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■2016年2月展覧会総括

20162月に見た、主に美術関連の展覧会7件(1月から通算10件)について個人的な感想と評価を記した。あくまでも主観的なものである。また騒音・混み具合などは、たまたまその時だけの現象かもしれない。

配列は見た順であって、会期順ではない。

 

◆評価ポイント ★★★★★(5)・・・(1)までの5段階評価

A:展示内容(作品、解説)・構成・展示品の質

B:展示方法・動線設計・照明

C:雰囲気・騒音・混み具合

 

2月

 

 Ohara_Tokinbi_201601 001

●国立新美術館 「はじまり、美の饗宴展:すばらしき大原美術館コレクション」 会期:1/204/4

A★★★☆☆ B★★★☆☆ C★★☆☆

*残念ながら未だに大原美術館へは行ったことがない。もしかすると一生行けないかもと思って、展覧会に行ってみた。必ずしも大原美術館のベストがすべて揃えられているわけではないだろうから、一概には言えないが、気に入った作品とそうでないものとあった。エル・グレコの《受胎告知》は、今まで印刷物でしか見ていなかったのが、現物を見てあまりの発色の違いに驚かされたり、ゴーギャンの《かぐわしき大地》の赤いものが何か不審に思っていたら実はトカゲの羽だということを知ったり、安井曾太郎の《外房風景》が意外によかったり、最近のものでは北城貴子の《Reflectionmuison-so-》とか町田久美の《来客》などはいい絵だった。

なお、一部の作品のライティングが悪く、シャヴァンヌの《幻想》など、上半分がハレーションを起こしてほとんど見えず。

 

 Sobue_Hibiya_201602 001

○日比谷図書文化館 「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」 会期:1/233/23

A★★★☆☆ B★★★☆☆ C★★★☆☆

*常にユニークな発想のブックデザインをしてくれる祖父江慎。当然展覧会という形態も、どこかで崩してくれるわけだが、展示自体は思ったよりはおとなしかった。それでも、さまざまな仕掛けをして、ブックデザインの細部にこだわる姿勢はよく伝わってきた。

面白いことに、祖父江氏が監修を務めた凸版文久体の紹介がパネルその他で結構大々的に出ていたこと。本展が共催DNP文化振興財団で実態は大日本印刷そのものだから、大日本印刷が凸版印刷の宣伝をしてあげたことになる。惜しむらくは祖父江氏流に書体を弄り回したので、凸版文久体は全然使えない書体になってしまったのだが。

 

 OnchiKoshiro_Kinbi_201601 001

○東京国立近代美術館 「恩地孝四郎展:形はひびき、色はうたう」 会期:1/132/28

A★★☆☆☆ B★★★☆☆ C★★★☆☆

*個人的には恩地孝四郎の版画作品にはあまり興味はなかったのだが、ちょっと期待していたのが、彼の円本時代のブックデザインの前提がどのようなものだったのかを知るヒントがありはしないかということだった(版画の作風とはあまりにも異なっているので)。残念ながら、『泉鏡花集』(春陽堂、1929年)や『千夜一夜詩集』(同、1931年)は展示しながら、肝腎の円本の代表作である『近代劇全集』(第一書房、192730年、全43巻)や『日本児童文庫』(アルス社、192730年、全76巻)を展示していないし、やはり昭和初期の恩地のブックデザインと同時期の版画作品との関係はよくわからないまま。

ちょっと面白かったのが《『氷島』の著者(萩原朔太郎像)》という木版画。1943年の作品だが、後年関野準一郎と平井孝一が別々に摺っている。当初の摺りと合わせて3種あるが、これが同じものとは到底言えないぐらいに異なった出来栄え。摺りによってここまで違うのかといういい例か。

 

 YoukosoNihonhe_Kinbi_201602 001

○東京国立近代美術館 「ようこそ日本へ:1920-30年代のツーリズムとデザイン」 会期:1/92/28

A★★★★ B★★★☆☆ C★★★

*これは思わぬ掘り出し物企画。日本から朝鮮・満州などへ、また外国から日本へ、観光キャンペーンが打たれた192030年代。南満州鉄道や日本郵船・大阪商船などの船会社、JTBや政府機関が作ったポスター・グラフ誌・パンフレットなどで、そのビジュアル・コミュニケーションのありようを見せてくれる。デザイン表現は、レトロなものもあるが、一方でヨーロッパ、ソ連などの新しい技法を取り入れた当時としては最先端の表現も。コンパクトな展示だったが、なかなか見応えあり。

 

 MajonoHimitsu_Lafore_201602 001  Majo_Zuroku_201602 001

ラフォーレミュージアム原宿 「魔女の秘密展:ベールに包まれた美と異端の真実」 会期:2/193/13 ◆図録購入

A★★☆☆☆ B☆☆☆ C★★☆☆

*さほど展示点数は多くない。残念ながら展示のコンセプトが子供だましのせいか、せっかくドイツの各所から借りてきた絵画や道具類(レプリカ含む)・書籍などが、十分に活かされない展示となった。それでも『魔女の鉄槌』Malleus Maleficarumの原書を2点垣間見ることができたのはうれしかったが。解説は小学生レベル向けと一般向けの2種類だったが、後者はもう少し内容のある解説にすれば、展示の稚拙さが多少なりともカバーできたかもしれない。

 

KatsukawaShunshou_Ohta_201602 001  

○太田記念美術館 生誕290年記念 勝川春章:北斎誕生の系譜」 会期:2/23/27

A★★★☆☆ B★★★☆☆ C★★★☆☆

*開催当初に、実は勝川春章の生年が17年も遅くなる説が浮上してきて(『朝日新聞』2016210日夕刊)、生誕290年記念が危うくなってしまったのだが、ラフォーレの近所なので行ってみる。展示は春章の作品のみならず、北斎(勝川春朗)を含む勝川派の何人もの弟子の作品も含めて構成。春章が描いた役者の大首絵は、まさに写楽を先取りした構図。春章自身の役者絵から武者絵・相撲絵へと広がる流れを示してくれたが、弟子に至ると細部ではさまざまに変化を遂げることも実感。

 

 EnglishGarden_Panasonic201601 001

●パナソニック汐留ミュージアム キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々」 1/163/21

A★★★★ B★★☆☆☆ C☆☆

*以前、キャシィ・ウイリスとキャロリン・フライによる『キューガーデンの植物誌』(原書房、20156月)を読みかけたままにしてしまったが、ボタニカルアートはまずもって画家の観察力が問われるものなので、ぜひ見たかった展覧会。展示はやや断片的だったが、見応えのある力作も多い。ただし、描かれている植物自体についての解説は皆無なので、例えばウィリアム・モリスの壁紙の一つに「チューリップ」と表示していたのは、明らかに葉の形状が異なるので別な植物であろうということに思いが至らない(花も思いっ切りデフォルメしているのだが)。なお、『フローラの神殿』に収録された植物画は、印刷物では非常に精緻に描かれたという印象だったのだが、現物を見ると意外にラフな描き方が多かった。

会場で気になったのは、中年女性の二人連れが入ってすぐの作品の前で、大声を上げながら作品とは無関係な世間話に打ち興じていたこと。作品についての話なら、しゃべっていても一向に構わないと思うが、世間話なら外でやってほしいもの。あと、狭い会場なのでやむを得ない面もあるが、動線設計がまずく、壁沿いに見ていくと、最後に戻る羽目に。

 

◆ランチ◆

パナソニック汐留ミュージアムのあと、日本橋のマンダリンオリエンタルホテルの37階にある広東料理の店センスに行き、週末のみの飲茶ランチを。遅い時間だったにもかかわらず、かなりの混みよう。いただいた飲茶はどれも優しい味で、とても美味。久し振りの中華でしたが、満足でした。


 

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隠居生活続行中。

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