■2016年3月展覧会総括
2016年3月に見た、主に美術関連の展覧会4件(1月から通算14件)について個人的な感想と評価を記した。あくまでも主観的なものである。また騒音・混み具合などは、たまたまその時だけの現象かもしれない。
配列は見た順であって、会期順ではない。
◆評価ポイント ★★★★★(5)・・・★☆☆☆☆(1)までの5段階評価
A:展示内容(作品、解説)・構成・展示品の質
B:展示方法・動線設計・照明
C:雰囲気・騒音・混み具合
3月
●サントリー美術館 「没後100年 宮川香山」 会期:2/24~4/17 ◆図録購入
A:★★★★★ B:★★★★☆ C:★★★★☆
*宮川香山というと、リアルな造形で装飾する高浮彫による超絶技巧を凝らした真葛焼ばかりをイメージしてしまうし、実際本展でもそうした作品は多く楽しめたのだが、実はそればかりではなく、繊細で青磁のような優美で華麗な作品も作っていたことに感動した。どうやら明治10年代半ば頃から釉薬と釉下彩の研究に取り組み、真葛焼を陶器から磁器に切り替えていったそうだ。それにしても展示されている作品のほとんどは、田邊哲人氏個人のコレクションになるもの。1000点ほどお持ちだそうだが、すごいものです。
◆ディナー◆
久方ぶりにフィオッキへ。近所なのでランチのことが多いのだが、今回はディナーで「シェフおまかせ旬菜コース」をいただく。ランチでいつも楽しみにしているガラスの大皿に盛り付けた前菜が夜のコースにはないのは惜しいが、各種の皿に分散させたと思えばいいのか。料理数は多いものの、あまり多くなくちょうどよい分量。
●東京都庭園美術館 「ガレの庭:花々と声なきものたちの言葉」 会期:1/16~4/10 ◆図録購入
A:★★★★☆ B:★★★★☆ C:★★★★☆
*アール・ヌーヴォーの立役者であるエミール・ガレ。その作品のモチーフになったのは植物が中心で、昆虫や魚なども。厖大な植物を専用の庭で育てていたガレらしく、植物は写実的であったりデフォルメされていたり多彩に描かれている。面白いのはデザイン画の残っている作品があったことで、立体物のデザインの描き方がよくわかる(デザイン画はオルセー美術館蔵、作品は北澤美術館蔵)。
◆ランチ◆
庭園美術館の後、近くの周中菜房 白金亭の1階茶寮へ。そこそこの味でカミさんは気に入ったようだったのだが、食器などはあまり清潔とは言えず残念。
●LIXILギャラリー(東京) 「薬草の博物誌:森野旧薬園と江戸の植物図譜」 会期:3/3~5/21
A:★★★☆☆ B:★★★☆☆ C:★★☆☆☆
*とても素晴らしい植物図譜の数々だし、解説も簡潔でよいのだが、狭いスペースでも本草書を並べるとやはり苦しい。一部複製だったり、江戸期のものの大正期復刻版だったりしていた。無料なのはありがたいのだが。
●江戸東京博物館 「レオナルド・ダ・ヴィンチ:天才の挑戦」 会期:1/16~4/10
A:★★☆☆☆ B:★★☆☆☆ C:★★☆☆☆
*大味な構成の展示。なにしろ目玉がダ・ヴィンチの《糸巻きの聖母》しかないので、周辺のモノをどう取り繕うかにかかっているわけだが、とりあえず集めてみましたレベルでしかなかった。