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『〈辞書屋〉列伝』◆辞書編纂について(3)

某月某日、こんな本を読んだ。
 
 田澤 耕『〈辞書屋〉列伝:言葉に憑かれた人びと』中公新書、2014125日、860円+税 [注×文△索×]
 
本書は、「まえがき」の冒頭に<「辞書にはドラマがある」>(p.i)と宣言して、何人かの辞書編纂者(辞書屋)の生涯をいくつか集めて、辞書屋の特性を活写しようとした本。ただし、著者は終章で記しているように、日本で初めてカタルーニャ語の辞書を編纂した辞書屋なので、スペイン語・カタルーニャ語関連の記事がやや多い(第3章、第6章、第7章)。
 
目次を示しておこう。
 第1章 OED(『オックスフォード英語辞典』)――ジェームズ・マレー
 第2章 『ヘブライ語大辞典』――ベン・イェフダー
 第3章 『カタルーニャ語辞典』――プンペウ・ファブラ、『カタルーニャ語・バレンシア語・バレアルス語辞典』――アントニ・マリア・アルクベー
 第4章 『言海』――大槻文彦
 第5章 明治の知識人に大きな影響を及ぼした二人の辞書屋――ウェブスターとヘボン
 第6章 『西日辞典』――照井亮次郎と村井二郎
 第7章 『スペイン語用法辞典』――マリア・モリネール
終章 辞書と私
 
1章では、OED編纂の中心人物であるジェームズ・マレー博士(18371915)の略伝が紹介される。そのなかでもOEDの編纂の最大の貢献者となったウィリアム・マイナー元アメリカ陸軍軍医についても触れているが、これについて詳述しているサイモン・ウィンチェスターの『博士と狂人』について、著者は<小説>と扱っている(p.7)。随分前に読んだきりなのであったが、小説ではなかったように思うが…。
 
2章では、ユダヤ教の儀式や研究にのみ使われていたヘブライ語を、現代で使える言語にしたベン・イェフダー(18581922)という〈辞書屋〉を紹介。2000年前の言語を今に甦らせるというとんでもないことを、辞書を編纂することを通じて実現してしまう。当然いろいろな問題が生じた。なかでも<ヘブライ語には、この言語を神聖なものとして崇め奉り、日常生活に使うことは許すまいという勢力が存在していた>(p.37)し、2000年前には当然存在しえなかった事柄も数多くあった。そのためにベン・イェフダーは、あるときは目指す言葉に近い言葉を探して<ヘブライ語の語形成規則に従って単語を作る。>(p.38)それでも見つからないときは、自分で考案までした。そして、<発掘した語、考案した語を集めて自分の辞書に収めた。>(p.38
1次世界大戦後、パレスチナにユダヤ人の地が確保されると、英語・アラビア語・ヘブライ語が公用語となると、ベン・イェフダーの夢は実現し、ヘブライ語が街で話されるようになる。彼の辞書は生前には間に合わず、最終巻(全16巻)が刊行されたのは、生誕百年の1958年だった。
 
7章で取り上げている、もっとも優れた西西辞典と評される『スペイン語用法辞典』を書いたのは、一人の主婦だった。そのマリア・モリネール(19001981)は、ガルシア・マルケスによれば、<たった一人で、自宅で、自分自身の手を使って、もっとも完全で役に立つ、もっとも神経の行き届いた、そしてもっとも楽しい、スペイン語の辞書を「書いた」のである。>(p.206)さらに続けて、<マリア・モリネールは、図書館司書の仕事と、彼女が自分の本来の仕事だと考えていた靴下にツギを当てることの合間にこの辞書を書いた。>(p.206
15年にわたるその成果が、1966年に出た2巻で合計3000ページにもなる『スペイン語用法辞典』だった。
詳しくはわからないが、かなり個性的な編纂であったことが伺える。版権を継承した長男の妻がスペイン語学者であったため、マリア・モリネールの死後に第2版を編纂した際に、見出し語の配列を普通のアルファベット順にしたりして(第1版では派生した言葉はアルファベット順に反してでも元の言葉近くに置かれた)、他の子どもたちがそれを批判しているからだ。また「日」という項目は、第1版では「太陽が地球を完全に一周するのに要する時間」と定義されていた(第2版では変更)。これでは地動説のままだが、次男に言わせれば、<人間の実感を大切にした定義をした>ということだった(pp.224-7)。恐らく常識的に考えれば、第1版は辞書としては失格もしくは問題あり、となってしまうだろう。しかし、そうであっても高く評価されていることを見ると、全般的にはその個性的な編纂が良い辞書となっているのであろうか。
 
終章は、著者がカタルーニャ語と出会い、銀行の職を辞して大学院に入り直し、バルセロナ大学に留学した際に辞書学なるものを知り、遂にカタルーニャ語辞典を作り上げるまでを描く。
 
本書は、〈辞書屋〉のドラマを描くことに主眼を置いているため、エピソード中心であり、辞書編纂そのものを深く掘り下げることはない。それでもベン・イェフダーの『ヘブライ語大辞典』は、ヘブライ語という古語を現代に甦らせることに成功し、マリア・モリネールの『スペイン語用法辞典』は、徒手空拳であろうとも優れた知性と持続する根気が成果を生み出すことができるようになると教えてくれる。
 
 
なお、文中で触れた本は以下の通り。
サイモン・ウィンチェスター/鈴木主税訳『博士と狂人:世界最高の辞書OEDの誕生秘話』早川書房、19994月、1800円→早川書房、ハヤカワ文庫NF20063月、740
 
 
◆[辞書編纂]関連ブックリスト
*辞書編纂関連のブックリストについてはこちらを参照。だいぶ欠落が多いことに気がついたが、改めて掲載したい。

 

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■既刊・近刊メモ(2014年2月版 Ver.2)

20142月前半に刊行された(はずの)本と、2月後半以降の近刊を掲載する。若干の本には余計なコメントを付した。日付は発行日ではなく、発売日。発売日順を原則としているが、WEBでの確認が中心なので、違っているかもしれない。
●:前回掲載のものから追加・変更した本。ただし、細部の変更等は含まず。
なお、近刊の本についてはあくまでも予定であり、タイトル・発売日・価格ともに変更の可能性はある。
次の行は私的メモ。
■:読んだ本(▲:元版で読んだ)、■:買った本(▲:元版所有)
 
【2月前半に出た本から】
 
宮武外骨 『アメリカ様』 ちくま学芸文庫、2/61000円+税 〔詳細〕
*占領という外圧によりもたらされた言論の自由は、結局外圧によって葬り去られることを明らかにする、ジャーナリズムの記念碑的名著。元版は、蔵六文庫、1946年、表紙を含めてたった64ページの薄い本だが。国会図書館デジタル化資料として読める。

早川タダノリ 『神国日本のトンデモ決戦生活』 ちくま文庫、2/6950円+税 〔詳細〕
*元版は、『神国日本のトンデモ決戦生活:広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』合同出版、20108月、1800円+税。

貴田庄『西洋の書物工房:ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』  朝日選書、2/71400円+税〔詳細〕
*花切れ、天金や小口の装飾、見返しなど、本を成立させる各部の起源と変遷をパリで学んだ著者が辿る西洋の書物史。元版は芳賀書店から200012月、5000円、B5判で出たもの(オールカラーだったのは記憶違いだったようだ)。

福王寺一彦、大家重夫編著『美術作家の著作権:その現状と展望』里文出版、2/75000円+税〔詳細〕
*絵画、版画、彫刻、工芸、書、建築、現代・前衛美術からデザイン、漫画、イラスト、アニメ、写真まで、ビジュアルの権利は守られているのか?

《本の雑誌》 3月号、特集=造本・装丁は楽しい!、本の雑誌社、2/11648円+税〔詳細〕
*平野甲賀と日下潤一の装丁あまから問答、生涯一版下職人・多田進インタビュー、おじさん三人組の花布屋さんと製函屋さん訪問記ほか。

佐々木健一『辞書になった男:ケンボー先生と山田先生』文藝春秋、2/121800円+税〔詳細〕
 *国民的辞書『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』は、元をたどれば、一冊の辞書に行き着く。その名は『明解国語辞典』。東大の同期生だった見坊豪紀と山田忠雄が作った辞書である。二人はやがて己の理想を求めて別々の道を歩み、見坊は『三省堂国語辞典』、山田は『新明解国語辞典』を作る。そして、ある事件をきっかけに決別してしまう。一冊の辞書がなぜ二つに分かれたのか?二人はなぜ決別したのか?

池上英洋 『死と復活:「狂気の母」の図像から読むキリスト教』 筑摩選書、2/121800円+税 〔詳細〕
*「狂気の母」という凄惨な図像に読み取れる死と再生の思想。それがなぜ育まれ、絵画、史料、聖書でどのように描かれたか、キリスト教文化の深層に迫る。

樫原辰郎『海洋堂創世記』白水社、2/151800税 〔詳細〕
*日本が世界に誇るガレージキット&フィギュア製造会社、海洋堂公認。原型師たちの活躍を描く1980年代の青春グラフィティ。

小林朋道『ヒト、動物に会う:コバヤシ教授の動物行動学』新潮新書、2/15700円+税 〔詳細〕
*どうしよう、プレーリードッグが書斎に穴を掘っていた! 動物行動学のエッセンスに触れる、忘れがたき動物たちをめぐる十一の物語。

ティム・ワイナー/山田侑平訳FBI秘録:その誕生から今日まで』上・下、文藝春秋、2/17、各1800円+税 〔詳細〕
NSA(国家安全保障局)が最も頼りにする「FBI」の誕生から今日までを解きあかす衝撃の書。FBIは、テロリストやスパイに対する秘密諜報こそが、第一の主要任務であり、それは発足時から今日まで変わらないのであって、そこに焦点を当ててFBIの歴史、功罪をみなくてはいけないと指摘している。

井伊順彦編・解説/井伊順彦・今村楯夫・他訳 『自分の同類を愛した男:英国モダニズム短編集』 風濤社、英国20世紀モダニズム小説集成、2月、3200円+税 〔詳細〕
*第一次大戦後の価値観が転換した激動の時代に生まれた小説作品群を、純文学、大衆文学の垣根なく未訳を中心に発掘する叢書。チェスタートン、セイヤーズ、フリーマン、アリンガムらの短編が収録される。

 
 
【これから出る本】(タイトル・発売日・価格等はすべて予定)
 
◆2月後半予定
■エリック・ラスムッセン/安達まみ訳 『シェイクスピアを追え!:消えたファースト・フォリオ本の行方』 岩波書店、2/212100円+税 〔詳細〕
*コレクター垂涎の稀書が、400年の間にたどってきた数奇な運命をめぐるエピソードを集めたもの。奇想天外なフォリオの運命をたどるにつれて見えてくるのが、このフォリオにとり憑かれた富豪、泥棒、愚者、変人、さまざまな人々がその人生を翻弄される姿。

■ハンス・ベルティング/仲間裕子訳 『イメージ人類学』 平凡社、2/215000円+税 〔詳細〕
*美術史を広くイメージの学として構想し直し、美術作品、考古学・人類学遺産、映画や広告、あらゆるイメージを対象とする学のパースペクティヴを説いた名著。

『文藝別冊 夢野久作』河出書房新社、2/241200円+税 〔詳細〕
 *単行本未収録のエッセイ、猟奇歌、書簡を発掘公開するほか、あらゆる角度からその魅力にせまる。

マイケル・ポーラン/野中香方子訳 『人間は料理をする』 上・下、NTT出版、2/24、各2600円+税 〔詳細〕
*キッチンは自然界への魔法の扉!料理は人類最大の発明である。人類は料理のおかげで高度な文明を築けた。しかし今、加工食品を買い、料理をしない人が増えている。これは人類に重大な影響をもたらすのではないか...

マーク・ベコフ/高橋洋訳『動物たちの心の科学:仲間に尽くすイヌ、喪に服すゾウ、フェアプレイ精神を貫くコヨーテ』青土社、2/242400円+税 〔詳細〕
*動物たちはただ喜怒哀楽を感じるだけでなく、他者への共感能力までも身につけている。動物行動学者の第一人者がさまざまな逸話や科学的根拠をもとに、動物たちの、人間に勝るとも劣らない豊かな感情世界を解明し、種を超えた共存に向けて提言する。

ミシェル・パストゥロー/平野隆文訳『熊の歴史:〈百獣の王〉にみる西洋精神史』筑摩書房、2/265800円+税 〔詳細〕
*西洋で無敵の動物だった熊が、宗教や政治権力によって追われ、イメージを破壊され、ライオンに王座を奪われていく転落の歴史を描く。

《ユリイカ》20143月号、特集『週刊少年サンデー』の時代、青土社、2/271300円+税 〔詳細〕
*トキワ荘から『うる星やつら』『タッチ』『名探偵コナン』そして『マギ』『銀の匙』へ――マンガの青春は終わらない。創刊55周年。話題作を連発し続ける週刊少年サンデーを特集。

■メイ・シンクレア/南條竹則編訳 『胸の火は消えず』 創元推理文庫、2/281260円+税 〔詳細〕
*女性の深層心理や性の問題に取り組んだ異色怪談から、死後の世界や心優しき幽霊の登場する軽妙な作品まで、全11篇。

都筑道夫著/日下三蔵編 『未来警察殺人課[完全版]』 東京創元社、2/281300円+税 〔詳細〕
*「殺人課」とは「殺人事件を捜査する部署」ではなく「殺人を行う部署」である。SFミステリ全15編。元版は、『未来警察殺人課 : ハードボイルドSFミステリー』徳間書店、19794月、980 (税込)+『未来警察殺人課 : SFハードボイルド』徳間書店、19862月、680 (税込)ということになろうか。

紀田順一郎編『書物愛(日本篇)』東京創元社、創元ライブラリ、2/281000円+税 〔詳細〕
*書物に取り憑かれた人間の悲喜劇を本の達人が選び抜いた傑作集・日本篇。古書店での万引きの意外な真相、古書展でいつも同じ本を買う老人の秘密とは? 網棚に忘れられた本にはさまれた名刺は何を意味するのか。元版は、晶文社、20055月、1900円。

紀田順一郎編『書物愛(海外篇)』東京創元社、創元ライブラリ、2/281000円+税 〔詳細〕
*滑稽でもあり悲しくもある書痴たちの諸相を、書物の達人紀田順一郎が選びに選び抜いた、傑作アンソロジー。ある人は身につまされ、ある人は笑い転げ、書物の魔力に改めて溜息をつくこと間違いなし。元版は、晶文社、20055月、1900円。

『書物学 第1巻 書物学こと始め』 勉誠出版、2/281500円+税 〔詳細〕
*これまでに蓄積されてきた書物をめぐる精緻な書誌学、文献学の富を人間の学に呼び戻し、愛書家とともに、古今東西、現在・過去・未来にわたる書物論議を展開する場として、ここに『書物学(Bibliology)』を創刊する。

■高山宏、中沢新一(対談)『インヴェンション』明治大学出版会、シアンス・ソバージュ・ド・ポッシュ:野生の科学叢書012月、2300円+税 〔詳細〕
1999年の『武蔵野美術』での対談、『MEIDAI BOOK NAVI 2013』や『ユリイカ山口昌男特集』の対談に、新たに2編を語りおろす。丸善出版が発売元か?

 
◆3月予定
■阿辻哲次、小駒勝美、柴田実、柏野和佳子、エリク・ロング 『日本語文字・表記の難しさとおもしろさ』(仮)彩流社、3/33800円+税 〔詳細〕
20119月のNINJALフォーラム「日本語文字・表現の難しさとおもしろさ」(国立国語研究所主催)の講演・報告を各分野の領域から展開し、それぞれ専門的関心により問題点を取り上げて、現代日本語の文字・表現の難しさとおもしろさを明らかにしていく。

フランク・ウイン/小林賴子・池田みゆき訳『フェルメールになれなかった男:20世紀最大の贋作事件』 ちくま文庫、3月、1000円+税
*元版は、『私はフェルメール』ランダムハウス講談社、20079→【改題新版】武田ランダムハウスジャパン、20123
 
サイモン・ウィンチェスター  『スカル:アラン・ダドリーの驚くべき頭骨コレクション』グラフィック社、3/73800円+税
*驚くべき頭骨の数々を美しい写真とともに紹介。両生類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類と、脊椎動物のすべてのジャンルを網羅。世界的ベストセラー作家サイモン・ウィンチェスターが、アラン・ダドリーの未曾有のコレクションを味わい尽くす。
 
■ヒロ・ヒライ+小澤実編 『知のミクロコスモス:中世ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』 中央公論新社、3/103700円+税 〔詳細〕
20127月に行われたシンポジウム「人知のいとなみを歴史にしるす:中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦」の論文集。シンポジウムの紹介はこちら

黒川正剛『魔女狩り:西欧の三つの近代化』講談社選書メチエ、3/111700円+税 〔詳細〕
*中世ではなく、近代の黎明期に魔女狩りが大流行したのはなぜなのか。魔女狩りとヨーロッパ近代誕生の機制の関係を新視点から明らかにする。視覚文化論、哲学、宗教学的な知見を盛り込み、魔女狩りの歴史研究を通したヨーロッパ近代化論、および人間存在と人間文化を探究。

グスタフ・マイリンク/今村孝訳 『ゴーレム』 白水社、白水Uブックス、3/141700円+税 〔詳細〕
*夢と現実が混清する多重構造を持つ物語不安や都市生活の悪夢をゴーレム伝説に託して描く。図版多数収録。元版は河出書房新社より1973420日に発行された。

森岡督行『荒野の古本屋』(仮)晶文社、3月上旬、1600円+税 〔詳細〕
*就職しないで生きるには21シリーズ第2弾!! 写真・美術の古書を専門に扱う「森岡書店」。趣味と実益を兼ねてはじめた仕事だからこそ味わえるきびしくも充実の日々を、エピソード満載に描く。

岡留安則『こんな日本に誰がした!休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り』 双葉社、3/181200円+税 〔詳細〕
*数々のスキャンダルを白日の下に晒し、「権力の監視」というメディアの役割を担い続けてきた伝説の雑誌『噂の真相』が休刊して今年で10年。『噂の真相』なき10年を編集長・岡留安則はどう見てきたのか。

ベン・アーロノヴィッチ『空中庭園の魔術師:ロンドン警視庁特殊犯罪課4』 ハヤカワ文庫FT3/191100円+税
*魔術に魅せられた建築家が設計したスカイガーデン・タワーに隠された、驚くべき秘密。
 
■ティム・インゴルド/管啓次郎解説、工藤晋訳『ラインズ:線の文化史』 左右社、3/202800円+税 〔詳細〕
*人間世界に遍在する〈線〉という意外な着眼から、まったく新鮮な世界が開ける。知的興奮に満ちた驚きの人類学! 刊行されるというアナウンスがあってから、いつまでも出なかったのだが、果たして215日に刊行できるか・・・→320日発売予定に変更。

高槻真樹『戦前日本SF映画創世記:ゴジラは何でできているか』 河出書房新社、3/242400円+税 〔詳細〕
*戦後「ゴジラ」から紹介されるSF映画の源泉を、埋もれた文献と残された作品から丁寧にひもとき、戦前日本におけるSF的想像力をヴィジュアル面から初めて紹介する。

■平井憲太郎監修 『江戸川乱歩の「少年探偵団」大研究』 上・下、ポプラ社、3/31、各3500円+税 〔詳細〕
*【上巻】「少年探偵団」シリーズにでてくる言葉や地名、人物の事典、さらに26巻のあらすじなどを掲載。
【下巻】「少年探偵団」シリーズ未収録「名探偵と二十面相」などを収録、シリーズ誕生の歴史他を掲載。

■ヴォルフガング・ベーリンガー/長谷川直子訳 『魔女と魔女狩り』 刀水書房、刀水歴史全書873月、3500円+税 〔詳細〕
*魔女や魔女狩りは人類の歴史の中で未だ終わってはいない。最近の研究に基づく新しい魔女論。Wolfgang Behringer, Wiches and Witch-Hunts: A Global History, 2004 の翻訳。

プランセス・サッフォー/野呂康・安井亜希子訳『チュチュ:世紀末巴里風俗奇譚』水声社、3月頃、2800円+税
*知られざる19世紀最大の奇書。世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公が繰り広げる奇想天外、荒唐無稽な露悪趣味の極北。社会の病巣をキッチュに描いた世にも奇妙な珍書中の珍書。ハチャメチヤすぎる内容に抱腹絶倒間違いなし。
 
◆4月以降予定
■杉江松恋『路地裏の迷宮踏査』(仮)東京創元社、キイ・ライブラリー、4月以降
*ミステリマニア必携、《ミステリーズ!》連載が加筆訂正の上、単行本に。
 
柴野拓美/牧眞司編『柴野拓美SF評論集理性と自走性――黎明より』 東京創元社、キイ・ライブラリー、4月以降〔詳細〕
*数多のSF作家を送り出した〈宇宙塵〉編集長による、貴重な論考とファン活動にまつわる歴史的エッセイを集成。

喜国雅彦『本棚探偵最後の挨拶』双葉社、4月以降、2800円+税 〔詳細〕
*「蒐めた本は墓場まで持っていけない!」ある日そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ねトランク一つ分に本を詰めたり、遂に私家版『暗黒館の殺人』の製作に着手したり……。本を愛してやまない本棚探偵シリーズ、待望の第4弾!

風間賢二『ファミリー・ブラッド:家族にはつねにすでにモンスターが潜んでいる!』(仮)彩流社、6/251600円+税 〔詳細〕
*カルトな「文学」と「映画」を素材として家族内部にすでに潜在する恐るべき「怪物/モンスター」を白日のもとに曝す。この本もアナウンスばかりで刊行が遅れている。

■ポール・コリンズ/山田和子訳『バンヴァードの阿房宮:世界を変えなかった13人』(仮)白水社、夏
*壮大な夢と特異な才能をもちながら、世界を変えることなく歴史から忘れられた天才13人を紹介したポートレイト集。
 
J・B・ホラーズ編/古屋美登里訳『モンスターズ』白水社、8
*吸血鬼、ゴジラ、モスマン、ビッグフット、ミイラ、ゾンビなど異形の「怪物たち」をテーマに、曲者ぞろいの新鋭・中堅作家18人が腕を競う、異色の短篇アンソロジー。
 
■カート・ヴォネガット/大森望訳『ヴォネガット未発表短篇集』河出書房新社、夏
*天才ヴォネガットの生前未発表短編14篇。
 
■ミハル・アイヴァス/阿部賢一訳『黄金時代』河出書房新社、夏
*虚構の島とく無限に増殖する本〉をめぐる異形の紀行文学。『もうひとつの街』のチェコ作家がおくる、想像力と技巧に満ちた大作。
 
■ミハイル・エリザーロフ/北川和美訳『図書館司書』河出書房新社、秋
*失われた奇書をめぐり図書館で戦争が始まる。現代ロシアが生んだ破壊的スプラッターノヴェル。
 
MH・ニコルソン/浜口稔訳『ピープスの日記と新科学』白水社、高山宏セレクション/異貌の人文学 〔詳細〕

中島篤巳訳『完本万川集海』 国書刊行会、5600円+税
*伊賀・甲賀四十九流につたわる忍術を集大成した伝説の書物が現代語訳で刊行。詳細な注のついた読み下し文を付す。なお、明治書院からも『万川集海』が出る予定のようだ。伊賀忍者研究会編『忍者の教科書新萬川集海』笠間書院、2/10600円+税(A5 48ページ)という本(小冊子?)も出ている。

■ラリー・プリンチーペ/ヒロ・ヒライ訳 『錬金術の秘密』 勁草書房、BH 叢書 〔詳細〕

U.ペンツェンホーファー『評伝・パラケルスス』勁草書房、BH 叢書(未定)
 
■ブルース・チャトウィン/池内紀訳『ウッツ男爵:ある蒐集家の物語』
*元版は文藝春秋、19939月刊行。
 
■フラン・オブライエン/大澤正佳訳『スウィム・トゥー・バーズにて』
*元版は、筑摩書房『筑摩世界文学大系68 ジョイス2・オブライエン』19985月刊行。同書は『第三の警官』併録。
 
■鈴木宏『書肆風の薔薇から水声社へ』(仮)論創社、「出版人に聞く」シリーズ
 
原田裕 『戦後の講談社と東都書房』(仮)論創社、「出版人に聞く」シリーズ
 
ジャン・クロード・シュミット/小池寿子・廣川暁生・古本高樹訳『イメージにひそむ身体:中世の視覚文化』刀水書房、5000円 〔詳細〕

■高橋洋、稲生平太郎 『映画の生体解剖』(仮)洋泉社
*シネマ対談
 
ウンベルト・エーコ 『プラハの墓地』 東京創元社
*偽書ものの大作が準備中。
 
大浜甫・多田智満子・宮下志朗・千葉文夫ほか訳『マルセル・シュオッブ全集』国書刊行会
 
■東雅夫・下楠昌哉編『幻想と怪奇の英文学』(仮)
 
■臼田捷治『工作舎物語』左右舎〔詳細〕

■松田行正、ミルキィ・イソベ、木内達朗『デザイン・プレゼンテーションの哲学』左右舎、神戸芸術工科大学レクチャーブックス 〔詳細〕

石川九楊『九楊先生の文字学入門』左右社、3500円+税 〔詳細〕
 *版元ドットコムのURLでは別な本が表示されてしまう。刊行されないのか?

『猟奇 復刻版』全6、三人社、60000 〔詳細〕
*昭和初期に出た探偵小説雑誌。

■ポール・ホフマン/持田鋼一郎訳 『魔都ウィーン』 作品社、2800円+税
 

■既刊・近刊メモ(2014年2月版 Ver.1)

20141月に刊行された(はずの)本と、2月以降の近刊を掲載する。若干の本には余計なコメントを付した。日付は発行日ではなく、発売日。発売日順を原則としているが、WEBでの確認が中心なので、違っているかもしれない。
●:前回掲載のものから追加・変更した本。ただし、細部の変更等は含まず。
なお、近刊の本についてはあくまでも予定であり、タイトル・発売日・価格ともに変更の可能性はある。
次の行は私的メモ。
■:読んだ本(▲:元版で読んだ)、■:買った本(▲:元版所有)
 
1月に出た本から】
 
井上孝夫『その日本語、ヨロシイですか?』新潮社、1/171200円+税〔詳細〕
*日々「正しい言葉」探しに格闘している新潮社校閲部部長が、奥深~い日本語の世界にお連れする。漫画も著者による。

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン:文学的ゴシック作品選』ちくま文庫、1/81600円+税 〔詳細〕
*「幻想文学」としてみても「怪奇小説」・「ホラーノヴェル」等々としてみても、どうも完全には覆えない、現代の不穏を感じさせる優れた文学作品集。収録作品は全39作品(38作家)、680ページを越える大冊。

アーサー・オードヒューム/高田紀代志・中島秀人訳『永久運動の夢』ちくま学芸文庫、1/81400円+税〔詳細〕
*科学者の思い込みの集大成として、あるいはイカサマの手段として作られた永久機関。「不可能」の虜になった先人たちの奮闘を紹介。元版は朝日新聞社、朝日選書、1987420日、1300円。

福嶋聡『紙の本は、滅びない』ポプラ社、ポプラ新書、1/8780円+税 〔詳細〕
*電子書籍は、紙の本に取って代わるのか? インターネット空間に漂うコンテンツが膨大になればなるほど増す、書物の必要性。現役書店員(現・ジュンク堂書店難波店店長)が今こそ世に問う「紙の本」の意義。従来『紙の本が死なない理由』という仮題であったが、どうやら変更になった模様。

サイラス・ハイスミス/小林章監修『欧文タイポグラフィの基本』グラフィック社、1/91600円+税〔詳細〕

ブライアン・フラウド絵、アラン・リー文『フェアリー愛蔵版』グラフィック社、1/92800円+税〔詳細〕
*妖精に関する緻密な研究と調査、そして突出した才能によって描かれた妖精たちはどれも見る者を虜にし、従来の妖精観に革命を起こし、新たな妖精のイメージと物語を創り出した。サンリオから山室静訳で198012月に刊行された本の改訂版か。

鈴木眞哉、藤本正行『新版 信長は謀略で殺されたのか』洋泉社、歴史新書y1/11920円+税 〔詳細〕
*戦国史上最大の謎である「本能寺の変」の首謀は誰か? 杜撰極まりない信長「謀殺説」に地道な史料解釈で対抗する。

■ビー・ウィルソン/真田由美子訳『キッチンの歴史:料理道具が変えた人類の食文化』河出書房新社、1/152800円+税 〔詳細〕
*美味しい料理は道具で進化した! 食の歴史はテクノロジーの歴史だ。古今東西の調理道具の歴史をたどりながら、それらが人々の暮らしや文化にどのような影響を与えてきたのかを読み解く。『食品偽造の歴史』(白水社)の著者による料理道具史。

山口昌男『本の神話学』岩波現代文庫、1/161180円+税 〔詳細〕
*おびただしい書物を引用し文化的背景や人物を論じて、自由で快活な知を自らのものとするための技法を明示する、博覧強記の神話的一冊。

山口昌男『歴史・祝祭・神話』岩波現代文庫、1/161080円+税 〔詳細〕
*歴史の中で犠牲に供されたトロツキーやメイエルホリドらの軌跡をたどり、スケープゴートを必要としそれを再生産する社会の深層構造をあぶり出す。最初は《海》(中央公論社)に一挙連載したもの。

■ミルチャ・エリアーデ/前野佳彦訳『加入礼・儀式・秘密結社:神秘の誕生――加入礼の型についての試論』 法政大学出版局、叢書・ウニベルシタス、1/174800円+税〔詳細〕
*エリアーデ最大のライフ・ワーク――死と加入礼の内的連関の解明。本書は、その未完の研究の核心をなす、未開社会の社会構成における加入礼の基本構造・形態・本質の宗教史的探究である。

■佐伯啓思『正義の偽装』新潮新書、1/17740円+税〔詳細〕
*「アベノミクス」という虚栄、「民意」という幻想、「憲法」というまやかし、「民主主義の断末魔」が聴こえる。

■春原剛『日本版NSCとは何か』新潮新書、1/17700円+税〔詳細〕
*国家安全保障会議(日本版NSC)の内実とはどのようなものなのか――。モデルとなった本家・米国での実情と創設の歴史、日本で考え得る「有事のシミュレート」、その問題点に至るまで解説。

■阿部潔『監視デフォルト社会:映画テクストで考える』青弓社、1/192000円+税〔詳細〕
*現代社会の監視とは、見張り/見張られ、見守り、相互に見合うことである。映画から現代の監視に潜む「おぞましさ」を浮き彫りにする。

早川タダノリ『「愛国」の技法:神国日本の愛のかたち』青弓社、1/192000円+税〔詳細〕
*「不敗の神国日本」の総動員体制を支えた愛国者たちは、どのようにして育成されたのか。哀れにも滑稽なアジテーション群を掘り起こし、その「愛国心」のかたちを探究。

■小和田哲男『戦国大名と読書』柏書房、1月下旬(奥付は2月)、2200円+税〔詳細〕
*後世に名を残す武将の多くはやはり読書家だった…! 『論語』から『源氏物語』まで、戦国大名たらしめた読書と人格形成のあり方に迫る、本と人の親密な関係。

■シンシア・D・ベアテルセン/関根光宏訳 『キノコの歴史』 原書房、「食」の図書館、1/202400円+税〔詳細〕
*「神の食べもの」と呼ばれる一方「悪魔の食べもの」とも言われてきたキノコ。キノコ自体の平易な解説は勿論、採集・食べ方・保存、毒殺と中毒、宗教と幻覚、現代のキノコ産業についてまで述べた、キノコと人間の文化の歴史。

成毛『もっと面白い本』岩波新書、1/21700円+税〔詳細〕
*『面白い本』(岩波新書、2013/1/22発売)に続く第2弾。

■コリー・オルセン『トールキンの「ホビット」を探して』角川学芸出版、1/232300円+税 〔詳細〕
*『ホビット』から『指輪物語』へ、トールキンが残した謎を読み説く。

■マリア・コニコヴァ『シャーロック・ホームズの思考術』早川書房、1/232000円+税 〔詳細〕
*あなたもホームズと同じ思考能力を持つことができる。最新の神経科学と心理学の成果から名探偵の推理の秘密に迫り、実践方法を伝授する。

■田澤耕『〈辞書屋〉列伝:言葉に憑かれた人びと』中公新書、1/25860円+税 〔詳細〕
*ドラマのない辞書はない! オックスフォード英語辞典、日本初の国語辞典「言海」、ヘボンが作った和英辞典など、苦闘と情熱を描く。

ジーン・ウルフ/西崎憲、館野浩美訳『ピース』国書刊行会、1/252400円+税〔詳細〕
*アメリカ中西部の町に住む老人ウィアは静かに回想する、自分の半生を、過去の不思議な出来事を、説明のつかない奇妙な事件を……時間と空間を錯綜して語られる、魅惑と謎に満ちた物語の数々。

早川タダノリ『原発ユートピア日本』合同出版、1/251800円+税〔詳細〕
*歴史のくず箱からよみがえる芸術作品のような美しいウソの結晶たち。幻の国「原発ユートピア」へようこそ!原発のはじまりから2011年3月の福島原発事故まで私たちの身の周りにあふれていた原発プロパガンダ。政府・官公庁・電力会社が、繰り返し繰り返し繰り返し謳い上げたそれらの広報・広告の数々を紹介。

■ネイサン・ベロフスキー/伊藤はるみ訳 『「最悪」の医療の歴史』 原書房、1/28(実際には前に発売)、2400円+税〔詳細〕
*古代から中世、ルネサンス期を経ていわゆる「英雄医療」の時代まで、現実とは思えない、当時の「最新科学」による治療や処置を、数多くの実例とともに紹介。

■ネイサン・ベロフスキー/廣田明子訳『「最悪」の法律の歴史』原書房、1/28(実際には前に発売)、2400円+税〔詳細〕
*古今東西、人の住むところにはありとあらゆる規制がある。「臆病な人を驚かせたら罰金」「飼い犬を一日三回以上散歩させないと罰金」「国会議事堂内で死んではいけない」など、現役弁護士が調べ尽くした「悪法」「珍法」大全!

■黒岩比佐子『忘れえぬ声を聴く』幻戯書房、1/242286円+税 〔詳細〕
*惜しまれつつも急逝した評伝作家(ヒストリー・オーサー)が歴史を読み、書くことの魅力をつづる単行本未収録エッセイ集。

■小林賴子『庭園のコスモロジー:描かれたイメージと記憶』青土社、1/242900円+税〔詳細〕
*天上の楽園としての天国の表象や、ギリシア・ローマの神話の園、貴族たちのルネサンス庭園から世俗化した市民の庭(オランダ市民階級やモネの庭)まで、美術作品を通じ古今の庭園を逍遥、庭園について考察する。

■クラフト・エヴィング商會『クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会』平凡社、1/252500円+税〔詳細〕
*この展覧会はうそかまことか――。クラフト・エヴィング商會の棚おろし的展覧会(世田谷文学館1/253/30)公式図録。展覧会の案内はこちら

■竹久夢二美術館監修『竹久夢二:大正ロマンの画家、知られざる素顔』河出書房新社、1/271600円+税 〔詳細〕
*生誕130年記念出版。大正ロマンの象徴として、画家・詩人・デザイナーとして活躍した「夢二」の世界を多彩な顔ぶれが語る。

■アダム・カバット『江戸の化物:草双紙の世界』岩波書店、1/282400円+税 〔詳細〕
*江戸中期に大流行した草双紙は諷刺・パロディに満ちた絵入り読物。そこに登場する化物は江戸っ子の間で笑いと人気を呼んだ。生まれも育ちもNYながら日本文学研究一筋のカバット先生が、化物の魅力と変遷を解き明かす。

■デイヴィッド・リンゼイ/中村保男・中村正明訳 『アルクトゥールスへの旅』 文遊社、1/283300円+税〔詳細〕
*哲学の書でありながらファンタジーとして楽しく読める傑作と呼ぶにふさわしい長篇。サンリオSF文庫版の改訂新版。

エドワード・D・ホック/木村二郎訳『サイモン・アークの事件簿V創元推理文庫、1/301100円+税〔詳細〕
*オカルト探偵アークが異界の謎と遭遇する8編を収録した短編集第5弾。シリーズ最終巻。

■ブライアン・J・ロブ/日暮雅通訳 『ヴィジュアル大全 スチームパンク:歴史・文化・未来』 原書房、1/303800円+税〔詳細〕
19世紀ヴィクトリア朝の蒸気機関と鋼鉄、未来への創造力、そしてジャパネスクが生み出した「スチームパンク」。ジュール・ヴェルヌやウェルズ、宮崎駿の作品から芸術品やファッション、音楽にいたるその全体像をカラフルに紹介した決定版。

■辻惟雄『辻惟雄集4 風俗画の展開』 岩波書店、1/303400円+税 〔詳細〕
*洛中洛外図屏風の展開を総覧し、重層的な北斎芸術の本質に迫り、新しい俯瞰形式を模索した江戸後期の浮世絵師、蕙斎、北斎、貞秀を論じる。

■ミルチャ・エリアーデ/奥山倫明・木下登・宮下克子訳 『ポルトガル日記1941-1945 作品社、1/302400円+税〔詳細〕
*第二次世界大戦という激動の時代に、歴史の大波に翻弄された東欧の小国ルーマニア、その不世出の一知識人が残した、精神と情念の彷徨の記録。

■バロネス・オルツィ/平山雄一訳 『隅の老人完全版』 作品社、1/316800円+税 〔詳細〕
*元祖“安楽椅子探偵”。原書単行本全3巻に未収録の幻の作品を新発見1本収録。シリーズ全38篇を網羅した、世界初の完全版1巻本全集!

 
【これから出る本】(タイトル・発売日・価格等はすべて予定)
 
◆2月予定
宮武外骨『アメリカ様』ちくま学芸文庫、2/61000円+税
*占領という外圧によりもたらされた言論の自由は、結局外圧によって葬り去られることを明らかにする、ジャーナリズムの記念碑的名著。元版は、蔵六文庫、1946年、表紙を含めてたった64ページの薄い本だが。国会図書館デジタル化資料として読める。

早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』ちくま文庫、2/6950円+税
*元版は、『神国日本のトンデモ決戦生活:広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』合同出版、20108月、1800円+税。
 
■貴田庄『西洋の書物工房:ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』朝日選書、2/71400円+税〔詳細〕
*花切れ、天金や小口の装飾、見返しなど、本を成立させる各部の起源と変遷をパリで学んだ著者が辿る西洋の書物史。元版が芳賀書店から200012月、5000円、B5判で出たものだとするとオールカラーだったので、朝日選書なら大半はモノクロだろうか。

■ハンス・ベルティング/仲間裕子訳 『イメージ人類学』 平凡社、2/135000円+税〔詳細〕
*美術史を広くイメージの学として構想し直し、美術作品、考古学・人類学遺産、映画や広告、あらゆるイメージを対象とする学のパースペクティヴを説いた名著。

■ティム・インゴルド/管啓次郎解説、工藤晋訳『ラインズ:線の文化史』 左右社、2/152800円+税 〔詳細〕
*人間世界に遍在する〈線〉という意外な着眼から、まったく新鮮な世界が開ける。知的興奮に満ちた驚きの人類学! 刊行されるというアナウンスがあってから、いつまでも出なかったのだが、果たして215日に刊行できるか・・・

■エリック・ラスムッセン/安達まみ訳 『シェイクスピアを追え!:消えたファースト・フォリオ本の行方』 岩波書店、2/212100円+税〔詳細〕
*コレクター垂涎の稀書が、400年の間にたどってきた数奇な運命をめぐるエピソードを集めたもの。奇想天外なフォリオの運命をたどるにつれて見えてくるのが、このフォリオにとり憑かれた富豪、泥棒、愚者、変人、さまざまな人々がその人生を翻弄される姿。

■樫原辰郎『海洋堂創世記』白水社、2/211800円+税 〔詳細〕
*日本が世界に誇るガレージキット&フィギュア製造会社、海洋堂公認。原型師たちの活躍を描く1980年代の青春グラフィティ。

喜国雅彦『本棚探偵最後の挨拶』双葉社、2/212800円+税
 
『文藝別冊 夢野久作』河出書房新社、2/241200円+税 〔詳細〕
 *単行本未収録のエッセイ、猟奇歌、書簡を発掘公開するほか、あらゆる角度からその魅力にせまる。

マイケル・ポーラン/野中香方子訳 『人間は料理をする』 上・下、NTT出版、2/24、各2600円+税 〔詳細〕
*キッチンは自然界への魔法の扉!料理は人類最大の発明である。人類は料理のおかげで高度な文明を築けた。しかし今、加工食品を買い、料理をしない人が増えている。これは人類に重大な影響をもたらすのではないか...

ミシェル・パストゥロー/平野隆文訳『熊の歴史:〈百獣の王〉にみる西洋精神史』筑摩書房、2/265800円+税 〔詳細〕
*西洋で無敵の動物だった熊が、宗教や政治権力によって追われ、イメージを破壊され、ライオンに王座を奪われていく転落の歴史を描く。

《ユリイカ》20143月号、特集『週刊少年サンデー』の時代、青土社、2/27
 
■メイ・シンクレア/南條竹則編訳 『胸の火は消えず』 創元推理文庫、2/281260円+税 〔詳細〕
*女性の深層心理や性の問題に取り組んだ異色怪談から、死後の世界や心優しき幽霊の登場する軽妙な作品まで、全11篇。

都筑道夫著/日下三蔵編 『未来警察殺人課[完全版]』 東京創元社、2/281300円+税 〔詳細〕
*「殺人課」とは「殺人事件を捜査する部署」ではなく「殺人を行う部署」である。SFミステリ全15編。元版は、『未来警察殺人課 : ハードボイルドSFミステリー』徳間書店、19794月、980 (税込)+『未来警察殺人課 : SFハードボイルド』徳間書店、19862月、680 (税込)ということになろうか。

紀田順一郎編 『書物愛(日本篇)』東京創元社、創元ライブラリ、2/281000円+税 〔詳細〕
*書物に取り憑かれた人間の悲喜劇を本の達人が選び抜いた傑作集・日本篇。古書店での万引きの意外な真相、古書展でいつも同じ本を買う老人の秘密とは? 網棚に忘れられた本にはさまれた名刺は何を意味するのか。元版は、晶文社、20055月、1900円。

紀田順一郎編 『書物愛(海外篇)』東京創元社、創元ライブラリ、2/281000円+税〔詳細〕
*滑稽でもあり悲しくもある書痴たちの諸相を、書物の達人紀田順一郎が選びに選び抜いた、傑作アンソロジー。ある人は身につまされ、ある人は笑い転げ、書物の魔力に改めて溜息をつくこと間違いなし。元版は、晶文社、20055月、1900円。

■ヴォルフガング・ベーリンガー/長谷川直子訳『魔女と魔女狩り』刀水書房、刀水歴史全書872月、3500円+税〔詳細〕
*魔女や魔女狩りは人類の歴史の中で未だ終わってはいない。最近の研究に基づく新しい魔女論。Wolfgang Behringer, Wiches and Witch-Hunts: A Global History, 2004 の翻訳。

■高山宏、中沢新一(対談)『インヴェンション』明治大学出版会、シアンス・ソバージュ・ド・ポッシュ:野生の科学叢書012月、2300円+税 〔詳細〕
1999年の『武蔵野美術』での対談、『MEIDAI BOOK NAVI 2013』や『ユリイカ山口昌男特集』の対談に、新たに2編を語りおろす。丸善出版が発売元か?

■ポール・ホフマン/持田鋼一郎訳『魔都ウィーン』作品社、2月、2800円+税〔詳細〕

井伊順彦編・解説/井伊順彦・今村楯夫・他訳 『自分の同類を愛した男:英国モダニズム短編集』 風濤社、英国20世紀モダニズム小説集成、2〔詳細〕
*第一次大戦後の価値観が転換した激動の時代に生まれた小説作品群を、純文学、大衆文学の垣根なく未訳を中心に発掘する叢書。チェスタートン、セイヤーズ、フリーマン、アリンガムらの短編が収録される。

中島篤巳訳『完本万川集海』国書刊行会、2月、5600円+税〔詳細〕
*伊賀・甲賀四十九流につたわる忍術を集大成した伝説の書物が現代語訳で刊行。詳細な注のついた読み下し文を付す。なお、明治書院からも『万川集海』が出る予定のようだ。

 
◆3月予定 
■阿辻哲次、小駒勝美、柴田実、柏野和佳子、エリク・ロング 『日本語文字・表記の難しさとおもしろさ』(仮)彩流社、3/3〔詳細〕
20119月のNINJALフォーラム「日本語文字・表現の難しさとおもしろさ」(国立国語研究所主催)の講演・報告を各分野の領域から展開し、それぞれ専門的関心により問題点を取り上げて、現代日本語の文字・表現の難しさとおもしろさを明らかにしていく。

フランク・ウイン/小林賴子・池田みゆき訳『フェルメールになれなかった男:20世紀最大の贋作事件』ちくま文庫、3月、1000円+税
*元版は、『私はフェルメール』ランダムハウス講談社、20079→【改題新版】武田ランダムハウスジャパン、20123
 
サイモン・ウィンチェスター『スカル:アラン・ダドリーの驚くべき頭骨コレクション』グラフィック社、3/73800円+税
*驚くべき頭骨の数々を美しい写真とともに紹介。両生類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類と、脊椎動物のすべてのジャンルを網羅。世界的ベストセラー作家サイモン・ウィンチェスターが、アラン・ダドリーの未曾有のコレクションを味わい尽くす。
 
■ヒロ・ヒライ+小澤実編 『知のミクロコスモス:中世ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』 中央公論新社、3/10〔詳細〕
20127月に行われたシンポジウム「人知のいとなみを歴史にしるす:中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦」の論文集。シンポジウムの紹介はこちら

森岡督行『荒野の古本屋』(仮)晶文社、3月上旬、1600円+税〔詳細〕
*就職しないで生きるには21シリーズ第2弾!! 写真・美術の古書を専門に扱う「森岡書店」。趣味と実益を兼ねてはじめた仕事だからこそ味わえるきびしくも充実の日々を、エピソード満載に描く。

ベン・アーロノヴィッチ『空中庭園の魔術師:ロンドン警視庁特殊犯罪課4ハヤカワ文庫FT3/201000円+税
*魔術に魅せられた建築家が設計したスカイガーデン・タワーに隠された、驚くべき秘密。
 
岡留安則『こんな日本に誰がした!休刊10年『噂の真相』編集長の嘆きと怒り』双葉社、3/24
 
風間賢二 『ファミリー・ブラッド:家族にはつねにすでにモンスターが潜んでいる!』(仮)彩流社、3/251600円+税 〔詳細〕
*カルトな「文学」と「映画」を素材として家族内部にすでに潜在する恐るべき「怪物/モンスター」を白日のもとに曝す。この本もアナウンスばかりで刊行が遅れている。

■平井憲太郎監修 『江戸川乱歩の「少年探偵団」大研究』 上・下、ポプラ社、3/31、各3500円+税〔詳細〕

グスタフ・マイリンク/今村孝訳 『ゴーレム』 白水社、白水Uブックス、3〔詳細〕
*夢と現実が混清する多重構造を持つ物語不安や都市生活の悪夢をゴーレム伝説に託して描く。図版多数収録。元版は河出書房新社より1973420日に発行された。
 
プランセス・サッフォー/野呂康・安井亜希子訳『チュチュ:世紀末巴里風俗奇譚』水声社、3月頃、2800円+税 
*知られざる19世紀最大の奇書。世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公が繰り広げる奇想天外、荒唐無稽な露悪趣味の極北。社会の病巣をキッチュに描いた世にも奇妙な珍書中の珍書。ハチャメチヤすぎる内容に抱腹絶倒間違いなし。
 
◆4月以降予定
■杉江松恋『路地裏の迷宮踏査』(仮)東京創元社、キイ・ライブラリー、4月以降
*ミステリマニア必携、《ミステリーズ!》連載が加筆訂正の上、単行本に。
 
■ポール・コリンズ/山田和子訳『バンヴァードの阿房宮:世界を変えなかった13人』(仮)白水社、夏
*壮大な夢と特異な才能をもちながら、世界を変えることなく歴史から忘れられた天才13人を紹介したポートレイト集。
 
J・B・ホラーズ編/古屋美登里訳『モンスターズ』白水社、8月 
*吸血鬼、ゴジラ、モスマン、ビッグフット、ミイラ、ゾンビなど異形の「怪物たち」をテーマに、曲者ぞろいの新鋭・中堅作家18人が腕を競う、異色の短篇アンソロジー。
 
■カート・ヴォネガット/大森望訳『ヴォネガット未発表短篇集』河出書房新社、夏 
*天才ヴォネガットの生前未発表短編14篇。
 
■ミハル・アイヴァス/阿部賢一訳『黄金時代』河出書房新社、夏 
*虚構の島とく無限に増殖する本〉をめぐる異形の紀行文学。『もうひとつの街』のチェコ作家がおくる、想像力と技巧に満ちた大作。
 
■ミハイル・エリザーロフ/北川和美訳『図書館司書』河出書房新社、秋
*失われた奇書をめぐり図書館で戦争が始まる。現代ロシアが生んだ破壊的スプラッターノヴェル。
 
MH・ニコルソン/浜口稔訳『ピープスの日記と新科学』白水社、高山宏セレクション/異貌の人文学 〔詳細〕

柴野拓美/牧眞司編 『柴野拓美SF評論集』(仮)東京創元社、キイ・ライブラリー、2014〔詳細〕

■ラリー・プリンチーペ/ヒロ・ヒライ訳『錬金術の秘密』勁草書房、BH 叢書 〔詳細〕

U.ペンツェンホーファー『評伝・パラケルスス』勁草書房、BH 叢書(未定)
 
■ブルース・チャトウィン/池内紀訳『ウッツ男爵:ある蒐集家の物語』
*元版は文藝春秋、19939月刊行。
 
■フラン・オブライエン/大澤正佳訳『スウィム・トゥー・バーズにて』
*元版は、筑摩書房『筑摩世界文学大系68 ジョイス2・オブライエン』19985月刊行。同書は『第三の警官』併録。
 
■鈴木宏『書肆風の薔薇から水声社へ』(仮)論創社、「出版人に聞く」シリーズ
 
ジャン・クロード・シュミット/小池寿子・廣川暁生・古本高樹訳『イメージにひそむ身体:中世の視覚文化』刀水書房、5000円 〔詳細〕

■高橋洋、稲生平太郎『映画の生体解剖』(仮)洋泉社
*シネマ対談
 
ウンベルト・エーコ 『プラハの墓地』 東京創元社
*偽書ものの大作が準備中。
 
大浜甫・多田智満子・宮下志朗・千葉文夫ほか訳『マルセル・シュオッブ全集』国書刊行会
 
■東雅夫・下楠昌哉編『幻想と怪奇の英文学』(仮)
 
■臼田捷治『工作舎物語』左右舎〔詳細〕

■松田行正、ミルキィ・イソベ、木内達朗『デザイン・プレゼンテーションの哲学』左右舎、神戸芸術工科大学レクチャーブックス 〔詳細〕

石川九楊『九楊先生の文字学入門』左右社、?、3500円+税 〔詳細〕
 *版元ドットコムのURLでは別な本が表示されてしまう。刊行されないのか?

『猟奇 復刻版』全6、三人社、?、60000〔詳細〕
*昭和初期に出た探偵小説雑誌。

 

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夢幻庵主人

Author:夢幻庵主人
隠居生活続行中。

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