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■2014年5月展覧会総括

20145月に見た、主に美術関連の展覧会8件(201415月では計34件)について個人的な感想と評価を記した。あくまでも主観的なものである。特に騒音・混み具合などは、たまたまその時だけの現象かもしれない。
配列は必ずしも会期順ではない。
 
◆評価ポイント ★★★★★(5)・・・☆☆☆☆(1)までの5段階評価
A:展示内容(作品、解説)・構成・展示品の質
B:展示方法・動線設計・照明
C:雰囲気・騒音・混み具合
 
5月

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サントリー美術館 「のぞいてびっくり江戸絵画:科学の眼、視覚のふしぎ」 会期:前期3/29~4/22/後期4/23~5/11
A★★★★B★★★☆☆C★★★☆☆■図録購入(前回)
*前期と後期とではほとんどの作品が展示替えとなるため、5月に再び後期を見に行く。今回、図録の表紙に大きく描かれている河鍋暁斎の化け猫の絵(<惺々狂斎画帖>より)にようやく会えた。図録や館内ディスプレイにも大きく出ていたので、現物もさぞかし大きいのかと思っていたら、あまりにも小さくて拍子抜け(12.8×17.6cmB6よりちょっと小さい程度)。さすが暁斎、それほど小さい絵でも極端な拡大に十分耐えられる絵であるわけだ。
前期で見ることができなかった絵などもあって、そこそこ楽しめたものの、最初の感動までには至らず。
 
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●山種美術館 「富士山世界文化遺産登録記念 富士と桜と春の花」会期:3/11~5/11
A★★★☆☆B★★☆☆C★★★☆☆
*これはあまり期待せずに訪問。それでもなかなかいい富士山や桜の絵もあって、楽しめた。
富士山の絵としては、加藤東一の<新雪富士>、松尾敏明の<湧雲富士>、川崎春彦の<霽るる>、小室翠雲の<富士草花図>など。桜や春の花の絵としては、奥村土牛の<醍醐>、加山又造の<夜桜>、鈴木其一の<牡丹図>、川端龍子の<花の袖>、石本正の<罌粟>など。これらが素晴らしい作品だった。
 
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●三井記念美術館 「超絶技巧!明治工芸の粋:村田コレクション一挙公開」会期:4/19~7/13
A★★★★★B★★★★★C★★★★★ ■図録購入
*これは今年最高の展覧会か。京都の清水三年坂美術館(村田コレクション)の逸品ばかりを集めた展示なので、大いに期待していたが、期待にたがわず素晴らしい作品群であった。とりわけ京都では狭いため裏側まで見ることがかなわなかった作品も、主要なものは全方位から見ることができ、ゆったりした館内で文字通り堪能することができた。
明治以来の観察眼もなければ、観察したものを写し出す技術もないへたな絵画や彫刻などが、あたかも良いものであるかのような錯覚をさせられてきたが、こうした幕末から明治前半にかけての超絶技巧の数々を見ると、美術史は大いに書き換えられなければならないと思う。
 
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根津美術館 「燕子花図と藤花図:光琳、応挙 美を競う」 会期:4/19~5/18
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
*カキツバタの花ももう終わりかけていたが、根津美術館に光琳の<燕子花図屏風>を見に行く。意外に左隻が褪色あるいは剥落(?)していることに驚いた。しかし、リズミカルな構成とともに、パターン化された燕子花は微妙に違いをつけており、かなり技巧的な描き方をしていることを再確認。
応挙の<藤花図屏風>は、写生の円山四条派といわれるが、写生というよりはむしろ大胆な描き方をしており、さすがと思わせる構成美。
鈴木其一の<夏秋渓流図屏風>は、いま描かれたばかりと思わせるような保存状態の良さ。あまりにも鮮やかすぎるので、心配になるほど。
 
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岡田美術館(箱根) 「再発見 歌麿「深川の雪」」 会期:4/4~6/30
A★★★★★B★★★★C★★★★
1日がかりになったが、箱根に昨年10月に開館したばかりの岡田美術館へ行く。パチスロ製造企業を経営する岡田和生氏が15年ほど前から蒐集を始めて、あっという間に厖大なコレクションを形成した。海外オークションなどで買い集めたのかと思っていたら、本美術館に関係する方の話では、収蔵家に直接談判して購入していったものだそうだ。入館料がとっても高い(大人2800円:ただし箱根湯本駅には200円引きの割引券があるので、それをゲットしておくと、1枚でグループ全員割引となる)にもかかわらず、館内は非常に混雑していた。セキュリティが厳しく、カメラ・携帯電話・スマホは持ち込み禁止だし、金属探知機のゲートを通って初めて入館できる。ちなみに、建物には窓を設けていない由。
話題の歌麿が最晩年に描いた<深川の雪>という超巨大肉筆浮世絵を見る。さすがに大きいものの、それぞれの人物はとても巧みに描き分けられ、また構成に破綻がない。歌麿作ではないという説もあるようだが、非常に良く描けているように感じた。
コレクションの一端が5フロアに分かれて展示されているが、どれも優品ばかり。最初はじっくり見ていたものの、後になると日頃の不摂生が祟って疲れ切ってしまう(それでも5階までエレベータで上り下りできるのだが)。展示品の一部には、小さいタブレット端末が手前に設置され、ごく簡単ながら図解説明が得られるようになっていた。ようやく最上階の仏像のコーナーを見た後、庭園に入る手前で喫茶をやっていたので入る。
お茶を飲むと、岡田美術館のチョコレートブランド責任者である三浦直樹氏によるチョコが一つついてくる。三浦氏は、TVドラマ「失恋ショコラティエ」のチョコの製作および手タレも務めた方だ。う~ん、まあきれいにできてはいたが、ミルクのせいか、少し柔らかくなっていた。作ったチョコは冷凍しておいて、提供する1日前にワインセラーで適温に戻すようにしているとのこと。プロならやはりカチッとした歯ざわりがチョコに必要だと思うのだが、常温に戻す際に問題があるのか。ワインセラーの湿度も気になるし。5個入りで2500円から3000円程度で売り出す計画だそうだが、箱根で高級チョコを買うかなあ、という気もしないわけでもない(夏場なんて持って帰れないですよ)。現状のミュージアムショップは、なぜか一番手抜きの状態だから、温度管理もできそうにないし。
2014年中には食の複合施設「箱根蔵町」が順次開業するそうだが、さすがに蕎麦は近辺にいっぱいあるのでやめたとのこと。焼肉とかのアイデアがあるようだが、どうなんでしょう。
 
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河鍋暁斎記念美術館 「妖怪図:奇々怪々あやしの世界」 会期:5/2~6/25
A★★★★B★★☆☆C★★★☆☆
*展示品はとても興味深く、暁斎の凄さを感じさせるものばかりなのだが、いかんせん暁斎の曾孫にあたる館長のご自宅を改装した美術館であるため、展示スペースの制約に伴う展示数の少なさはやむを得ない。
サントリー美術館の「のぞいてびっくり江戸絵画」展で見ることができた化け猫の図は、類似のものが本美術館にも収蔵されているとのことで期待していたのだが、残念ながら展示されていなかった(後日、「のぞいてびっくり江戸絵画」展図録を読み直したら、<惺々狂斎画帖>と同種の画帖が2冊あるということであって、化け猫の図があるわけではなかった。そう言えば『反骨の画家 河鍋暁斎』〔新潮社、とんぼの本〕の表紙にもこの化け猫の絵が登場していました)。
本展の図録ではないが、河鍋暁斎記念美術館編『画鬼暁斎読本』と京都国立博物館編『絵画の冒険者 暁斎:近代へ架ける橋』を購入。前者は小冊子ながらもコンパクトにまとめられ、また参考文献も紹介されている。後者は2008年に行われた京博での暁斎展図録。暁斎の再認識に大きな原動力となった重要な展覧会で、代表作が網羅されているということで、前から欲しかったもの。
 
河鍋暁斎記念美術館 「暁斎プラスワンシリーズ22 野坂稔和 波の戯画展」会期:5/2~6/25
A★★★☆☆B★★☆☆C★★★☆☆
*暁斎に何らかの影響を受けた現代アーティストによる小品展。画家であり、また文身作家・スケートボーダーとしての野坂氏が、波をモチーフにした作品を展示。どこか暁斎のエスプリと通底するものを感じさせる。
 
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戸栗美術館 「古伊万里動物図鑑展」 会期:4/12~6/29
A★★★★B★★★★C★★★★
*二度目の訪問だが、比較的マイナーな古伊万里の数々ではあっても、飽きさせないものが多かったのはさすが。素人向けに丁寧な説明もあり、前回以上に静かな展示だったので、十分に堪能。本美術館の約7000点にのぼるコレクションは、小佐野賢治と親しかった建設業者・戸栗亨氏が昭和40年代に買い始めたものだそうだ。それにしても幅広くかつ厖大なコレクションだと思う。中庭に無造作に置いてある幕末の大砲は、当時の唯一のものとのこと。
今回の展示は古伊万里と鍋島焼のなかから動物をモチーフとしたものをピックアップ。以前、TVの鑑定団に出ていたのと同じ兎で象った<染付 兎形皿>も展示されていた(TVでは十二支に仕立てられているのだが、兎しか古伊万里にはない由)。
 
 

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Author:夢幻庵主人
隠居生活続行中。

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