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■既刊・近刊メモ(2014年5月版 Ver.2)

20145月前半に刊行された(はずの)本と、5月後半以降の近刊を掲載する。*以下に、出版社による紹介記事を中心に多少余計なコメントを付した。日付は発行日ではなく、発売日。発売日順を原則としているが、WEBでの確認が中心なので、違っているかもしれない。
●:前回掲載のものから追加・変更した本。ただし、細部の変更等は含まず。
なお、近刊の本についてはあくまでも予定であり、タイトル・発売日・価格ともに変更の可能性はある。
次の行は私的メモ。
■:読んだ本(▲:元版で読んだ)、■:買った本(▲:元版所有)
 
【5月に出た本から】
 
■松村昌家 『大英帝国博覧会の歴史:ロンドン・マンチェスター二都物語』 ミネルヴァ書房、5/13800円+税 〔詳細〕
 *第一回ロンドン万国博覧会の「水晶宮」から日英博覧会まで、イギリス各博覧会の全体像を鮮やかに描く。

■シシリー・メアリー・バーカー/井村君江訳 『花の妖精:英国の花たち』 主婦の友社、5/15000円+税 〔詳細〕
19世紀前半のヴィクトリア時代英国で生まれた妖精画集『フラワーフェアリーズ』。残されている164本の画と詩を、妖精、英国文化研究の第一人者・井村君江が全面新訳。また、当時の英国の自然や風習などの解説を描き下ろし。

■井村宏次 『霊術家の黄金時代』 ビイング・ネット・プレス、5/12250円+税 〔詳細〕
 *明治末から昭和初めにかけて出現し、病気治しや催眠術、健康法、霊との交流などに活躍した霊術家たちの破天荒な生涯と共に、その歴史的な意味を探る。西洋医学と科学に対する対立軸として、裏の医術として代替医療家的な役割を果たし、急激な近代化によって失われていった日本的なる者たち。彼らはどのような社会的・文化的背景の中で歴史に登場し、去って行ったのか。

小林朋道 『先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています!:「鳥取環境大学」の森の人間動物行動学』 築地書館、5/11600円+税 〔詳細〕
 *黒ヤギ・ゴマはビール箱をかぶって草を食べ、コバヤシ教授はツバメに襲われ全力疾走、そして、さらに、モリアオガエルに騙された!自然豊かな大学を舞台に起こる動物と植物と人間をめぐる、笑いあり、涙ありの事件の数々を人間動物行動学の視点で描く。

G・ベシュテル&JC・カリエール/守能信次訳 『万国奇人博覧館』 ちくま文庫、5/81500円+税 〔詳細〕
*無名の変人から、ゴッホ、ルソーらの有名人、「聖遺物」「迷信」といった各種事象や営みまで。人間の業と可能性を感じさせる超絶の人生カタログ。元版は筑摩書房、199611月に刊行。

北村薫・宮部みゆき編 『読まずにいられぬ名短篇』 ちくま文庫、5/8900円+税〔詳細〕
*松本清張のミステリを倉本聰が時代劇に!? あの作家の知られざる逸品から時代に埋もれた名品まで厳選の18作。北村・宮部の解説対談付き。

佐藤卓己 『増補 大衆宣伝の神話:マルクスからヒトラーへのメディア史』 ちくま学芸文庫、5/81500 円+税〔詳細〕
*祝祭、漫画、シンボル、デモなど政治の視覚化は大衆の感情をどのように動員したか。ヒトラーが学んだプロパガンダを読み解く「メディア史」の出発点。元版は弘文堂、199212月に刊行。増補版らしい。

宮田親平 『「科学者の楽園」をつくった男:大河内正敏と理化学研究所』 河出文庫、5/8920円+税〔詳細〕
*所長大河内正敏の型破りな采配のもと、仁科芳雄、朝永振一郎、寺田寅彦ら傑出した才能が集い、「科学者の自由な楽園」と呼ばれた理化学研究所。その栄光と苦難の道のりを描く。うまくいけば絶妙なタイミングで刊行というわけだったのだが・・・。

樋渡啓祐 『沸騰!図書館:100万人が訪れた驚きのハコモノ』 KADOKAWA、角川oneテーマ215/8800円+税〔詳細〕
*人口5万人の九州の小さな町・佐賀県武雄市に、全国から100万人が訪れるすごい図書館がある。市民も観光客も満足するさまざまなアイデアの数々と、建設を実現するまでの奮闘を仕掛け人である市長自らが解説する。→ちなみに、小田光雄氏の「出版状況クロニクル72201441日~430日)」には、武雄市長とCCCTSUTAYAとのひそかな関係が示唆されている。
一方で、テレビ西日本放送のインタビューに答えて、「万人に受けようと思ったら、ものすごいつまんない図書館しか出来ないんですよ。この図書館が嫌だったら他所の図書館に行きゃあいいんですよ」と発言しているようです。

米澤穂信選 『世界堂書店』 文春文庫、5/9700〔詳細〕
*不思議な物語、いじわるな話、おそろしい結末、驚愕の真相。あの米澤穂信が世界の名作から厳選した最愛の短編小説が一堂に。

■吉丸雄哉・山田雄司・尾西康充編著 『忍者文芸研究読本』 笠間書院、5/91800円+税 〔詳細〕
 *「忍者像」はどのように創られたのか。小説・芸能・漫画・映画…フィクションの世界における忍者像を、国内外の視点から解き明かす!

■生田耕作編訳 『愛書狂』 平凡社ライブラリー、5/101400円+税 〔詳細〕
 *19世紀フランス、古本道楽黄金時代のフローベール、デュマら名だたる書物狂いが遺した愛書小説アンソロジー。本の病は不治の病!

■中村圭志 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密』III、トランスビュー、5/10、各2000円+税 〔詳細I〔詳細II
 *バーチャル宗教としてのファンタジー。なぜ魅了されるのか、その圧倒的なパワーはどこから来るのか。フェミニズムも法華経もパラレル・ワールドもある不思議な夢空間。

L.クリス=レッテンベック/津山拓也訳 『図説西洋護符大全:魔法・呪術・迷信の博物誌』 八坂書房、5/106800円+税〔詳細〕
 *かたちに封じ込められた、不思議な力の源。鉱物、植物、動物由来の品々から、魔術や宗教起源の図形や記号、人々のしぐさまで、西洋古来の〈護符=お守り〉850点を、文化的背景とともに紹介する。

ミステリー文学資料館編  『古書ミステリー倶楽部 2』 光文社文庫、5/13800円+税 〔詳細〕
*推理文壇の名匠たちが古書への深い知識と卓抜した技巧を凝らして綴った粒揃いの傑作を収録。好評を博した推理アンソロジー第二集!

霜月蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』 講談社、5/142200+税〔詳細〕
*クリスティー作品の魅力、そしてクリスティー作品を語ることの魅力をあますところなく伝える、クリスティー評論&エッセイの決定版。

グレン・グリーンウォルド/田口俊樹・濱野大道・武藤陽生訳 『暴露:スノーデンが私に託したファイル』 新潮社、5/141700円+税〔詳細〕
 *世界24ヵ国同時刊行! 未公表の最高機密文書、多数収録! 国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に在籍したエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託した。香港で密会した情報提供者の実像、そして文書の戦慄すべき全貌――。一連の報道で英紙〈ガーディアン〉にピューリッツァー賞をもたらした当人がいま、すべてを明かす。

■小野俊太郎 『ゴジラの精神史』 彩流社、フィギュール彩、5/151900円+税〔詳細〕
*『モスラの精神史』『大魔神の精神史』の著者による、目からウロコのウンチク満載、究極の深読み、そして新たなゴジラ像が出現する書下ろしゴジラ論。

金山弘昌責任編集 『変身の形態学:マンテーニャからプッサンへ』 ありな書房、イメージの探検学V5/155000円+税 〔詳細〕
 *マンテーニャの《美徳の庭から悪徳を追放するミネルウァ》、ドッソ・ドッシの《魔女図》、パルミジャニーノのロッカ・サンヴィターレの《カメリーノ装飾》、ミケランジェロの《囚人》たちとグロッタ・グランデ、プッサンの《フローラの勝利》と《フローラの王国》、これらのイタリア・ルネサンス美術を舞台に自在無碍に変身するイメージ/表象の存在と意味を探り、それらの内部に生き続ける創造の秘跡を探検する!創造の秘跡を探検する!

■石川幹人 『「超常現象」を本気で科学する』 新潮社、新潮新書、5/16700円+税 〔詳細〕
*どこまでが解明され、何が未だに謎なのか? 幽霊・テレパシー・透視・念力・予知……。「非科学的」とされがちな現象に、それでもあえて「科学的」に挑戦する異端の科学者たち。知られざる世界の最先端とは?

垂水雄二 『科学はなぜ誤解されるのか:わかりにくさの理由を探る』 平凡社新書、5/16760円+税 〔詳細〕
 *科学は難しい。なぜか? 科学の拠って立つ論理と、人間の理解の仕方、言葉による伝達を見ながら、難しさの理由を明らかにしていく。

小中千昭 『恐怖の作法:ホラー映画の技術』河出書房新社、5/192800円+税〔詳細〕
*ホラー映画やアニメの第一線で活躍してきた著者が、小説や映像など様々な形で人を惹きつけ続ける「ホラー」つまり「怖い物語」がどのように作られるかを論じ、技術を伝授する実践的な一冊。

■中良子編 『災害の物語学』 世界思想社、5/203500円+税 〔詳細〕
*災害の記憶を語り継ぎ、小さくても声を上げ、歴史に残す。その記録の営みに文学がいかに、自由に、関わっていくか、それが災害の物語学。自然災害・環境破壊・疫病から超常現象まで、アメリカ的想像力の結晶である災害表象の諸相を解明する。

■ティム・インゴルド/管啓次郎解説、工藤晋訳 『ラインズ:線の文化史』 左右社、5/212800円+税 〔詳細〕
*人間世界に遍在する〈線〉という意外な着眼から、まったく新鮮な世界が開ける。知的興奮に満ちた驚きの人類学! 刊行されるというアナウンスがあってから、いつまでも出なかったのだが、果たして215日に刊行できるか・・・→320日発売予定に変更。→420日に発売予定。→521日に発売予定。→21日めでたく販売開始となった模様。

一柳廣孝 『無意識という物語:近代日本と「心」の行方』 名古屋大学出版会、5/214600円+税〔詳細〕
 *重なりあう科学とフィクション——。フロイト精神分析や「無意識」の受容は、日本における「心」の認識をどのように変化させたのか。民俗的な霊魂観と近代的な心身観がせめぎあう転換期を捉え、催眠術の流行や文学における表象をも取り上げつつ、「無意識」が紡ぎ出した物語をあとづける「心」の文化史。

シドニー・パーコウィッツ/阪本芳久訳 『遅い光と魔法の透明マント:クローキング、テレポーテーション、メタマテリアルを実現した光の科学の最先端』 草思社、5/211800円+税〔詳細〕
*「透明人間」が物理学の重要研究テーマに! 自転車並の速さの光が実現! ビックリするほど進展している光の科学の現状を、SFと比較しつつ、物理学者が解説する。

 
【これから出る本】(タイトル・発売日・価格等はすべて予定)
 
◆5月後半予定
諏訪部浩一 『ノワール文学講義A Study in Black』 研究社、5/222000税 〔詳細〕
*出口がなく閉塞したこの世界で、不条理な運命に翻弄されてあえぐ人間を、犯罪ドラマのスタイルで描く「ノワール」――ジム・トンプスンの復活やジェイムズ・エルロイの活躍以降、文学・映画において、今日ますます切実な表現として求められているジャンルの起源と根源を、『「マルタの鷹」講義』の新鋭が究明する。

『本屋の雑誌 別冊本の雑誌17』 本の雑誌社、5/221980円+税 〔詳細〕
 *創刊から39年、本とともに本屋さんを見つめ続けてきた「本の雑誌」が送る、まるごと一冊「本屋」の雑誌。過去の記事と新原稿を合わせた400ページを越える本屋大全。

C・L・アドラー/松浦俊輔訳 『広い宇宙で人類が生き残っていないかもしれない物理学の理由』 青土社、5/223200円+税 〔詳細〕
*世界の数々のSF・ファンタジーの傑作のしくみを物理学的に読み解いていく。と同時にSF的想像力と現実世界の齟齬を掘り起こす。人類と宇宙の未来をスリリングに考察する、奇妙な世界を紐解く物理学の大冒険。空想科学読本の決定版!

乾石智子 『沈黙の書』 東京創元社、5/231800円+税〔詳細〕
*天と地のあいだ、オルリアエントの激動の時代を描く、人気ファンタジー〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ最新刊。

MH・ニコルソン/浜口稔訳  『ピープスの日記と新科学』白水社、高山宏セレクション/異貌の人文学、5/234200円+税 〔詳細〕
*サミュエル・ピープスの『日記』を通して、ロンドン王立協会と科学者たち、光学器械、顕微鏡、空気の計量実験、初めての輸血、双底船の発明、科学狂いの〈ヴァーチュオーソ〉に向けられた辛辣な諷刺など、17世紀英国〈新科学〉時代の諸相を描いた文化史研究の好著。

植田樹 『ロシアを動かした秘密結社:フリーメーソンと革命家の系譜』 彩流社、5/232900円+税 〔詳細〕
*歴史の水面下で改革と革命を担った政治思潮の視点から、知られざるフリーメーソンの思想と組織、歴史的役割を史実と実話のエピソード、手記などを積み重ねて掘り起こした労作。

■西成活裕 『誤解学』 新潮社、新潮選書、5/231200円+税 〔詳細〕
 *なぜ自分のことを正確に理解してくれないのだろうか? 恨み、嫉妬、断絶、争い――。人類誕生以来、人間関係で国家間で、それを解消することはできないでいる。種類、メカニズム、原因、対策など、気鋭の渋滞学者が世界で初めて「誤解」を系統立てた話題の書。

■齋藤希史 『漢字世界の地平:私たちにとって文字とは何か』 新潮社、新潮選書、5/231200円+税 〔詳細〕
 *漢字はいつどのようにして漢字となり、日本人はこれをどう受けとめてきたのか。そもそも話し言葉にとって文字とは何なのか。和語、訓読、翻訳とは? 古代中国の甲骨文字から近代日本の言文一致まで――漢字世界の地平を展望し、そのダイナミズムを解き明かす。

■ブラム・ストーカー/田内志文訳 『吸血鬼ドラキュラ』 角川文庫、5/24840円+税 〔詳細〕
 *『ドラキュラ』の新訳か。

河出書房新社編集部編 『月岡芳年:血と怪奇の異才絵師』 河出書房新社、5/242200円+税 〔詳細〕
12歳で国芳の門に入り、衝撃の残酷絵で一躍人気絵師へ。武者絵から歴史画まで多様な画風をこなし、維新後は時事報道に新生面を見出した芳年の魅力を、傑作の数々とともに。

■アルベルト・マングェル/野中邦子訳  『読書礼讃』白水社、5/253800円+税 〔詳細〕
*ボルヘスをはじめとする先人を偲びつつ、何よりも「読者」である自身の半生を交えて、書物との深い結びつきを語る。

■星野渉 『出版産業の変貌を追う』 青弓社、5/252000円+税 〔詳細〕
*激動する出版業界に伴走して「文化通信」で問題点をえぐり、改革を提言し、マーケティングと流通に対する積極的で大胆な発言で刺激を与えている敏腕編集長のこの10年の発言をテーマごとにまとめる。

■吉田典史 『ビジネス書の9割はゴーストライター』 青弓社、5/251600円+税 〔詳細〕
*ゴーストライター経験豊富な著者が、とくにビジネス書にまつわる仕事の実態や収入、トラブルや確執の内実とその対処法、ライターとしての心構えなどを紹介し、著者・出版社・ライターの知られざる関係性を明らかにする。ゴーストライターにまつわる基礎知識をまとめたQ&Aも所収する初めての書。

柳宗悦 『蒐集物語』 中公文庫、5/251000円+税 〔詳細〕
 *民芸運動を創始し、「日本民藝館」を創立した著者が、蒐集に対する心構えとその要諦を、豊富なエピソードとともに解き明かす。

本村凌二 『世界史の叡智:悪役・名脇役篇:辣腕、無私、洞察力の51人に学ぶ』 中公新書、5/25820円+税 〔詳細〕
*史学の成果を生かしつつ、古今東西の事例を検証。時代の波に翻弄された悪役たちの横顔を紹介し、隠れた名脇役たちの活躍にも光を当てる。古代ペルシャの大王からイタリア映画全盛期の巨匠まで、バラエティに富んだ五一人の列伝。

日高勝之 『昭和ノスタルジアとは何か:記憶とラディカル・デモクラシーのメディア学』 世界思想社、5/253700円+税 〔詳細〕
*メディア表象や言説の詳細な検証を通して通説に挑み、背後に隠れたモダニティへの抵抗、戦後の光と闇を炙り出す斬新な戦後文化論。

菊地信義 『菊地信義の装幀』 集英社、5/269000円+税〔詳細〕
*ここに、本がある──世紀をまたぎ出版文化を牽引しつづける菊地信義のブックデザイン集。1997年から現在までの仕事から約1400点を厳選し、「形体」「文字」「図像」からなる三部構成で提示する。

■エリック・ハズペス 『異形再生:付「絶滅動物図録」』 原書房、5/262800円+税 〔詳細〕
 *19世紀末、スフィンクス、ケンタウロスにハルピュイアなど伝説の奇獣の解剖図を『絶滅動物図録』として記し、消息を絶ったスペンサー・ブラック博士。その数奇な人生をたどり、代表作『絶滅動物図録』を付したゴシック風味に満ちた奇書。

■奥野卓司 『江戸〈メディア表象〉論:イメージとしての〈江戸〉を問う』 岩波書店、5/272700円+税 〔詳細〕
 *歴史事実の検証によってではなく、「イメージとしての江戸」が、テレビ、小説、マンガ、教科書などの〈メディア表象〉によって、いかにつくられたのか、それがその時代の人々の意識にどう影響してきたかを解読する。

■高橋豊 『精神障害と心理療法:「悪魔祓い」から「精神分析」、「親-乳幼児心理療法」への概念の変遷』 河出書房新社、5/273800円+税 〔詳細〕
*歴史の中で変化する「正常」と「異常」の線引き、時代により学派により大きく異なってきた「精神障害」とそれを治療してきた「心理療法」、その研究と概念の変遷を追う。

中江克己 『江戸大名の好奇心』 第三文明社、5/281500円+税
 *自身の趣味にすべてをかけた殿様の生き様を紹介。27人それぞれの趣味から学ぶ殿様の生涯。
 
■松浦寿輝 『明治の表象空間』 新潮社、5/305000円+税 〔詳細〕
*表象とは思考によって反復された「現在」である。つまり世界は表象なのだ――。太政官布告から教育勅語まで、博物誌から新聞記事まで、諭吉から一葉まで、明治期のあらゆる言説アーカイヴを横断的に俯瞰し、現代に直結する言語のダイナミズムを剔抉する知の大著。

明治大学公開文化講座編 『書物としての宇宙』 風間書房、明治大学公開文化講座325/31880円+税 〔詳細〕
*書物について松岡正剛、鹿島茂、安藤礼二の3人の研究者が語り尽す講演集。

■リチャード・ルービン/根本彰訳 『図書館情報学概論』 東京大学出版会、5月下旬、5600円+税 〔詳細〕
*いま、司書の養成をおもな目的とした図書館学が、より包括的な課題に対処するために、図書館情報学へと変貌しつつある。その背景のもと、発祥の地であるアメリカの大学院でレクチャーされている図書館情報学の全貌を紹介し、その最前線へと誘う。

原田裕  『東都書房と出版芸術社』(仮) 論創社、出版人に聞く145月、1600円+税〔詳細〕

《書物学》2巻 特集「書物古今東西」、勉誠出版、5月、1500円+税 〔詳細〕
*世界三大宗教の思想を伝える書物をはじめ、忍術書や艶本、アジア世界に生まれた擬似漢字による典籍、そして電子書籍まで、洋の東西を越え、古今の書物文化の海を航海する。

岡留安則 『こんな日本に誰がした!休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り』 双葉社、5月以降、1200円+税 〔詳細〕
*数々のスキャンダルを白日の下に晒し、「権力の監視」というメディアの役割を担い続けてきた伝説の雑誌『噂の真相』が休刊して今年で10年。『噂の真相』なき10年を編集長・岡留安則はどう見てきたのか。

 
◆6月予定
『江戸川乱歩の迷宮世界』 洋泉社、6/21300円+税 〔詳細〕
*生誕120年、江戸川乱歩の作品と生涯を秘蔵写真や資料とともに解読。

ジョン・クラカワー『信仰が人を殺すとき』上・下、河出文庫、6/6、各820円+税 〔詳細:上〕〔詳細:下〕
 *1984年ユタ州で起きた母子惨殺事件の背景に潜む宗教の闇。「彼らを殺せ」と神が命じた――信仰、そして人間とはなにか? 人間の普遍的感情である信仰の問題をドラマチックに描いたノンフィクションを文庫化。

■山崎力 『捏造しない・させないための臨床研究のお作法』 SCICUS(サイカス)、6/103600円+税 〔詳細〕
*臨床研究の成果をねじ曲げて伝える「spin」と呼ばれる情報伝達テクニックの実例を紹介し、医療従事者や患者さんが情報に騙されないための知識や視点を提示します。

近藤和彦 『民のモラル:ホーガースと18世紀イギリス』 ちくま学芸文庫、6/101300円+税 〔詳細〕
200年前のイギリスに生きたふつうの男と女。その暮らしやもめごと、希望と連帯。民衆文化と政治文化のありようを丹念に読み解く。元版は山川出版社より199311月に刊行された。

ブライアン・クレッグ/竹内薫訳 『世界はデタラメ:ランダム宇宙の科学と生活』 NTT出版、6/122200円+税〔詳細〕
 *偶然の世界へようこそ! カジノのルーレット、地震を引き起こすカオス、量子の奇っ怪なふるまいまで、宇宙の驚くべき現実をときほぐす「偶然の科学」への招待!

水野千依 『キリストの顔:イメージ人類学序説』 筑摩選書、6/122000円+税 〔詳細〕
 *《UP》(東京大学出版会)20142月号に「キリストの顔:表象の起源へ」と題した小論を掲載。

今井良 『警視庁科学捜査最前線』 新潮新書、6/14720円+税 〔詳細〕

平川義浩 『絵はがきで愛でる富士山』 青弓社、6/152000円+税〔詳細〕
*広告・年賀に乗り物・干支・登頂・風景・見立てなどのジャンルに分けて、明治期から昭和初期までのアンティーク絵はがきで富士山を味わう。フルカラー・200点の絵はがきから日本人が愛した様々な富士山が浮かび上がる。

マーヴィン・ピーク&メーヴ・ギルモア/井辻朱美訳 『タイタス・アウェイクス』 東京創元社、6/21880円+税〔詳細〕
*〈ゴーメンガースト三部作〉はもともと三部作として構想されたものではなかった。著者ピークは第四部を構想し、一部の原稿とアイディアの断片を遺していたのだ。夫亡きあと、夫人のメーヴ・ギルモアがそれをもとに書き上げたのが本書。故郷の城を離れたタイタスは、さらに彷徨を重ねる。奇矯な人々に出会い、様々な出来事に遭遇するも、何処にも安住の地を見いだせず終わりなき探索を続けるタイタス。幻想文学の最高峰シリーズ幻の最終巻が、ついに姿を現す。

■安村敏信監修 『別冊太陽(日本のこころ219号) 妖怪図譜』 平凡社、6/242500円+税 〔詳細〕
 *江戸時代に多くの浮世絵師が描いた妖怪画や絵巻物の優品をはじめ、不思議でユニークな妖怪たちの珍品を盛りだくさんに紹介する。

風間賢二 『ファミリー・ブラッド:家族にはつねにすでにモンスターが潜んでいる!』(仮)彩流社、6/251600円+税 〔詳細〕
*カルトな「文学」と「映画」を素材として家族内部にすでに潜在する恐るべき「怪物/モンスター」を白日のもとに曝す。この本もアナウンスばかりで刊行が遅れている。

キャサリン・ゴヴィエ/モーゲンスタン陽子訳 『北斎と応為』(仮)上・下、彩流社、6/25、各2500円+税 〔詳細〕
 *浮世絵師・北斎の娘、応為(おうい)こと葛飾お栄の謎に包まれた生涯を描き出す。「美人画では娘に敵わない」と北斎をして言わしめた実在の娘・お栄(画号は応為)。緻密な描写、すぐれた色彩と陰影表現を得意とし、父と共作するだけでなく、代作もしていた。歴史の闇に消えていった「もうひとりの北斎」を、綿密な調査と豊かな想像力で描き出した歴史フィクション!

歴史科学協議会編 『歴史の「常識」をよむ』 東京大学出版会、6/252800円+税 〔詳細〕
*歴史の「常識」とされている事象を、歴史学研究の側から再点検し、学問の最先端としての最新の日本列島の歴史を提示する。「偽文書は無価値か?」(近藤成一)、「書物・出版が日本の社会を変えた」(若尾政希)、「[浮世絵]傍流が脚光を浴びる」(山本陽子)など。

千葉県立中央博物館監修 『図鑑大好き!:あなたの散歩を10 倍楽しくする図鑑の話』 彩流社、6/252000円+税 〔詳細〕
 *自然観察に欠かせない「図鑑」を徹底紹介。図鑑大国の日本で刊行された図鑑の歴史・作り方・工夫などから、身近な自然の散歩・探検に最適の図鑑をナビする。博物館初の「図鑑展」図録。

河出書房新社編集部編 『河鍋暁斎:笑いと狂気の天才絵師』(仮) 河出書房新社、6/272000円+税〔詳細〕
 *7歳で国芳門下へ、狩野派にも学び、強烈無比の戯画・風刺画から美女・幽霊・動物まで縦横無尽に描いてみせて抜群の人気を誇った「画鬼」暁斎の魅力を、傑作の数々とともに。オールカラー。

荒俣宏編 『怪奇文学大山脈1 西洋近代名作編 19世紀篇』 東京創元社、6/272400円+税〔詳細〕
 *西洋怪奇小説の鉱脈は、汲めども尽きぬ宝の山――その中から燦然たる傑作・怪作を拾い集め紹介し続けた稀代の碩学・荒俣宏が贈る、怪奇幻想文学にまつわる仕事の集大成! 正統にして至高のアンソロジストが精選した、西洋怪奇幻想の神髄を全3巻に収める。

■杉江松恋 『路地裏の迷宮踏査』 東京創元社、キイ・ライブラリー、6/281500円+税〔詳細〕
*作家たちの知られざる交友関係から創作にまつわる意外なエピソードまで、読んで為になる情報が満載。《ミステリーズ!》連載が加筆訂正の上、単行本に。

今福龍太 『書物変身譚』 新潮社、6/303200円+税〔詳細〕
*書物とは地質学的時間と歴史的時間を結んで生じた、大いなる変身の産物である――電脳化されてもなお遺る、魅力の本質を探る。

辻惟雄 『奇想の発見:ある美術家の回想』 新潮社、6/302200円+税〔詳細〕
*若冲、蕭白、又兵衛――日本美術史の片隅に忘れ去られた画家たちを再発見した「変わりモノ」先生。その愉快でトホホなハミ出し人生。

ポール・ホフマン/持田鋼一郎訳 『魔都ウィーン:栄光・黄昏・亡命』 作品社、6月、2800円+税
16世紀、オスマン・トルコによるウィーン包囲、20世紀ヒトラーによるオーストリア併合など時代の荒波に翻弄されながら、数多の才能を輩出し、西欧文化の一翼を担い続けた栄光の都。モーツァルト、クリムト、フロイト、ヒトラーなど多方面の異才たちの事跡を通して描出する華麗な魔都の全貌。
 
国文学研究資料館、コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所編 『集と断片:類聚と編纂の日本文化』 勉誠出版、6月、8000円+税 〔詳細〕
 *日本の古典籍には「―集」という標題をもつ書物が大量にある。短い作品や断片(Fragment)を集成し、一つの著作や集(Collection)にまとめる手法は、日本文化の特筆すべき編成原理であるといえる。この類聚・編纂という行為は、一方では知を切り出し断片化していくことと表裏を為す。すなわち「断片」と「集」の相互連環が新たな知の体系を不断に創り出していくのである。和田博文「「知」の編成と、個人全集という制度」など収録。

『日本のおもちゃ絵コレクション:川崎巨泉の玩具帖』(仮)青幻舎、6月下旬、1500円+税 〔詳細〕
*大正~昭和、全国各地の郷土玩具を描いた日本画家・川崎巨泉。膨大なコレクションを誇る中之島図書館・人魚洞文庫の所蔵品より、厳選の自筆写生画を紹介。

 
◆7月以降予定
千街晶之『原作と映像の交叉光線(クロスライト):ミステリ映像の現在形』東京創元社、キイ・ライブラリー、7月以降
 *ミステリを原作とした映像化は人気が高く、続々と製作されている。名作『犬神家の一族』をはじめ28作品から、ミステリとしての読みどころ、映像作品としての観どころを紹介していく。
 
■ポール・コリンズ/山田和子訳 『バンヴァードの阿房宮:世界を変えなかった13人』(仮)白水社、夏
*壮大な夢と特異な才能をもちながら、世界を変えることなく歴史から忘れられた天才13人を紹介したポートレイト集。
 
J・B・ホラーズ編/古屋美登里訳 『モンスターズ』 白水社、8
*吸血鬼、ゴジラ、モスマン、ビッグフット、ミイラ、ゾンビなど異形の「怪物たち」をテーマに、曲者ぞろいの新鋭・中堅作家18人が腕を競う、異色の短篇アンソロジー。
 
■カート・ヴォネガット/大森望訳 『ヴォネガット未発表短篇集』 河出書房新社、夏
*天才ヴォネガットの生前未発表短編14篇。
 
■ミハル・アイヴァス/阿部賢一訳 『黄金時代』 河出書房新社、夏
*虚構の島とく無限に増殖する本〉をめぐる異形の紀行文学。『もうひとつの街』のチェコ作家がおくる、想像力と技巧に満ちた大作。
 
■ミハイル・エリザーロフ/北川和美訳 『図書館司書』 河出書房新社、秋
*失われた奇書をめぐり図書館で戦争が始まる。現代ロシアが生んだ破壊的スプラッターノヴェル。
 
 
2014年中に出るかどうか
■ハンス・ベルティング/仲間裕子訳 『イメージ人類学』 平凡社、4800円+税 〔詳細〕
*美術史を広くイメージの学として構想し直し、美術作品、考古学・人類学遺産、映画や広告、あらゆるイメージを対象とする学のパースペクティヴを説く。

プランセス・サッフォー/野呂康・安井亜希子訳  『チュチュ:世紀末巴里風俗奇譚』 水声社、2800円+税 〔詳細〕
*知られざる19世紀最大の奇書。世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公が繰り広げる奇想天外、荒唐無稽な露悪趣味の極北。社会の病巣をキッチュに描いた世にも奇妙な珍書中の珍書。

中島篤巳訳 『完本万川集海』 国書刊行会、5600円+税
*伊賀・甲賀四十九流につたわる忍術を集大成した伝説の書物が現代語訳で刊行。詳細な注のついた読み下し文を付す。なお、明治書院からも『万川集海』が出る予定のようだ。伊賀忍者研究会編『忍者の教科書新萬川集海』笠間書院、2/10600円+税(A5 48ページ)という本(小冊子?)も出ている。

■ラリー・プリンチーペ/ヒロ・ヒライ訳 『錬金術の秘密』 勁草書房、BH 叢書 〔詳細〕

U.ペンツェンホーファー 『評伝・パラケルスス』 勁草書房、BH 叢書(未定)
 
■ブルース・チャトウィン/池内紀訳 『ウッツ男爵:ある蒐集家の物語』
*元版は文藝春秋、19939月刊行。
 
■フラン・オブライエン/大澤正佳訳 『スウィム・トゥー・バーズにて』
*元版は、筑摩書房『筑摩世界文学大系68 ジョイス2・オブライエン』19985月刊行。同書は『第三の警官』併録。
 
■鈴木宏『書肆風の薔薇から水声社へ』(仮)論創社、「出版人に聞く」シリーズ
 
ジャン・クロード・シュミット/小池寿子・廣川暁生・古本高樹訳 『イメージにひそむ身体:中世の視覚文化』刀水書房、5000円 〔詳細〕

ウンベルト・エーコ 『プラハの墓地』 東京創元社
*偽書ものの大作が準備中。
 
大浜甫・多田智満子・宮下志朗・千葉文夫ほか訳 『マルセル・シュオッブ全集』 国書刊行会
 
■臼田捷治 『工作舎物語』 左右舎〔詳細〕

■松田行正、ミルキィ・イソベ、木内達朗 『デザイン・プレゼンテーションの哲学』 左右舎、神戸芸術工科大学レクチャーブックス 〔詳細〕

『猟奇 復刻版』全6、三人社、60000税 〔詳細〕
*昭和初期に出た探偵小説雑誌。

『黒の歴史』 東洋書林

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■2014年4月展覧会総括

20144月に見た、主に美術関連の展覧会13件(201414月では計26件)について個人的な感想と評価を記した。あくまでも主観的なものである。特に騒音・混み具合などは、たまたまその時だけの現象かもしれない。
配列は必ずしも会期順ではない。
 
◆評価ポイント (5)・・・(1)までの5段階評価
A:展示内容(作品、解説)・構成・展示品の質
B:展示方法・動線設計・照明
C:雰囲気・騒音・混み具合
 
4月
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●世田谷美術館 「岸田吟香・劉生・麗子:知られざる精神の系譜」会期:2/8~4/6
A★★☆☆☆B★★☆☆☆C☆☆
*面白い企画だとは思うが、やや無理もあった。第一、岸田吟香は画家でもないので、展示することのできる自身の作品は書や本であったり、広告(引札)や目薬(精錡水)の瓶だったり、地味なものばかり(もっともヘボンによる日本最初の和英辞典『和英語林集成』初版[1867]は、吟香が上海でかなを書いたということなど活字史の観点から興味深いもの)。だが、一見退屈な展示がしばらく続くと、吟香が美術評論を書いていたことが示され、吟香の肖像画や写真(下岡蓮杖撮影)とともに、小林清親(引札も描いていた)や五姓田義松、山本芳翠などの作品につながっていく。なかでも高橋由一の<甲冑図(武具配列図)>は初めて見たが、なかなか精緻な仕上がりで、新巻鮭より数段上と見た。
劉生の人物画は、どれも類似した相貌になってしまうので、さまざまな麗子像を除き自画像以外に見るべきものは乏しい。また、劉生にとって、静物画や風景画(スケッチ的な作品はよいが)は難しかったのではないか。
麗子は父劉生の死後、女流画家になったものの、展示されている作品を見る限りは残念ながら見劣りがするようだ。
ともあれ、3代を無理にでもつなごうとしたこの企画のユニークさは、それなりに評価したい。
 
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●世田谷美術館 「画文往還:世田谷の文人たち」会期:1/25~4/20
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
*上記の展覧会のついでに併設展を見る。実はこちらの作品群(とりわけ絵短冊のコレクション)のほうがはるかに目を楽しませてくれた。ただし副題の「世田谷の文人たち」とあるが、必ずしも世田谷に該当するわけではない文人も多そうだった。
絵短冊は谷文晁や小杉放菴など多くの作家が描いており、出来不出来はあるものの、小品ながら概ね好ましい様にまとまっていた。もっとも河東碧梧桐の書は下手そのもので醜いだけ。
 
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泉屋博古館分館 「ちょっとパリまでず~っとパリで:住友グループの企業文化力II会期:3/15~5/11
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆
*住友グループ各社が所蔵する洋画作品から、「パリ」をキーワードに、パリに行ったことのある画家もしくは行きっぱなしの画家を選択した企画(「渡欧日本人画家たちの逸品」というキャッチがチラシにはあった)。パリで模写に励んだ習作があったり、いかにも印象派の影響を受けましたといった作品も。
特に気に入った作品としては、三宅克己の<ハムプステッドに於いて吾宿の花園>、鹿子木孟郎の<ノルマンディーの浜>、斎藤豊作の<秋の色>、藤田嗣治の<Y婦人の肖像>、荻須高徳の<線路に沿った家>、小磯良平の<踊り子二人>など。
残念なのが展覧会チラシ。表面と裏面それぞれに掲載されている作品がほとんど重複。それもなぜか異様に小さかったりして、素人デザインとしか思えない出来栄え。今月では一番ダメなチラシであった。
 
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サントリー美術館 「のぞいてびっくり江戸絵画:科学の眼、視覚のふしぎ」 会期:前期3/29~4/22/後期4/23~5/11
A★★★★★B★★★☆☆C★★★ ■図録購入
*これは充実した見応えのある展覧会。ただし前期と後期とではほとんどの作品が展示替えとなる(図録の表紙に大きく描かれている河鍋暁斎の化け猫の絵は、前期には展示されていなかったため、5月に再び後期を見に行くことになってしまった)。
展示品は単なる美術作品にとどまらず、江戸時代の人々の科学的な興味(たとえば顕微鏡、望遠鏡、天球図、博物学など)を示す。美術に関連しても、遠近法の導入(浮絵など)、西洋風の陰影、眼鏡絵などの西洋流の技法が取り入れられていたことがわかる。しかし、なぜかそれらは主流にはならず、あくまでも傍流であり、一部の好事家の世界であったりした。明治開化と相前後して一気に欧風化が進んでしまうのは、いったいなぜだったのだろう。
図録の中、特にタイモン・スクリーチ氏の論文「江戸の視覚革命再考:井上政重と海禁以降の視覚文化交流」の訳にはおかしな点が多い。たとえば注1の位置が間違っているし、注1に示されている永積洋子の論文名は「阿蘭陀の保護者としての井上筑後守政重」ではなく、「オランダ人の保護者としての井上筑後守政重」が正しい(スクリーチ氏の英文では論文の著者名が「Nagatsubo」となっているが「Nagazumi」が正しい読み)。さらに『日本歴史』なんていう専門誌はなく『日本歴史』。注2の位置もおかしい。注3では料編纂所が料編纂所になっている、等々。全体にぎこちない訳文。訳者名は明記されていない。
 
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●三菱一号館美術館 「ザ・ビューティフル:英国の唯美主義1860-1900 展」 会期:1/305/6
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★☆☆
*東京駅周辺美術館共通券3000円で、5館分の展覧会が各館1回ずつ楽しめる。だいぶ前に気づいていたのだが、何とはなしに買いそびれており、当日購入(ただし、三菱一号館美術館など3館は既に売り切れており、東京ステーションギャラリーで購入)。
かなり期待していた展覧会だったのだが、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の中からあれもこれもと少しずつかき集めてきたといった感じがして、展示品の厚みが乏しく、かろうじて何点か見応えがあっただけ。もっと圧倒するような美の奔流のような作品群を期待するのが間違っていたんだろうけど。スウィンバーンが唯美主義のある絵について「この絵の意味は美そのものだ。存在するということだけが、この絵の存在理由だ」と絶賛した言葉が唯美主義を端的に示すものとよく言われるが、残念ながら「美そのもの」として感じる絵や作品は見当たらなかった。むしろ倦怠(アンニュイ)は感じられたが。
そもそも本展に集められた作品群がどれも唯美主義に該当するとも思えない(はたしてウィリアム・モリスも唯美主義者なのか?)。唯美主義とは、あまりにも拡散した曖昧な概念なのではないだろうか。
 
 
インターメディアテク 「驚異の部屋:京都大学バージョン」 会期:13.11/1~5/25
A☆☆☆☆B☆☆☆☆C☆☆☆
インターメディアテクは2回目の訪問。タイトルに惹かれて来たのだが、残念ながら期待外れ。京都大学ならではの違った切り口を期待していたのだが、逆にどれもインターメディアテク風の味付けとなってしまい、完全に埋没(文字通り「埋没」していて、いったいどこで「驚異の部屋:京都大学バージョン」が行われているのかも定かでなかった)。
展示品も特徴を感じさせるようなものはなかった。展示内容に関する説明不足はいつも通り。
 
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出光美術館 「日本の美・発見IX 日本絵画の魅惑」会期:前期4/5~5/6/後期5/9~6/8
A★★★★★B★★★★★C★★★★
*酒井抱一の<風神雷神図屏風>を見に行く。保存がいいのかとてもきれい。今回の展示は出光美術館コレクション展であったが、数多くの優品を見ることができたが、なかでも能阿弥の<四季花鳥図屏風>、歌麿の<更衣美人図>、渡辺崋山の<猫図>、等伯の<松に鴉・柳に白鷲図屏風><色絵桜花文鶴首徳利>など素晴らしいものだった。とりわけ、伝俵屋宗達の<月に秋草図屏風>は、光の当たる角度によって初めてススキがかいま見えるような微妙な描き方をしており、まさに屏風が置かれる位置関係を配慮した仕掛けであり、こればかりは現物に対面しなければ全く鑑賞できない絵であった。
作品ごとに付されている解説表示がとても見やすくてよい。個々の解説ではそれぞれごく簡潔にまとめ、重要なポイントについては、別に「鑑賞のツボ」というミニ解説として、作品の部分図を掲げ目の付け所を教えてくれる。文字も大き目で非常に読みやすいし、当該作品と少し離れた見やすい場所に掲示されている。このところ毎週のように展覧会を見て歩いているのだが、解説表示の大多数は内容が乏しいにもかかわらず無駄に長く、文字が小さく詰まっており、不親切極まりない。その点でも今回の展覧会は非常によかった。
ちなみに、430日付朝日新聞夕刊によれば、当初「だれが決めたんですか、正しい絵の見方なんて」という挑戦的な副題を検討していたそうだ。そう、正しい絵の見方なんてないんですね。個人的には、もし自分が貰えるとしたら欲しいかどうかを基準にした見方をしている。だから名ばかり知られているような作家の下手な作品なんぞは見たくもない。人生の終わりも見えてきたので、自分勝手な絵の見方でいきたい。
 
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東京ステーションギャラリー 「光風会100回展記念 洋画家たちの青春:白馬会から光風会へ」会期:3/21~5/6
A★★☆☆☆B★★★☆☆C☆☆☆
*今年の東京ステーションギャラリーは、これといった企画もないので、消去法でこの展覧会を見る。
気に入った作品は、黒田清輝の<鉄砲百合>、岡田三郎助の<五葉蔦>、三宅克己の<風景>、小磯良平の<横臥裸婦>、伊勢正義の<赤い上衣の女>、国領経郎の<砂の上の群像>など。
 
 
太田記念美術館 「広重ブルー:世界を魅了した青」 会期:前期4/1~4/27/後期5/1~5/28
A★★☆☆☆B★★☆☆☆C★★☆☆☆
*期待したよりは平凡な企画であった。タイトル負け。ベルリンブルー(プルシアンブル―、ベロ藍とも)について知りたかったのだが、通り一遍の解説が簡単に掲示されているのみで、図録もない。かつて神戸市立博物館に行った折に、ベルリンブルーをテーマにした展覧会(「西洋の青:プルシアンブルーをめぐって」)の図録を見たのに買っておかなかったのが悔やまれる。
 
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玉川高島屋SC 「たまがわ深海大図鑑展」 会期:4/23~5/6
A★★☆☆☆B☆☆☆C★★☆☆☆
*子ども向け企画ではあるものの、いくつかの標本や深海の映像は楽しめた。オオグソクムシに触れるというのが一つのウリだったが、ちょうど行ったときは動物たちの休憩時間(ストレスが溜りすぎるので)だったかめ、眺めるだけ。話題になっているダイオウグソクムシは標本だけ展示されていたが、巨大なダンゴムシとしか思えないものの、愛敬がある(オオグソクムシはそれよりはだいぶ小さい)。
会場である玉川高島屋SCのアレーナホールは、バーゲンセールにもっぱら使っている場所なので、場末のしょぼくれた祭りの屋台みたいな雰囲気ではあったのだが。
 
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東京国立博物館 「開山・栄西禅師800年遠忌 栄西と建仁寺」会期:3/25~5/18
A★★★☆☆B★★☆☆☆C★★★☆☆
*展示自体は寺院内のように設営したりして頑張っているのだが、東博のいつもの展覧会同様、依然として解説と展示物とが離れていたりしていて大変見にくい。
見たかったのは、宗達<風神雷神図屏風>とともに海北友松<雲龍図>だったので、後者の全8幅を展示している期間に行く(昨年建仁寺でキヤノン製の出来の悪い複製品を見せられたので、実物をぜひ見たかった)。<小野篁・冥官・獄卒立像>は面白かった。それ以外はほとんど興味を覚えず。
宗達<風神雷神図屏風>とともに、東博本館の光琳作を見る。数日前に出光美術館で鈴木其一の<風神雷神図屏風>を見たばかりなので、3作品を一挙に見直すことができた。宗達の左隻はかなり剥落が激しく、また黒雲の垂らし込みが右隻に比べて随分薄れていることに気がつく。照明のせいもあるかもしれないが、印刷物で見るときとは大きな落差がある。逆に光琳の黒雲はうるさいぐらい濃い。光琳は描いているうちにどんどん濃く、広がってしまったのだろうか。光琳は宗達のものの上に薄い紙を置きなぞって模写する「透き写し」をしたとされているようだが(《芸術新潮》20144月号p.22の安村敏信氏の発言)、どうもそこまで同一にも見えず、恐らくは徹底的に見ることでほとんど同じように描き直したのではないだろうか。
海北友松は筆に勢いのある作品は素晴らしく良いが、丁寧に描こうとすると凡庸になる(この後に東博本館に展示されていた<琴棋書画図屏風>などを見たが、人物の造形が類型的で、筆も止まってしまい、陳腐である)。
なお、「キトラ古墳展」も見る予定だったが、外に1時間、中に入って30分も並ぶと聞いて、即断念。
 
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国立西洋美術館 「ジャック・カロ:リアリズムと奇想の劇場」 会期:4/8~6/15
A★★★☆☆B★★★☆☆C★★★☆☆ ■図録購入
国立西洋美術館では約400点にのぼるカロの版画を所蔵している。今回その中から約220点を展示。カロの作品はこれまでに断片的に見てきただけであったので、初めて初期から晩年に至るまでの作品を通覧できた。
とりわけ、<聖アントニウスの誘惑>2を見ることができたのが最大の収穫。
 
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国立西洋美術館 「非日常からの呼び声:平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」 会期:4/8~6/15
A★★★★B★★★☆☆C★★☆☆☆
*期待していなかったが、これは意外にも収穫のあった展示。なかでも、マルカントニオ・ライモンディ / アゴスティーノ・ヴェネツィアーノの版画<魔女の集会(ストレゴッツォ)>(なぜか本作品は国立西洋美術館の「作品検索」でヒットしない)、ルカス・クラーナハ(父)およびダフィット・テニールス(子)によるそれぞれの<聖アントニウスの誘惑>、ヴィルヘルム・ハンマースホイの<ピアノを弾く妻イーダのいる室内>などがよかった。それから子供の頃好きだったギュスターヴ・クールベの<>にもまた会えてよかったのだが、本展の掉尾を飾るにふさわしいのか、いささか疑問。
国立西洋美術館所蔵作品の中から選定したという風に聞いていたが、オディロン・ルドンの<アポロンの二輪馬車>だけはなぜかポーラ美術館所蔵作品。
 

『浮世絵出版論』◆商品としての浮世絵について

某月某日、こんな本を読んだ。
 
 大久保純一『浮世絵出版論:大量生産・消費される〈美術〉』吉川弘文館、2013410日、226,3p3800円+税 [注○文×索×(巻末に「図版目録」)]
 
本書は、浮世絵が生み出される背景とその流通のあり方を通じて、それらが浮世絵の画風の変化や主題の生成にどのような影響を及ぼしたかという点を明らかにしようと試みた書である。
 
最初に目次を示しておこう。
 プロローグ 浮世絵の宿命
一 錦絵の制作と販売
二 名所絵の流通
三 忠臣蔵物の錦絵と泉岳寺
四 幕末の錦絵出版:「これが江戸 錦絵合」から
五 錦絵出版の背景事情:三代豊国晩年の書簡に見る
六 盛り場から生まれる肉筆浮世絵:国立歴史民俗博物館所蔵「浅草風俗図巻」から
 
プロローグにおいて、浮世絵の流通に関わる研究史を簡潔に概観する。
そして、第章において、素人にもわかりやすいよう、まず錦絵の広範な購買層の存在を踏まえ、流通・販売を担う地本問屋・絵草紙屋、錦絵の制作工程、小売りの価格、摺り枚数、といった錦絵の制作と販売の概略を示す。
たとえば錦絵の摺り枚数だが、よく浮世絵の通俗解説本には初摺り1200枚で、売り切れそうなら2杯目、3杯目と増し摺りするなどと書かれているのに対し、<出版コストのことを考えると、そもそもわずか200枚で打ち止めの可能性のある錦絵をつくることはまず考えられない。>(p.30)とした上で、曲亭馬琴の天保12年(1841)の書簡を紹介する。これには、徳川家斉の葬儀があって市中は自粛が求められており絵草紙屋の商売が低調であるという内容に続き、<よく売れる錦絵であっても2000枚、そうでないものは1000枚か1500枚で「売留」となり、二ヶ月もすればどこの絵草紙屋の店頭でも見出せなくなる>(p.45)とある。「売留」は販売終了のこと。おそらく初摺りとしては1000枚前後を制作していたのであろう。もとより時事的・風刺的な際物の場合は、ときに短期間のうちに8000部といった大量部数さえ売り上げているものすらある(pp.48-50)。
こうした第一章で押さえた基本情報が、次章以降を読む際のバックボーンとなる。
 
第二章では、名所絵がどのように売られていたのかを推測し、その上で名所絵のつくられかたを考察する。名所絵自体については、とくに広重を中心に『広重と浮世絵風景画』で詳しく検討されていたのだが、<名所絵を商品としてとらえる版元の目線>(p.62)という観点で、名所絵ならではの市場論理が鮮やかに解き明かされる。
まず絵草紙屋の店頭を観察する(『浮世絵の鑑賞基礎知識』pp.213-5でも既に触れてはいるが)。そのためには、絵草紙屋の店頭が描かれた錦絵を題材に、陳列形態、とくにジャンル別の配置を見ていくと、店頭で目立つ位置には役者絵で、名所絵は脇に置かれるか出てもいないことがわかる。実は役者絵は上演期間中が販売期間であり、商品生命はかなり短かった。だからこそ店頭で一番目立つように陳列していたのである(p.75)。美人画も数年から10年前後で様式が変遷しているとされ、流行に左右された(p.77)。だから第一章で示されたように、店頭ではせいぜい「二ヶ月」の命なのであった。
一方で、名所絵は<長期にわたり持続的に売れた>(p.80)。したがって版木が磨滅するまで、出し続けてきたのであったし、《冨嶽三十六景》や保永堂版《東海道五十三次》といった人気の名所絵に類似する商品がなかなか出てこなかった。すなわち、売れ筋の揃物があれば、<役者絵などと異なり、それだけの費用と手間をかけるほど目覚しい売れ行きが期待できるものでもない>(p.86)のであるし、<商品生命の長い名所絵においては、一人のきわめて有能な絵師が登場すれば、もはや業界としては足りてしまう>(p.88)からだ。
ほとんど名所絵といえば北斎・広重に収斂してしまいかねないのだが、それも理由があってのことだった。絵草紙屋の店頭を観察することから、名所絵ならではのつくられかたを見出すことができた。
 
第三章は、忠臣蔵の義士の墓がある泉岳寺がなぜ名所絵に描かれていないのか、という疑問に答える内容である。泉岳寺は四十七士の墓所がある以外には景観の素晴らしさはなさそうだが、それでも多くの人々が参詣している。<それにもかかわらず、不思議なことに北斎や広重ら、名所絵を得意とした浮世絵師によって錦絵の主題として取り上げられることは、ほぼ皆無であるといってよい。>(p.101
まず忠臣蔵錦絵が3000種類以上も出されていたことを踏まえ、泉岳寺には名所として多数の参詣客が訪れていたことを紹介する。毎年末の義士祭のみならず、めったに行われなかった開帳(江戸時代には6回のみ)に当て込んだ錦絵も数多く売り出されていたのであった(もっとも寛永元年〔1848〕の開帳に際して出版された義士の錦絵は、《誠忠義士伝》51枚揃以外は不当たりだったようだが)。一方、各段通しの揃物を子細に検討した結果、一二段目、すなわち主君塩冶判官の墓前に師直の首を供えて仇討の成就を報告している場面において、多くの作品の背景には高輪の海が描かれていることを発見する(p.121)。泉岳寺の<境内そのものはいわゆる「絵になる」要素が乏しいところであった。しかしながら、境内から見る高輪の海景は、遠く下総・上総まで見通せる素晴らしいものであった。>(p.123
結論を言ってしまえば、<浮世絵風景画が盛んになった天保期以降に描かれる忠臣蔵各段通しの揃物の12枚目〔一二段目〕が、泉岳寺を描く名所絵とほぼ同等の役割を果たしていたからと考えられる。>(p.124
 
第四章では豪華摺りの存在について検討する。たとえば大判錦絵の上限価格が18文とか16文と定められていた(江戸後期の相場でも30文前後)にもかかわらず、1枚1匁5分(約150文)という高額な豪華版錦絵も売られていた(p.135)。そういった豪華摺りの事例を前提に、3年もかかって出版された広重の《名所江戸百景》全118図(目録・二代作を除く)に、初摺りの特徴を図ばかりで揃えたものが何組も伝えられているという謎に迫る。
浅野秀剛氏は、事前に摺り溜めたものを寄せ集めた結果と推理する(『広重名所江戸百景:秘蔵岩崎コレクション』)。これに対し本書では、むしろ完結後に画帖仕立てにしようとした際に、改めて初摺り同様に丁寧な摺りの一揃いを作ったのであろうとする(p.147)。《冨嶽三十六景》について言えば、<北斎、あるいは版元西村屋は、この揃物刊行のかなり早い時期において、完結後の一括販売を想定していたのである。>(p.152
この考えに立てば、摺りの早いものが良質で、後になれば質が落ちるという常識にも、一定の留保をつけねばならなくなる(p.148)。さらに一歩踏み込んで、<後から摺られたものの方が良い摺りがあるとするならば、最良の摺りにもとづいて絵師の表現意図を汲み取るという作業そのものも成り立たなくなる場合さえあるだろう。>(p.149)とまで、言及する。となれば、これまで初摺りとしてきたものも、改めて精査する必要がでてくるかもしれない。
一方、こうした考察の結果、幕末期における錦絵の出版形態として、揃物として一括販売する販売戦略がとられていたことを指摘する。画帖の形をとって販売された最初のものは、保永堂版《東海道五十三次》だとされている(p.151)。当然、大規模揃物としてまとめ売りをすることは、1枚ずつばら売りするよりも、版元にとってはるかに大きな利益をもたらすことができたはずなのである(p.155)。
 
以上のように、錦絵の流通・販売の実態を検討することにより、従来の美術史の常識を改めるべき重要な知見がいくつも得られた。
ちなみに、<一日に3200枚もの枚数を摺り上げる職人工房の体制がつくられていたことも注目に値する>(p.50)という指摘はあるのだが、残念ながら工房の実態にこれ以上踏み込むことはない。狩野派はじめ日本の美術世界では工房で制作されてきた作品は数多い。浮世絵も本書の指摘を待つまでもなく、絵師・彫師・摺師らによるいわば工房的なシステムで商品を作り上げてきた。次著ではこのあたりのテーマに注力してもらえないだろうか。
 
 
なお、文中で触れた本は以下の通り。
大久保純一『広重と浮世絵風景画』東京大学出版会、20074月、317, 15p5400
浅野秀剛監修『広重名所江戸百景:秘蔵岩崎コレクション』小学館、20078月、215p9500
小林忠、大久保純一『浮世絵の鑑賞基礎知識』至文堂、19945月、263p3689円+税
 
 
◆[大久保純一]著作リスト
監修、論集などの論文、展覧会図録などを除く
 
辻惟雄、大久保純一『原色日本の美術 第18巻 浮世絵』小学館(発売: 綜合教育センター)、19944月、250p7000 (税込)
◎小林忠、大久保純一『浮世絵の鑑賞基礎知識』至文堂、19945月、263p3689円+税
                   *制作についてはpp.177-204に詳しい。流通についてはpp.205-222に簡略に触れる。
大久保純一『豊国と歌川派』至文堂、日本の美術第366号、199611月、98p1553 (税込)
●大久保純一解説/鈴木重三監修『広重六十余州名所図会:プルヴェラー・コレクション』岩波書店、199612月、255p12360 (税込)
●鈴木重三、木村八重子、大久保純一『広重東海道五拾三次:保永堂版』岩波書店、20041月、215p22000
◎●大久保純一『北斎の冨嶽三十六景:千変万化に描く』小学館、アートセレクション、20059月、127p1900
●大久保純一『広重と浮世絵風景画』東京大学出版会、20074月、317, 15p5400
●大久保純一『浮世絵:カラー版』岩波書店、岩波新書、200811月、188, 8p1000
◎●大久保純一『北斎:カラー版』岩波書店、岩波新書、2012522日、194,4p1000
【本書】●大久保純一『浮世絵出版論:大量生産・消費される〈美術〉』吉川弘文館、2013410日、226,3p3800
 

■既刊・近刊メモ(2014年5月版 Ver.1)

20144月中に刊行された(はずの)本と、5月以降の近刊を掲載する。*以下に、出版社による紹介記事を中心に多少余計なコメントを付した。日付は発行日ではなく、発売日。発売日順を原則としているが、WEBでの確認が中心なので、違っているかもしれない。
●:前回掲載のものから追加・変更した本。ただし、細部の変更等は含まず。
なお、近刊の本についてはあくまでも予定であり、タイトル・発売日・価格ともに変更の可能性はある。
次の行は私的メモ。
■:読んだ本(▲:元版で読んだ)、■:買った本(▲:元版所有)
 
【4月に出た本から】
 
外山滋比古 『乱読のセレンディピティ』 扶桑社、4/3920+税 〔詳細〕
*乱読によって思いがけないものを発見する能力〈セレンディピティ〉が起こることを教えてくれる。「本は身ゼニを切って買うべし」「知識と思考」など、「知の巨人」が思考を養い人生が変わる読み方を伝授!

■中右瑛、悳俊彦、稲垣進一監修 『歌川国芳奇想天外:江戸の劇作家 国芳の世界』 青幻舎、4/72300円+税 〔詳細〕
*迫力のドクロ絵に、躍動感あふれる捕鯨の図。江戸時代に活躍した浮世絵師・国芳の作画は、ユーモアと斬新さに満ちている。出世作“水滸伝”シリーズを含む「武者絵のはじまり・豪傑・合戦の図」、動物を擬人化した「戯画」、庶民の光景を描いた「江戸名所と地方名所」など、国芳作品を網羅。201415年開催の同名展覧会の公式図録兼書籍。

ず・ぼん編集委員会編 《ず・ぼん》19、ポット出版、4/81800円+税 〔詳細〕
*仏日の国立図書両館長による自国のデジタル化報告、図書館内に書店を併設した武雄市図書館の館長インタビュー、資料の電子化で浮上するオーファン(孤児著作物)問題など、図書館、そしてデジタル化のいまを取り上げる。

ニコラス・J・ベーカー=ブライアン/青木健訳 『マーニー教:再発見された古代の信仰』 青土社、4/92600円+税 〔詳細〕
*イエスを教義の枢要な地位におくマーニー教は、ゾロアスターや仏教の要素を接収しつつ東西に拡散、未曾有の大宗教となった。ローマ帝国においては初期キリスト教会と覇権を争い、一時は全ローマをマーニー化する勢いをしめしたが、その教勢も今日までにほぼ消滅、真の姿はいまだベールをかぶったままだ。キリスト教会に根源的な恐怖を植え付けたマーニー教とはいかなる宗教だったのか? この古代の魅力的な宗教について考察し紹介する、絶好の入門書。

竹下節子 『ユダ:烙印された負の符号の心性史』 中央公論新社、4/102500円+税〔詳細〕
*裏切りの象徴はいかに生まれ、いかに描かれたのか? 古今東西の伝承や文献からユダの伝説を多角的に比較分析、両義性に着目しながら「負の符号」に託し託された精神を解読する。

《本の雑誌》 5月号「特集:東京創元社に行こう!」、本の雑誌社、4/10648円+税〔詳細〕

■石川九楊 『九楊先生の文字学入門』 左右社、4/102963円+税 〔詳細〕
*文に文法があるように書字にも主語や動詞がある! 手書き文字がもつ圧倒的な情報量を伝える十二講。

■レジス・ドブレ/西兼志訳 『大惨事(カタストロフィー)と終末論:「危機の預言」を超えて』 明石書店、4/102600円+税 〔詳細〕
*突如、襲う天変地異や産業的大事故。こうした大惨事(カタストロフィー)に乗じ、動揺する人々を利用すべく、繰り返し登場する終末論的言説の本質とは。危機の時代、ショック・ドクトリンを乗り越える智慧はもてるのか。

大澤千恵子 『見えない世界の物語:超越性とファンタジー』 講談社選書メチエ、4/101650円+税 〔詳細〕
 *いまや大人をも魅了するファンタジーは、宗教的な神話や伝説、昔話が源泉。いかに文学的な物語に変容したか、歴史を辿る。

■落合淳思 『漢字の成り立ち:『説文解字』から最先端の研究まで』 筑摩選書、4/141600円+税 〔詳細〕
*正しい字源を探るための方法とは何か。『説文解字』から白川静までの字源研究を批判的に継承した上で到達した最先端の成果を紹介する。

喜国雅彦 『本棚探偵最後の挨拶』 双葉社、4/162800円+税 〔詳細〕
*「蒐めた本は墓場まで持っていけない!」ある日そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ねトランク一つ分に本を詰めたり、遂に私家版『暗黒館の殺人』の製作に着手したり……。本を愛してやまない本棚探偵シリーズ、待望の第4弾!

■小谷野敦 『頭の悪い日本語』 新潮新書、4/17778円+税 〔詳細〕
*気をつけよう、バカな言葉と暗い道。誤用、重言、差別語狩り、嫌いな言葉……350語を一刀両断。

キャサリン・ハーモン・カレッジ/高瀬素子訳 『タコの才能:いちばん賢い無脊椎動物』 太田出版、ヒストリカル・スタディーズ104/172300+税 〔詳細〕
 *地球上の全動物約95%のなかで最高の知能を持つタコ。3つの心臓をもち、血液は青い。巣穴を飾り、庭造りもする。驚異の「タコ学」決定版。

■岡部紘三 『図説ヒエロニムス・ボス:世紀末の奇想の画家』 河出書房新社、ふくろうの本、4/181800円+税 〔詳細〕
15世紀末、忽然と現れた謎の画家ボス。その絵は幻想と異形のものたちに埋め尽くされ、今なお見るものに、衝撃を与え続ける。作品に残された画家の意図を探る、画家ボスへの恰好の案内書。

■今野真二 『日本語の考古学』 岩波新書、4/18800円+税 〔詳細〕
*残された写本や文献をつぶさに観察してみると、そこにはどんな日本語の姿がよみがえるだろうか。微かな痕跡からさまざまに推理する、刺激的な一書。

ロビン・スローン/島村浩子訳 『ペナンブラ氏の24時間書店』 東京創元社、4/211900円+税 〔詳細〕
*サンフランシスコの片隅に、24時間営業している不思議な書店があるという。この書店にはふつうの本も置かれてはいるが、多くは「この世に存在しないはずの本」なのだという。すべての読書好きに贈る冒険と友情の物語。

赤田祐一、ばるぼら 20世紀エディトリアル・オデッセイ:時代を創った雑誌たち』 誠文堂新光社、4/212500円+税 〔詳細〕
*雑誌に詳しい著者が文化やメディアに影響を及ぼした雑誌を選び、関係者の証言やビジュアルで解説。20世紀に刊行した雑誌年表付き。雑誌フリークには堪らない企画だろう。

塩澤幸登『編集の砦:平凡出版とマガジンハウスの一万二〇〇〇日』河出書房新社、4/213000円+税 〔詳細〕
*大衆娯楽雑誌の編集とはどういう仕事なのか。編集者とはどういった人間なのか。著者が在籍した平凡出版=マガジンハウスの雑誌づくりを具体的に活写し、木滑良久の編集思想に迫る。

■モーリー・グリーン/秋山晋吾訳 『海賊と商人の地中海:マルタ騎士団とギリシア商人の近世海洋史』 NTT出版、4/233600円+税 〔詳細〕
*海賊が黄金期を迎えた大航海時代。地中海では、カトリックのマルタ騎士団が略奪を正当化・一大ビジネスにまで発展させた。標的は同じキリスト教徒とはいえオスマン帝国に仕える正教徒のギリシア商人。商人は商品奪還のため、大使館や教会、ときには教皇を動かし訴訟戦術を繰り広げる!

有栖川有栖監修 『完全版密室ミステリの迷宮』 洋泉社、洋泉社MOOK4/231400円+税 〔詳細〕
2010年刊行以降、多くのミステリファンから好評をいただいた『密室ミステリの迷宮』が増補改訂して再登場! 軽薄な編集で損している気がする。

■ヴォルフガング・ベーリンガー/長谷川直子訳 『魔女と魔女狩り』 刀水書房、刀水歴史全書874月、3500円+税 〔詳細〕
*魔女や魔女狩りは人類の歴史の中で未だ終わってはいない。最近の研究に基づく新しい魔女論。Wolfgang Behringer, Wiches and Witch-Hunts: A Global History, 2004 の翻訳。→3月にも未刊。さらに刊行が遅れるか? →ようやく4月下旬には刊行された模様。

■東雅夫・下楠昌哉編 『幻想と怪奇の英文学』 春風社、4/252700円+税 〔詳細〕
*ジェイムズ・ホッグからアンジェラ・カーターまで、気鋭の英文学者らが論じた幻想文学の本格的な研究・批評の集成。巻末には編者によるブックガイドと新たな展望を示す対談を収める。

松田美佐 『うわさとは何か:ネットで変容する「最も古いメディア」』 中公新書、4/25840円+税 〔詳細〕
*デマ、流言、ゴシップ、口コミ、風評、都市伝説……。多様な表現を持つうわさ。この「最古のメディア」は、トイレットペーパー騒動や口裂け女など、戦後も社会現象を巻き起こし、東日本大震災の際も大きな話題となった。事実性を超えた物語が、人々のつながり=関係性を結ぶからだ。ネット社会の今なお、メールやSNSを通じ、人々を魅了し、惑わせるうわさは、新たに何をもたらしているのか。人間関係をうわさから描く意欲作。

デボロ・ノイス/千葉茂樹訳/荒俣宏監修 『「死」の百科事典』 あすなろ書房、4/252800円+税 〔詳細〕
*古今東西、人は「死」とどのように向きあってきたのか。歴史、宗教、民俗学、科学……さまざまな角度から、「死」の謎に迫る、ほとんど類をみないユニークな事典。中学生以上とあるので子供向け?

寺田博 『文芸誌編集実記』 河出書房新社、4/252000円+税 〔詳細〕
*後発誌「文藝」の編集部に配属。金はない、人脈もない、あるのは文学への愛と情熱のみ。作家との切り結びから、誌面作りの細かい苦労話まで。エピソード満載、名物編集者による肉声の文学史。

《ミステリマガジン》6月号、創刊700号記念特大号、早川書房、4/252223円+税 〔詳細〕
*ミステリマガジン総目次年表/総収録短篇リスト/扉絵から見る、名探偵の肖像、など

S・ピーター・ダンス/奥本大三郎訳 『博物誌:世界を写すイメージの歴史』 東洋書林、4/254500円+税 〔詳細〕
*人類の好奇心の結晶であり、現代の百科図鑑の原型でもある数々の博物誌を解説するほか、その成立過程や著者のことも含め詳述。フルカラー65点を含む、図版322点。画家・研究者209人の略伝付き。

野村正人『諷刺画家グランヴィル:テクストとイメージ』 水声社、4/256000円+税
19世紀の出版文化の申し子として、版画、挿絵を通じ、人間、動物、社会のカリカチュアを描いたグランヴィルの世界像を追究する。
 
メラニー・ウォーナー/楡井浩一訳 『加工食品には秘密がある』 草思社、4/251850円+税 〔詳細〕
 *いつまでも腐らない食品? 「ビタミン添加」の正体は? 植物油ならヘルシー? 工業製品化する加工食品業界の最前線を綿密に取材して、その驚きの現状を紹介!

ギャリー・マーヴィン/南部成美訳 『オオカミ:迫害から復権へ』 白水社、4/272500円+税 〔詳細〕
*人間が歴史的にオオカミに投影してきたものとは何か? 最新の研究に基づいた生態学的側面から文化史的側面までを幅広く紹介。「狼男」についても第2章で触れているようだ。

柴野拓美/牧眞司編 『柴野拓美SF評論集:理性と自走性――黎明より』 東京創元社、キイ・ライブラリー、4/283700円+税 〔詳細〕
*数多のSF作家を送り出した〈宇宙塵〉編集長による、貴重な論考とファン活動にまつわる歴史的エッセイを集成。

《ユリイカ》20145月号、特集「マーベル映画」、青土社、4/281300円+税 〔詳細〕
 *『X-MEN』『スパイダーマン』『アイアンマン』から『アベンジャーズ』、そして『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』へ。 

ロレンツォ・ヴァッラ/高橋薫訳 『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』 水声社、4月、3000円+税
*イタリア・ルネサンス期の思想家が徹底的な〈文献学的考証〉〈歴史的考証〉によって、かつてローマ皇帝コンスタンティヌスが教皇シルウェステルに教皇領を寄進した証拠とされた「コンスタンティヌスの寄進状」を駁論し、その真性を否定する論争の書。これはぜひとも読んでみたい。
 
■溝井裕一 『動物園の文化史:ひとと動物の5000年』 勉誠出版、4/302600円+税 〔詳細〕
*古代動物コレクションから生態系改造計画まで。生活スタイル、環境、宗教、植民地支配などに影響されながら変遷するひとと動物の関係史を探り、ひとの自然観を表す鏡としての動物園の魅力に迫る。「絶滅動物を再生せよ!―ナチス・ドイツの仰天計画」という項もある。

小林祥次郎 『人名ではない人名録:語源探索』 勉誠出版、4/301800円+税 〔詳細〕
*日本語では、人名から派生したことば、人名になぞらえたことばが、さまざまな場面で使用されている。八百長、出歯亀、土左衛門、文楽、助兵衛、元の木阿弥・・・。知っているようで、実は知らない目からウロコの語源の数々をご紹介。

ルーサー・ブリセット『Q』上・下、東京創元社、4/30、各1875円+税 〔詳細〕
*主人公と同志たちの夢を陰で操り崩壊させた密偵Qとは何者なのか。著者の正体はエーコではないかと話題を呼んだ超大作。

水地宗明・山口義久・堀江聡編 『新プラトン主義を学ぶ人のために』 世界思想社、4月、2700円+税 〔詳細〕
 *3世紀から6世紀にかけて多彩な「プラトン主義者たち」によって展開されたネオプラトニズム。古代最高かつ最後の形而上学であり、西洋神秘主義思想の源流ともなっているその思想の概要を、充実したコラム15編を織り込みつつ詳しく解説する。5月発行となっているが、4月末には発売済み。

DHjpNo.3「デジタルデータと著作権」、勉誠出版、4月末、1600円+税 〔詳細〕
2014124日に京都大学で行われた緊急シンポジウム「近デジ大蔵経公開停止・再開問題を通じて人文系学術研究における情報共有の将来を考える」。デジタルな文化・学術情報と著作権、およびそこから派生する問題について考える。

 
 
【これから出る本】(タイトル・発売日・価格等はすべて予定)
 
◆5月予定
松村昌家 『大英帝国博覧会の歴史:ロンドン・マンチェスター二都物語』 ミネルヴァ書房、5/13800円+税 〔詳細〕
 *第一回ロンドン万国博覧会の「水晶宮」から日英博覧会まで、イギリス各博覧会の全体像を鮮やかに描く。

井村宏次 『霊術家の黄金時代』 ビイング・ネット・プレス、5/12250円+税 〔詳細〕
 *明治末から昭和初めにかけて出現し、病気治しや催眠術、健康法、霊との交流などに活躍した霊術家たちの破天荒な生涯と共に、その歴史的な意味を探る。西洋医学と科学に対する対立軸として、裏の医術として代替医療家的な役割を果たし、急激な近代化によって失われていった日本的なる者たち。彼らはどのような社会的・文化的背景の中で歴史に登場し、去って行ったのか。

■シシリー・メアリー・バーカー/井村君江訳 『花の妖精:英国の花たち』 主婦の友社、5/15000円+税 〔詳細〕
19世紀前半のヴィクトリア時代英国で生まれた妖精画集『フラワーフェアリーズ』。残されている164本の画と詩を、妖精、英国文化研究の第一人者・井村君江が全面新訳。また、当時の英国の自然や風習などの解説を描き下ろし。

米澤穂信選 『世界堂書店』 文春文庫、5/3700税 〔詳細〕
*不思議な物語、いじわるな話、おそろしい結末、驚愕の真相。あの米澤穂信が世界の名作から厳選した最愛の短編小説が一堂に。

中良子編 『災害の物語学』 世界思想社、5/73500円+税 〔詳細〕
*災害の記憶を語り継ぎ、小さくても声を上げ、歴史に残す。その記録の営みに文学がいかに、自由に、関わっていくか、それが災害の物語学。自然災害・環境破壊・疫病から超常現象まで、アメリカ的想像力の結晶である災害表象の諸相を解明する。

G・ベシュテル&JC・カリエール/守能信次訳 『万国奇人博覧館』 ちくま文庫、5/81500円+税 〔詳細〕
*無名の変人から、ゴッホ、ルソーらの有名人、「聖遺物」「迷信」といった各種事象や営みまで。人間の業と可能性を感じさせる超絶の人生カタログ。元版は筑摩書房、199611月に刊行。

佐藤卓己 『増補 大衆宣伝の神話:マルクスからヒトラーへのメディア史』 ちくま学芸文庫、5/81500 円+税 〔詳細〕
*祝祭、漫画、シンボル、デモなど政治の視覚化は大衆の感情をどのように動員したか。ヒトラーが学んだプロパガンダを読み解く「メディア史」の出発点。元版は弘文堂、199212月に刊行。増補版らしい。

北村薫・宮部みゆき編 『読まずにいられぬ名短篇』 ちくま文庫、5/8900円+税 〔詳細〕
*松本清張のミステリを倉本聰が時代劇に!? あの作家の知られざる逸品から時代に埋もれた名品まで厳選の18作。北村・宮部の解説対談付き。

宮田親平 『「科学者の楽園」をつくった男:大河内正敏と理化学研究所』 河出文庫、5/8920円+税 〔詳細〕
*所長大河内正敏の型破りな采配のもと、仁科芳雄、朝永振一郎、寺田寅彦ら傑出した才能が集い、「科学者の自由な楽園」と呼ばれた理化学研究所。その栄光と苦難の道のりを描く。うまくいけば絶妙なタイミングで刊行というわけだったのだが・・・。

平川義浩 『絵はがきで愛でる富士山』 青弓社、5/102000円+税 〔詳細〕
*広告・年賀に乗り物・干支・登頂・風景・見立てなどのジャンルに分けて、明治期から昭和初期までのアンティーク絵はがきで富士山を味わう。フルカラー・200点の絵はがきから日本人が愛した様々な富士山が浮かび上がる。

生田耕作編訳 『愛書狂』 平凡社ライブラリー、5/101400円+税 〔詳細〕
 *19世紀フランス、古本道楽黄金時代のフローベール、デュマら名だたる書物狂いが遺した愛書小説アンソロジー。本の病は不治の病!

中村圭志 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密』III、トランスビュー、5/10、各2000円+税 〔詳細〕
 *バーチャル宗教としてのファンタジー。なぜ魅了されるのか、その圧倒的なパワーはどこから来るのか。フェミニズムも法華経もパラレル・ワールドもある不思議な夢空間。

吉丸雄哉・山田雄司・尾西康充編著 『忍者文芸研究読本』 笠間書院、5/121800円+税 〔詳細〕
 *「忍者像」はどのように創られたのか。小説・芸能・漫画・映画…フィクションの世界における忍者像を、国内外の視点から解き明かす!

ミステリー文学資料館編 『古書ミステリー倶楽部 2 光文社文庫、5/13800円+税 〔詳細〕

霜月蒼 『アガサ・クリスティー完全攻略』 講談社、5/142200+税 〔詳細〕
*クリスティー作品の魅力、そしてクリスティー作品を語ることの魅力をあますところなく伝える、クリスティー評論&エッセイの決定版。

グレン・グリーンウォルド/田口俊樹・濱野大道・武藤陽生訳 『暴露:スノーデンが私に託したファイル』 新潮社、5/141700円+税 〔詳細〕
 *国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に在籍したエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託した。香港で密会した情報提供者の実像、そして文書の戦慄すべき全貌――。一連の報道で英紙〈ガーディアン〉にピューリッツァー賞をもたらした当人がいま、すべてを明かす。

■小野俊太郎 『ゴジラの精神史』 彩流社、フィギュール彩、5/151900円+税 〔詳細〕
*『モスラの精神史』『大魔神の精神史』の著者による、目からウロコのウンチク満載、究極の深読み、そして新たなゴジラ像が出現する書下ろしゴジラ論。

石川幹人 『「超常現象」を本気で科学する』 新潮社、新潮新書、5/16700円+税 〔詳細〕
*どこまでが解明され、何が未だに謎なのか? 幽霊・テレパシー・透視・念力・予知……。「非科学的」とされがちな現象に、それでもあえて「科学的」に挑戦する異端の科学者たち。知られざる世界の最先端とは?

小中千昭 『恐怖の作法:ホラー映画の技術』 河出書房新社、5/192800円+税 〔詳細〕
*ホラー映画やアニメの第一線で活躍してきた著者が、小説や映像など様々な形で人を惹きつけ続ける「ホラー」つまり「怖い物語」がどのように作られるかを論じ、技術を伝授する実践的な一冊。

河出書房新社編集部編 『月岡芳年:血と怪奇の異才絵師』 河出書房新社、5/192000円+税 〔詳細〕
12歳で国芳の門に入り、衝撃の残酷絵で一躍人気絵師へ。武者絵から歴史画まで多様な画風をこなし、維新後は時事報道に新生面を見出した芳年の魅力を、傑作の数々とともに。

■ティム・インゴルド/管啓次郎解説、工藤晋訳 『ラインズ:線の文化史』  左右社、5/212800円+税 〔詳細〕
*人間世界に遍在する〈線〉という意外な着眼から、まったく新鮮な世界が開ける。知的興奮に満ちた驚きの人類学! 刊行されるというアナウンスがあってから、いつまでも出なかったのだが、果たして215日に刊行できるか・・・→320日発売予定に変更。→420日に発売予定。→521日に発売予定。

諏訪部浩一 『ノワール文学講義:A Study in Black』 研究社、5/222000円+税 〔詳細〕
*出口がなく閉塞したこの世界で、不条理な運命に翻弄されてあえぐ人間を、犯罪ドラマのスタイルで描く「ノワール」――ジム・トンプスンの復活やジェイムズ・エルロイの活躍以降、文学・映画において、今日ますます切実な表現として求められているジャンルの起源と根源を、『「マルタの鷹」講義』の新鋭が究明する。

『本屋の雑誌 別冊本の雑誌17』 本の雑誌社、5/221980円+税 〔詳細〕
 *創刊から39年、本とともに本屋さんを見つめ続けてきた「本の雑誌」が送る、まるごと一冊「本屋」の雑誌。過去の記事と新原稿を合わせた400ページを越える本屋大全。

乾石智子 『沈黙の書』 東京創元社、5/231800円+税 〔詳細〕
*天と地のあいだ、オルリアエントの激動の時代を描く、人気ファンタジー〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ最新刊。

MH・ニコルソン/浜口稔訳   『ピープスの日記と新科学』 白水社、高山宏セレクション/異貌の人文学、5/234200円+税 〔詳細〕
*サミュエル・ピープスの『日記』を通して、ロンドン王立協会と科学者たち、光学器械、顕微鏡、空気の計量実験、初めての輸血、双底船の発明、科学狂いの〈ヴァーチュオーソ〉に向けられた辛辣な諷刺など、17世紀英国〈新科学〉時代の諸相を描いた文化史研究の好著。

植田樹 『ロシアを動かした秘密結社:フリーメーソンと革命家の系譜』(仮)彩流社、5/232900円+税 〔詳細〕
*歴史の水面下で改革と革命を担った政治思潮の視点から、知られざるフリーメーソンの思想と組織、歴史的役割を史実と実話のエピソード、手記などを積み重ねて掘り起こした労作。

西成活裕 『誤解学』 新潮社、新潮選書、5/231200円+税 〔詳細〕
 *なぜ自分のことを正確に理解してくれないのだろうか? 恨み、嫉妬、断絶、争い――。人類誕生以来、人間関係で国家間で、それを解消することはできないでいる。種類、メカニズム、原因、対策など、気鋭の渋滞学者が世界で初めて「誤解」を系統立てた話題の書。

齋藤希史 『漢字世界の地平:私たちにとって文字とは何か』 新潮社、新潮選書、5/231200円+税 〔詳細〕
 *漢字はいつどのようにして漢字となり、日本人はこれをどう受けとめてきたのか。そもそも話し言葉にとって文字とは何なのか。和語、訓読、翻訳とは? 古代中国の甲骨文字から近代日本の言文一致まで――漢字世界の地平を展望し、そのダイナミズムを解き明かす。

ブラム・ストーカー/田内志文訳 『吸血鬼ドラキュラ』 角川文庫、5/24840円+税 〔詳細〕
 *『ドラキュラ』の新訳か。

■アルベルト・マングェル/野中邦子訳  『読書礼讃』 白水社、5/253800円+税 〔詳細〕
*ボルヘスをはじめとする先人を偲びつつ、何よりも「読者」である自身の半生を交えて、書物との深い結びつきを語る。

■星野渉 『出版産業の変貌を追う』 青弓社、5/252000円+税 〔詳細〕
*激動する出版業界に伴走して「文化通信」で問題点をえぐり、改革を提言し、マーケティングと流通に対する積極的で大胆な発言で刺激を与えている敏腕編集長のこの10年の発言をテーマごとにまとめる。

■吉田典史 『ビジネス書の9割はゴーストライター』 青弓社、5/251600円+税 〔詳細〕
*ゴーストライター経験豊富な著者が、とくにビジネス書にまつわる仕事の実態や収入、トラブルや確執の内実とその対処法、ライターとしての心構えなどを紹介し、著者・出版社・ライターの知られざる関係性を明らかにする。ゴーストライターにまつわる基礎知識をまとめたQ&Aも所収する初めての書。

菊地信義 『菊地信義の装幀』 集英社、5/269000円+税 〔詳細〕
*ここに、本がある──世紀をまたぎ出版文化を牽引しつづける菊地信義のブックデザイン集。1997年から現在までの仕事から約1400点を厳選し、「形体」「文字」「図像」からなる三部構成で提示する。

エリック・ハズペス 『異形再生:付「絶滅動物図録」』 原書房、5/262800円+税 〔詳細〕
 *19世紀末、スフィンクス、ケンタウロスにハルピュイアなど伝説の奇獣の解剖図を『絶滅動物図録』として記し、消息を絶ったスペンサー・ブラック博士。その数奇な人生をたどり、代表作『絶滅動物図録』を付したゴシック風味に満ちた奇書。

奥野卓司 『江戸〈メディア表象〉論:イメージとしての〈江戸〉を問う』 岩波書店、5/272700円+税 〔詳細〕
 *歴史事実の検証によってではなく、「イメージとしての江戸」が、テレビ、小説、マンガ、教科書などの〈メディア表象〉によって、いかにつくられたのか、それがその時代の人々の意識にどう影響してきたかを解読する。

■高橋豊 『精神障害と心理療法:「悪魔祓い」から「精神分析」、「親-乳幼児心理療法」への概念の変遷』 河出書房新社、5/273800円+税 〔詳細〕
*歴史の中で変化する「正常」と「異常」の線引き、時代により学派により大きく異なってきた「精神障害」とそれを治療してきた「心理療法」、その研究と概念の変遷を追う。

松浦寿輝 『明治の表象空間』 新潮社、5/305000円+税 〔詳細〕
*表象とは思考によって反復された「現在」である。つまり世界は表象なのだ――。太政官布告から教育勅語まで、博物誌から新聞記事まで、諭吉から一葉まで、明治期のあらゆる言説アーカイヴを横断的に俯瞰し、現代に直結する言語のダイナミズムを剔抉する知の大著。

リチャード・ルービン/根本彰訳 『図書館情報学概論』 東京大学出版会、5月下旬、5600円+税 〔詳細〕
*いま、司書の養成をおもな目的とした図書館学が、より包括的な課題に対処するために、図書館情報学へと変貌しつつある。その背景のもと、発祥の地であるアメリカの大学院でレクチャーされている図書館情報学の全貌を紹介し、その最前線へと誘う。

原田裕 『東都書房と出版芸術社』(仮)論創社、出版人に聞く145月、1600円+税 〔詳細〕

《書物学》2巻 特集「書物古今東西」、勉誠出版、5月、1500円+税 〔詳細〕
*世界三大宗教の思想を伝える書物をはじめ、忍術書や艶本、アジア世界に生まれた擬似漢字による典籍、そして電子書籍まで、洋の東西を越え、古今の書物文化の海を航海する。

山崎力 『捏造しない・させないための臨床研究のお作法』 SCICUS(サイカス)、5月 〔詳細〕

岡留安則 『こんな日本に誰がした!休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り』 双葉社、5月以降、1200円+税 〔詳細〕
*数々のスキャンダルを白日の下に晒し、「権力の監視」というメディアの役割を担い続けてきた伝説の雑誌『噂の真相』が休刊して今年で10年。『噂の真相』なき10年を編集長・岡留安則はどう見てきたのか。

◆6月予定
ブライアン・クレッグ/竹内薫訳 『世界はデタラメ:ランダム宇宙の科学と生活』 NTT出版、6/12 〔詳細〕
 *偶然の世界へようこそ! カジノのルーレット、地震を引き起こすカオス、量子の奇っ怪なふるまいまで、宇宙の驚くべき現実をときほぐす「偶然の科学」への招待!

荒俣宏編 『怪奇文学大山脈1 西洋近代名作編 19世紀篇』 東京創元社、6/272400円+税 〔詳細〕
 *西洋怪奇小説の鉱脈は、汲めども尽きぬ宝の山――その中から燦然たる傑作・怪作を拾い集め紹介し続けた稀代の碩学・荒俣宏が贈る、怪奇幻想文学にまつわる仕事の集大成! 正統にして至高のアンソロジストが精選した、西洋怪奇幻想の神髄を全3巻に収める。

マーヴィン・ピーク&メーヴ・ギルモア/井辻朱美訳 『タイタス・アウェイクス』 東京創元社、6/20880円+税〔詳細〕
*〈ゴーメンガースト三部作〉はもともと三部作として構想されたものではなかった。著者ピークは第四部を構想し、一部の原稿とアイディアの断片を遺していたのだ。夫亡きあと、夫人のメーヴ・ギルモアがそれをもとに書き上げたのが本書。故郷の城を離れたタイタスは、さらに彷徨を重ねる。奇矯な人々に出会い、様々な出来事に遭遇するも、何処にも安住の地を見いだせず終わりなき探索を続けるタイタス。幻想文学の最高峰シリーズ幻の最終巻が、ついに姿を現す。

■杉江松恋 『路地裏の迷宮踏査』 東京創元社、キイ・ライブラリー、6/281500円+税 〔詳細〕
*作家たちの知られざる交友関係から創作にまつわる意外なエピソードまで、読んで為になる情報が満載。《ミステリーズ!》連載が加筆訂正の上、単行本に。

『江戸川乱歩の迷宮世界』 洋泉社、6月、1300円+税 〔詳細〕

風間賢二 『ファミリー・ブラッド:家族にはつねにすでにモンスターが潜んでいる!』(仮)彩流社、6/251600円+税 〔詳細〕
*カルトな「文学」と「映画」を素材として家族内部にすでに潜在する恐るべき「怪物/モンスター」を白日のもとに曝す。この本もアナウンスばかりで刊行が遅れている。

キャサリン・ゴヴィエ/モーゲンスタン陽子訳 『北斎と応為』(仮)上・下、彩流社、6/25、各2500円+税 〔詳細〕
 *浮世絵師・北斎の娘、応為(おうい)こと葛飾お栄の謎に包まれた生涯を描き出す。「美人画では娘に敵わない」と北斎をして言わしめた実在の娘・お栄(画号は応為)。緻密な描写、すぐれた色彩と陰影表現を得意とし、父と共作するだけでなく、代作もしていた。歴史の闇に消えていった「もうひとりの北斎」を、綿密な調査と豊かな想像力で描き出した歴史フィクション!

千葉県立中央博物館監修 『図鑑大好き!:あなたの散歩を10 倍楽しくする図鑑の話』 彩流社、6/252000円+税 〔詳細〕
 *自然観察に欠かせない「図鑑」を徹底紹介。図鑑大国の日本で刊行された図鑑の歴史・作り方・工夫などから、身近な自然の散歩・探検に最適の図鑑をナビする。博物館初の「図鑑展」図録。

ポール・ホフマン/持田鋼一郎訳 『魔都ウィーン:栄光・黄昏・亡命』 作品社、6月、2800円+税
16世紀、オスマン・トルコによるウィーン包囲、20世紀ヒトラーによるオーストリア併合など時代の荒波に翻弄されながら、数多の才能を輩出し、西欧文化の一翼を担い続けた栄光の都。モーツァルト、クリムト、フロイト、ヒトラーなど多方面の異才たちの事跡を通して描出する華麗な魔都の全貌。
 
安村敏信監修 『別冊太陽(日本のこころ219号) 妖怪図譜』 平凡社、6月下旬
 *浮世絵師の妖怪画、おもちゃ絵、草双紙などの妖怪図像を紹介。
 
◆7月以降予定
■ポール・コリンズ/山田和子訳 『バンヴァードの阿房宮:世界を変えなかった13人』(仮)白水社、夏
*壮大な夢と特異な才能をもちながら、世界を変えることなく歴史から忘れられた天才13人を紹介したポートレイト集。
 
J・B・ホラーズ編/古屋美登里訳 『モンスターズ』 白水社、8
*吸血鬼、ゴジラ、モスマン、ビッグフット、ミイラ、ゾンビなど異形の「怪物たち」をテーマに、曲者ぞろいの新鋭・中堅作家18人が腕を競う、異色の短篇アンソロジー。
 
■カート・ヴォネガット/大森望訳 『ヴォネガット未発表短篇集』 河出書房新社、夏
*天才ヴォネガットの生前未発表短編14篇。
 
■ミハル・アイヴァス/阿部賢一訳 『黄金時代』 河出書房新社、夏
*虚構の島とく無限に増殖する本〉をめぐる異形の紀行文学。『もうひとつの街』のチェコ作家がおくる、想像力と技巧に満ちた大作。
 
■ミハイル・エリザーロフ/北川和美訳 『図書館司書』 河出書房新社、秋
*失われた奇書をめぐり図書館で戦争が始まる。現代ロシアが生んだ破壊的スプラッターノヴェル。
 
 
2014年中に出るかどうか
■ハンス・ベルティング/仲間裕子訳 『イメージ人類学』 平凡社、4800円+税 〔詳細〕
*美術史を広くイメージの学として構想し直し、美術作品、考古学・人類学遺産、映画や広告、あらゆるイメージを対象とする学のパースペクティヴを説く。

プランセス・サッフォー/野呂康・安井亜希子訳 『チュチュ:世紀末巴里風俗奇譚』 水声社、2800円+税 〔詳細〕
*知られざる19世紀最大の奇書。世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公が繰り広げる奇想天外、荒唐無稽な露悪趣味の極北。社会の病巣をキッチュに描いた世にも奇妙な珍書中の珍書。

水野千依 『キリストの顔』 筑摩選書
 *《UP》(東京大学出版会)20142月号に「キリストの顔:表象の起源へ」と題した小論を掲載。
 
中島篤巳訳 『完本万川集海』 国書刊行会、5600円+税
*伊賀・甲賀四十九流につたわる忍術を集大成した伝説の書物が現代語訳で刊行。詳細な注のついた読み下し文を付す。なお、明治書院からも『万川集海』が出る予定のようだ。伊賀忍者研究会編『忍者の教科書新萬川集海』笠間書院、2/10600円+税(A5 48ページ)という本(小冊子?)も出ている。

■ラリー・プリンチーペ/ヒロ・ヒライ訳 『錬金術の秘密』勁草書房、BH 叢書 〔詳細〕

U.ペンツェンホーファー 『評伝・パラケルスス』勁草書房、BH 叢書(未定)
 
■ブルース・チャトウィン/池内紀訳 『ウッツ男爵:ある蒐集家の物語』
*元版は文藝春秋、19939月刊行。
 
■フラン・オブライエン/大澤正佳訳 『スウィム・トゥー・バーズにて』
*元版は、筑摩書房『筑摩世界文学大系68 ジョイス2・オブライエン』19985月刊行。同書は『第三の警官』併録。
 
■鈴木宏 『書肆風の薔薇から水声社へ』(仮)論創社、「出版人に聞く」シリーズ
 
ジャン・クロード・シュミット/小池寿子・廣川暁生・古本高樹訳 『イメージにひそむ身体:中世の視覚文化』刀水書房、5000円 〔詳細〕

ウンベルト・エーコ 『プラハの墓地』 東京創元社
*偽書ものの大作が準備中。
 
大浜甫・多田智満子・宮下志朗・千葉文夫ほか訳 『マルセル・シュオッブ全集』 国書刊行会
 
■臼田捷治 『工作舎物語』 左右舎 〔詳細〕

■松田行正、ミルキィ・イソベ、木内達朗 『デザイン・プレゼンテーションの哲学』 左右舎、神戸芸術工科大学レクチャーブックス 〔詳細〕

『猟奇 復刻版』全6、三人社、60000 〔詳細〕
*昭和初期に出た探偵小説雑誌。

『黒の歴史』 東洋書林

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夢幻庵主人

Author:夢幻庵主人
隠居生活続行中。

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