] 多田文明『「絶対ダマされない人」ほどダマされる』講談社+α新書、2015917日、840円+税 [注×文△索×]

12種の詐欺タイプを例示。それぞれに簡単な対処法を述べるが、引っかからないのはかなり難しい。巻末に詐欺の最近傾向をまとめる。参考文献は自著を6点挙げただけ。

 

2月

10 ダン・ジュラフスキー/小野木明恵訳『ペルシア王は「天ぷら」がお好き?:味と語源でたどる食の人類史』早川書房、ハヤカワ・ノンフィクション、2015920日、2200円+税 [注○文◎索×]

Dan Jurafsky, The Language of Food: A Linguist Reads the Menu, 2014

※メニューや商品広告など食にからむ言葉から言語学的に何が読み取れるかが主題であって、語源からたどる食の人類史はそのごく一部なので、邦題は不適切。なお、注は本文中に指示がないため、注から本文を探すという変則技を強いられる。

11 安村敏信『線で読み解く日本の名画』幻戯書房、2015710日、3000円+税 [注×文×索×]

※主に江戸期の絵師の描く線について解説。とても参考になるのだが、もっと参照すべき絵を大きく見たかった。ただし、絵の画像データを適切に入手できなかったのか、白隠の「すたすた坊主」(p.159)など粗い画像のままなのはいかがなものか。

11 渋谷高弘『中韓産業スパイ』日本経済新聞出版社、日経プレミアシリーズ、2015119日、870円+税 [注×文×索×]

※表題は必ずしも適切ではない。むしろ中韓に限らない日本企業に対する産業スパイの実態を垣間見るといったところ。新聞記事以外出典表示なしだが、こういう分野の本こそ情報源の確かさが求められる。

12 河原一久『スター・ウォーズ論』NHK出版新書、20151110日、780円+税 [注×文×索×]

※映画「スター・ウォーズ」にまつわるさまざまな裏話。

13 永田生慈監修・著『北斎クローズアップ3 江戸の美人と市井の営み』東京美術、20151030日、2500円+税 [注×文×索×]

※シリーズ3冊目。部分拡大はいいのだが、元の画像データに限界があるためにときどき粗い状態なのは残念。

14 福永篤志『その症状は天気のせいかもしれません:医師が教える気象病予防』医道の日本社、20151030日、1500円+税 [注△文×索×]

※著者は医師で気象予報士。ただし文献の注記はあるものの、記述は簡略に過ぎ、なぜ?という疑問に応えない。なお本文が丸ゴシック体で組まれているが読みにくいことおびただしい。

15 上村信太郎『山の不可思議事件簿』山と渓谷社、20151015 日、900円+税 [注×文△索×]

※『山のふしぎと謎』(大陸書房、1991年)を全面的に加筆・修正し、書き下ろしを加えて再構成したものという。山にまつわる奇談を集めたものだが、出典は一部本文中で触れているもののすべてではなく、巻末の参考文献も簡略。挿入されたイラストも稚拙。

16 ナショナル ジオグラフィック編『ナショナル ジオグラフィック 秘密の地下世界』日経ナショナル ジオグラフィック社、20151222日、1800円+税 [注×文×索×]

※ほとんど写真集。タイトルに相違して、内容はごくあっさりと。

17 佐藤健寿『奇界紀行』KADOKAWA20151225日、1800円+税 [注△文×索×]

※写真はすべてモノクロ表示。取材の裏話的な内容。

18 ロン・ミラー/日暮雅通・山田和子訳『宇宙画の150年史:宇宙・ロケット・エイリアン』河出書房新社、20151230日、3800円+税 [注×文△索○]

Ron Miller, The Art of Space: The History of Space Art, from the Earliest Visions to the Graphics of the Modern Era, 2014

※実に素晴らしい宇宙画の数々。子供の頃なら飛びついてしまっただろう。あえて瑕瑾を言えば、レイアウト優先のためか、一部の絵がかなり小さくてよく見えないのが残念。

19 村上宣寛『あざむかれる知性:本や論文はどこまで正しいか』ちくま新書、20151210日、800円+税 [注○文△索×]

※「もっとも信憑性の高いのは、ランダム化比較試験をメタ分析という統計技法でまとめたレビュー論文(システマティック・レビュー)である。特定の仮説がどの程度支持できるかに関して多くの論文を効果量という数字でまとめ上げている。それで、つまみ食い的でない、比較的公正な結論が得られる。」(p.10)この観点から、「なぜダイエットは難しいか」「健康で長生きするには」「仕事での間違った思い込み」「幸福になるには」の4テーマに関し、さまざまなメタ分析結果を紹介する。その結果「世の中に流通している健康に関する情報のほとんどは間違いである」(p.11)し、「幸福感の研究を先導したポジティブ心理学は、…願望と科学が半々に混じり合った疑似科学であった」(p.12)。

 

3月

20 笹原宏之『日本人と漢字』集英社インターナショナル、知のトレッキング叢書、20151130日、1100円+税 [注×文△索×]

※これまでの著者の本と内容的には重複するところもあるが、「漢字が変わる、漢字を変える」(p.159)をテーマにさまざまな具体例を挙げて、日中韓の漢字への思い入れと扱いの違いなど読ませる。

21 トラヴィス・マクデード/矢沢聖子訳『古書泥棒という職業の男たち:20世紀最大の稀覯本盗難事件』原書房、2016128日、2500円+税 [注◎文×索×]

Travis McDade, Thieves of Book Row: New York’s Most Notorious Rare Book Ring and the Man Who Stopped It, 2013

※昨年読んだマイケル・ブランディング『古地図に憑かれた男:史上最大の古地図盗難事件の真実』(青土社、2015410日)の古書版だが、ともに「最大」を謳うのはやめてほしい。古地図にしても古書にしても、逮捕されてもたいした罪にならず、盗み得となってしまうため、今に至るも後を絶たない。今回の本では、犯人を罰する以前にとにかく盗まれた本を回収することと、盗んだ者以上にそれを買い取って高く転売する古書ディーラーを捕まえようとする。なお、本書では外から襲う泥棒の話ばかりだが、その実、少なからぬ図書館員自身が泥棒でもあるそうだ(p.81)。

22 平井紀子『図書館員のための解題づくりと書誌入門』日外アソシエーツ、2016125日、1850円+税 [注△文△索○]

※服飾史関連の解題作成の経験談のみで、参考になるところは乏しい。誤記・誤植が散見され(例:p.111,l.4年を獲得→都市を獲得)、さらに海外の書籍タイトルのイタリック表示のところを単なる斜体で済ませているため、読みにくい。

23 松井文恵、安田茂美『写実絵画とは何か?:ホキ美術館名作55選で読み解く』生活の友社、2015111日、1800円+税 [注×文△索×]

※安田茂美・松井文恵『写実絵画の魅力:世界初写実絵画専門美術館「ホキ美術館」に見る』(世界文化社、20131125日)の続編。女性像・風景画・静物画・男性像の4編で構成。それぞれに西洋での略史を述べて、写実画のルーツを紹介しており、なかなかよくできている。

24 森誠『なぜニワトリは毎日卵を産むのか:鳥と人間のうんちく文化学』こぶし書房、〈私の大学〉テキスト版720151220日、2000円+税 [注○文×索×]

※講義のネタ帳の欄外に記しておいた「どうでもいい話」というが、あちこち話題は飛ぶものの、面白い話が満載。文字通り「うんちく文化学」を堪能できる。なによりも素晴らしいのは、とめどもないうんちくがすべて注記の形で出典を表示していること。一部の図版が思い出したかのようにカラーとなる。

25 宮下規久朗『しぐさで読む美術史』ちくま文庫、20151210日、760円+税 [注×文○索×]

※<美術に登場する代表的な身振りや動作を紹介する>本であるが、残念ながら類書はこれまで日本にはなかった。雑誌連載をまとめたもので、記述はそれぞれ簡潔なものだが、美術作品中のしぐさからどう読み解けばいいのか参考になる。気になったのは、200点以上の作品図版に一切画像のクレジットがなかったこと。著作権関係の表示もないところから、編集者はどうやら無視したらしい(すべて美術書から複写か)。リキテンスタイン(p.141)の著作権管理者あたりが知ったら、発行停止&全数回収&賠償金請求されること必定だろう。

26 小倉明彦『お皿の上の生物学:阪大出前講座』築地書館、2015910日、1800円+税 [注◎文○索×]

24とともにとても楽しめた、生物学の範囲を超えたうんちく本(こういった楽しい講義を阪大の学生は楽しめているのかな?)。なお、巻末の参考文献は、実際には出典表示。

27 岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美『『罪と罰』を読まない』文藝春秋、20151215日、1550円+税 [注×文×索×]

※『罪と罰』を読まずにどのような小説かを語り合うという、飲み屋での冗談を本にしたようなもの。もっと妄想たくましくしてくれれば面白かったのだが。なお、p.240で<ドストの亡き奥さん、超魅力的な女性なんですね。>の「ドストの亡き奥さん、」だけがポイントが下がっているのだが、校了間際に1文字多くなったので、無理矢理小さくして詰め込んだらしい(元々9文字分の箇所に何らかの赤字が入って1文字増えたため、本来10ポイントだったのを9ポイントにここだけ下げて修正した模様)。

 

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