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■2015年8月展覧会総括

20158月に見た、主に美術関連の展覧会8件(1月から通算46件)について個人的な感想と評価を記した。あくまでも主観的なものである。また騒音・混み具合などは、たまたまその時だけの現象かもしれない。
配列は見た順であって、会期順ではない。
 
◆評価ポイント ★★★★★(5)・・・☆☆(1)までの5段階評価
A:展示内容(作品、解説)・構成・展示品の質
B:展示方法・動線設計・照明
C:雰囲気・騒音・混み具合
 
8月
 
 Kutani 001
東京ステーションギャラリー 北陸新幹線開業記念 九谷焼の系譜と展開:交流するやきもの」 会期:8/19/6
A★★★☆☆B★★☆☆C★★★☆☆
*古九谷は少しも余白を残さずに塗りこめてしまう強迫観念症が苦手なのだが、三代徳田八十吉の作品を見て驚いた。微妙に異なる色釉を虹のようにグラデーションをつけながら塗り分けていく技術。形も実用を排し、徹底して飾ることに特化。8点ほど展示されていたが、もっと作品を見てみたいもの(まもなく北國新聞社出版局編『九谷よ永久に:八十吉四代』北國新聞社出版局が出るらしい)。明治の輸出用九谷のなかでは、永楽和全による《金襴手鳳凰文鉢》が鮮やかな色彩と形状で素晴らしい仕上がり。

 Suntory_Fujita 001
サントリー美術館 「藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美」 会期:8/59/27
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
*藤田美術館には未だに行く機会がないのだが、ようやく主な収蔵品を見ることができた。メインはタイトルにあるように《曜変天目茶碗》らしいし、それなりに反射して映った光の輝きはとてもよかったものの、展示にもう少し工夫が欲しかった。むしろ、丁寧な解説をつけた《地蔵菩薩立像》の方が素人にもよくわかる展示となっていた。今回とりわけて見たかったのは《玄奘三蔵絵》。以前、『日本の絵巻 続46 玄奘三蔵絵伝 上~下』(中央公論社)で眺めてはいたものの、現物は初めて。残念ながらごく一部に留まった。
 
ホテルオークラ本館 「美の宴:第21回 秘蔵の名品 アートコレクション展 会期:8/3~8/20
A★★★☆☆B★★☆☆C★★☆☆
*「秘蔵の名品」というので、てっきりホテルオークラ所蔵という意味かと誤解していたが、大倉集古館所蔵品は若干で、大半は外部からの借用。テーマが曖昧で、日本画ばかりではなく、洋画、それもマティスまであって焦点のボケた展覧会ではあった。しかし、何よりも争う軍鶏を描いた竹内栖鳳の《蹴合》(1929:大倉集古館蔵)が最高に良かった。1930年にローマで開かれた日本美術展に出品された作品で、隣にあった栖鳳の弱々しい別の軸物とは大違い(ただし、どうやら以前大倉集古館で行なった展覧会で見ていたはずらしいのだが、全く記憶になかった)。この1点だけでも見た甲斐があった。
 
◆ランチ◆
ホテルオークラを出て、神谷町駅近くのビストロチカラでランチを食べる。狭い店内で空調が効きすぎ。鴨のコンフィにフライドポテトを大量に添えてきたのには驚いた。マックじゃないんだから。

 Kinbi1506 001
東京国立近代美術館 「これからの美術館事典―No Museum, No Life?:国立美術館コレクションによる展覧会」会期:6/169/13
A★★☆☆B★★☆☆C★★★☆☆
*展示アイデアとしてはとても面白いが、残念ながらやや空回りのところが多く、何を示したかったのか不明。学芸員たちの自己満足か。「美術館事典」というなら、事典の意味と役割をしっかり考えてから、企画をたてるべきだった。
 
東京国立近代美術館 MOMATコレクション:誰(た)がためにたたかう?」会期:5/26~9/13
A★★★★B★★★☆☆C★★★★
*同時開催の所蔵品展はかなり充実していた。とりわけ川端龍子《草炎》(1930)は、今回のなかでベスト作品。これまでは川端龍子の作品を少し軽く見ていたが、普通にある雑草ですら黒地にごくわずかに彩色されて浮き上がるようになっており、これには圧倒された。また藤田嗣治の戦争画《哈爾哈河畔之戦闘》《アッツ島玉砕》の2点はどれも秀逸。他のいかにもという戦争画(ほとんど戦後のプラモデル箱絵同然)と明らかに違いを感じる。ただし、戦争画などが展示されているにしても、特集テーマ「誰がためにたたかう?」ですべてを総括するにはやや無理が。
 
Idemitsu_momoyama1508 001 
出光美術館 「日本の美・発見X 躍動と回帰:桃山の美術」 会期:8/810/12
A★★☆☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
*期待したよりはあまり感動するような作品には出会えず。長谷川等伯の《竹鶴図屏風》は見たかったのだが、期間が合わず、その代り等伯の《松に鴉・柳に白鷺図屏風》を見ることができて、これはよかった。桃山らしさでは<歪み・割れ・平らかさ>をキーワードとして掲げていた。代表例として挙げられているのは、チラシにも掲載している《伊賀耳付水指》のように土作りに失敗してへたってしまったような作品。明らかな失敗作なのだが、景色が良いという言葉で逆転の価値創造をしてきたわけだが、所詮失敗作に過ぎない。同じことは光悦の《赤楽兎文香合》も、実際は失敗作に過ぎなくとも、権威者が評価すると右へ倣えと、重要文化財になってしまった。
 
Saitamakinbi_Kinetic1507 001
埼玉県立近代美術館 「キネティック・アート:動く、光る、目がまわる!」 会期:7/49/6
A★★☆☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
Kinetic Art in Italy 1958-1968という英文タイトルの方がこの展覧会の内容を的確に示す。イタリアにおける10年間ほどの期間に試みられた「動く芸術」運動だ。しかし展示作品からも見て取れるように、一時的には素晴らしいアイデアに酔いしれたあげく、たちまちマンネリ化し、陳腐化してしまったのであろう。いかに精緻に作り上げようとも、所詮ははかない夢だった。展示品には作者略歴は律儀に掲げられているが、それ以外の解説はごく簡単。
 
埼玉県立近代美術館 「MOMASコレクションII」 会期:7/1810/4
A★★★B★★★☆☆C★★★☆☆
*収蔵品展。小特集の一つが小泉喜八郎の作品展示。なかでも《草 夏》(1995年)、《草 冬》(1997年)という大作の、その精緻な描写力に感動。いくつかそれらの習作に近い作品などもあって、数少なくとも充実。タイガー立石(立石大河亞)のイタリア時代のさまざまな作品も、コミカルな中にしっかりとした美学を感じた。
なお埼玉県立近代美術館には椅子のコレクションがあり、展示されている椅子に座ることができる。ムサビの椅子コレクションは有名だが、それはただ見るだけなので大違い。今回はガエターノ・ベシェの《ドンナ》という大きな椅子を試してみました。


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Author:夢幻庵主人
隠居生活続行中。

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