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■2016年映画鑑賞メモ(10月)

今年の1月から9月までの9か月間分では126本(月平均14.0本)。10月は15本なので通算141本。

 

便宜的にほぼ見た順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、見たすべてではない可能性もある。

邦題はTV放映時のタイトル。原題はWikipediaによる。なお、ストーリーその他詳細についてはWikipediaなどを参照してほしい(Wikipediaに立項されていない作品については、適宜参考となるサイトを示した)。アメリカ映画については特記しない。TVのみの映画もしくはドラマ・スペシャルは*。

なお、いつも録画したうえでCMを飛ばして見ているので、放映された月ではないことも多い。

 

10月

 

127 「メカニック」2011年 原題:The Mechanic Wikipedia

※凄腕の殺し屋「メカニック」のアーサー・ビショップ(ジェイソン・ステイサム)が、命じられるままに恩人であり、友人のハリー・マッケンナ(ドナルド・サザーランド)を殺してしまう。ハリーの息子が弟子入りした後、騙されたことを知って命じた男を殺す。だが、息子はビショップが父を殺したことを嗅ぎ付け、復讐しようと企むが、鮮やかに逆転されてしまう。感情を押し殺したようでいて、意外にも細やかなところを見せるジェイソン・ステイサムの演技が秀逸。


128 「エージェント・ハミルトン:ベイルート救出作戦」スウェーデン 2012年 原題:Hamilton: Men inte om det galler din dotter 〔映画.com

※シリーズ2作目。真面目そうな作りなのだから、スウェーデンの007などと名付けなかった方がよかった。


129 「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」2003年 原題:The League of Extraordinary Gentlemen Wikipedia

1820世紀の小説の有名人(超能力者)を集めて、M(モリアーティ教授)と戦うのだが、そもそも彼らはMが集めたわけで、超能力者たちの断片(血だったり皮膚だったり薬品だったり)を採集するのが目的なら個別にやればよかっただけ。


130 「ボーン・アイデンティティー」2002年 原題:The Bourne Identity Wikipedia


131 「ボーン・スプレマシー」2004年 原題:The Bourne Supremacy Wikipedia


132 「ボーン・アルティメイタム」2007年 原題:The Bourne Ultimatum Wikipedia

※実質的4作目にあたる「ジェイソン・ボーン」公開に際して前の3作がテレビ放映された。どの作品も歯切れのよいテンポで、なかなかのアクションシーンを散りばめ、必ずカーチェイスがお定まりで入る。ストーリーを組み立てるときに、そういった見せ場となる要素をどのように配分しようかと考えるんでしょうね。だからと言って決して退屈な物語ではなく、実にリアルに描いてはいるのだが、主人公は助かるが、その親しい人は必ず殺されるというパターン(「女王陛下の007」)も第2作(&第4作)でしっかり採用している。


133 「黒執事」日本 2014年 Wikipedia

幻蜂家の屋敷はてっきり書割かと思ったら、有田ポーセリンパークのツヴィンガー宮殿でした。写真で見ると異様にキッチュな感じ。映画の方はせっかく奇抜な設定をしたのに、東側と西側の対立をうまく描けておらず、アクションシーンを要所要所に取り込んでいるものの、スローテンポでいささかダレ気味。ドラッグパーティのシーンは完全に学芸会レベル。幻蜂清玄(剛力彩芽)の両親を殺した反西側の犯罪組織の黒幕は最後まで曖昧にして次作につなごうとしたのだが、果たせず。



134 「テイカーズ」2010年 原題:Takers Wikipedia

※銀行強盗グープで一人かつて捕まっていた男が釈放されてきた。その男がおいしい仕事を持ってくる。しかし、最初から裏があるのが見え見えで、グループの一人が絶えず心配するのを見せるのはわざとらしい。現金輸送車のルート上の道路を陥没させ、地下道で待ち構えて現金を奪う作戦は、他の映画でもやっていた(題名を思い出せないのだが)。


135 「マックス・ペイン」2008年 原題:Max Payne Wikipedia

3年前に妻子を殺された刑事マックス・ペイン(マーク・ウォールバーグ:「テッド」の主演)は、迷宮入りになっているものの、執念深く追及し続けている。裏社会のパーティ会場でナターシャ(オルガ・キュリレンコ)に誘惑されるが、追い出してしまい、ナターシャはあっけなく怪しい翼の幻影に殺される(このあたりドラッグの幻影なのか明示されず)。ロシアン・マフィアでナターシャの姉・モナ(ミラ・クニス)がなぜか(かたきを討つため?)マックス・ペインの味方になり、妻を殺した男を仕留めることに成功する。もっとも一番ワルなのは、妻が務めていた製薬会社の女社長のようだが、罪を問われない模様。翼の幻影シーンをアクション映画に絡めると、ちょっと怪しげで面白い効果はあった。


136 「ブリッツ」英 2011年 原題:Blitz Wikipedia

※再見。ロンドンで起きる連続警官殺しを追う刑事ブラント(ジェイソン・ステイサム)は、実は“ブリッツ”と名乗る犯人が狙っている。マスコミに情報を流し警察を挑発する犯人。しかし、この犯人は最初の頃こそ防犯カメラをうまく逃れたりしているが、次第に調子に乗ってか杜撰な犯行をするようになる。たとえば防犯カメラを壊すが当然稼働していればその直前まで映るはず。その他行き当たりばったりの感じ。最後のブラントの反撃も、追ってくる保証はどこにもなかったわけで、お互い様か。


137 「バビロンA.D.米仏 2008年 原題:Babylon A.D. Wikipedia

※傭兵のトーロップ(ヴィン・ディーゼル)はマフィアのゴルスキーからオーロラ(メラニー・ティエリー)という若い女性を宗教団体ノーライト派のモンゴルにある修道院からアメリカに運んで欲しいと要求される。トーロップは彼女の護衛であるシスター・レベッカ(ミシェル・ヨー)とともにオーロラを送り届ける旅に出る。なかなか良くできた近未来アクションSF。しかし、こんなリスクの高い送り方ではなく、もっと手っ取り早い方法もあったのではないか。またオーロラが特殊な能力を持つから教団の宣伝塔にするというのもここまで固執するには弱い理由だし、なぜ双子を妊娠しているのかはとうとう明かされず。


138 「バンディッツ」2001年 原題:Bandits Wikipedia

※刑務所を脱獄したジョー(ブルース・ウィリス)とテリー(ビリー・ボブ・ソーントン)の二人が銀行強盗をするのだが、前日に頭取や支店長の家に入り込み、翌日朝一番で銀行に同行し金庫の金を奪う。それで「お泊り強盗」と呼ぶ。テリーが車を奪おうとした相手が家出をしてきた主婦ケイト(ケイト・ブランシェット)。最後の銀行強盗は二人が撃ち合いで殺し合ったとみせかける大芝居。コメディタッチだが、なかなか面白かった。


139 「エボリューション」2001年 原題:Evolution Wikipedia

※ドタバタSF。隕石に乗ってエイリアンが地球に着くと、単細胞生物からたちまち大型のプテラノドンのような怪獣に進化を遂げる。短大の生物の教師たちはセレンが毒になると(実験もせずに)確信し、学生からそれはフケトリシャンプーに入っていると聞くと、町中のフケトリシャンプーを消防車に集め、巨大化したエイリアンの肛門から注入し、爆発させる。このあたりはゴーストバスターズのパクリ。


140 「天使と悪魔」2009年 原題:Angels & Demons Wikipedia

※主人公ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は宗教象徴学の教授という触れ込みだが、イタリア語はおろかラテン語も読めないのでは、教授失格だろう。反物質を研究するヴィットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)にラテン語を読んでもらっていながら、それでいてラテン語で書かれたガリレオの書物を欲しがるとは(なぜか英語で隠し文字が書かれていたのだが)。ローマ教皇の秘書長であるカメルレンゴのパトリック・マッケンナ(ユアン・マクレガー)は、本来であれば枢機卿でなければならないのでは? そもそも彼が事件を起こした真意がよくわからない。群衆とか教会内とかなかなかうまく作り込んでいるのだが、肝腎の脚本がおかしくないか。


141 「宇宙人ポール」英米 2011年 原題:Paul Wikipedia

※イギリスからやってきたSFオタク2人組がUFO関連名所の旅をしていると、本物のグレイタイプの宇宙人(自称「ポール」)に出くわす。60年前にロズウェルで不時着し囚われていたところから逃げ出してきたという。随所にいろいろなSF映画のパロディが仕掛けられているが、最後は「未知との遭遇」のパロディで決め打ち。


 

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■2016年読書メモ(9月)

今年の1月から8月までの8か月間で91点。9月は9点だったので、通算100点(月平均11.1点)。依然としてこれまでの平均値(16.5点)より大幅に少ない。映画ばかり見ているためか。

便宜的にほぼ読了した順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、読んだすべてではない可能性もある。なお、一応巻頭から奥付まで目を通したもののみとする。

 

記載方法は、かつても記したことがあるので、こちらを参照されたい。



9月

 

92 小林朋道 『先生、イソギンチャクが腹痛を起こしています!:鳥取環境大学の森の人間動物行動学』 築地書館、2016530日、1600円+税  [注×文×索×]

※先生!シリーズも10冊目。珍しくすべて読んでいる。しかし、本書巻末にある「先生!シリーズ思い出クイズ」はどれも思い出せなかったが。

 

93 スティーヴ・シャンキン/梶山あゆみ訳 『原爆を盗め!: 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた』 紀伊國屋書店、2015319日、1900円+税  [注◎文◎索○]

Steve Sheinkin, Bomb: The Race to Build –and Steal- the World’s Most Dangerous Weapon, 2012

※なによりもノンフィクションの要諦である情報の出所を明記してあるのが素晴らしい(当たり前のことなのだが、日本人によるノンフィクションのほとんどはそれがない故に、信用ならない)。とりわけ本書の場合、元々ヤングアダルト向けということで会話体が多いのだが、すべて既存の書籍や資料からの引用で出典も明記されている。創作ノンフィクションもどきとは違う。

<本書は三つの物語を縒り合せた構成になっている。ひとつ目は原爆を製造しようとするアメリカの物語、ふたつ目はそれを盗もうとするソ連の物語、そして三つ目はドイツの原爆開発を妨害しようとする連合国の物語だ。>(p.347)この三つの物語が過不足なく実にうまく語られている。先月読んだ79山崎啓明『NHKスペシャル 盗まれた最高機密:原爆・スパイ戦の真実』(NHK出版、2015115日)は、本書の乱雑なダイジェスト版程度の代物だったことがよくわかる。

それにしても、最も重要な情報をソ連に提供した若き天才テッド・ホールが、戦後にソ連の暗号解読によりスパイと判明したにもかかわらず、それ以外に証拠がないと察して、冷静さを失わずに逃げおおせたのには妙に感心する(pp.307-9)。

 

94 山田英春編 『美しいアンティーク鉱物画の本』 創元社、2016720日、1500円+税  [注×文×索×]

19世紀初頭から1930年代の博物学書、図鑑、百科事典などに掲載されていた鉱物画を集めたもの。ただB6判の本なので、せっかくの図版がどれも小さい。巻末に図版データとして、一つ一つを和名で記してあるのは助かる。

 

95 モリー・グプティル・マニング/松尾恭子訳 『戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊』 東京創元社、2016531日、2500円+税  [注◎文×索○]

Molly Guptill Manning, When Books Went to War: The Stories That Helped Us Win World War II, 2014

※アメリカでは最初に戦地の軍人向けに図書を寄贈する運動を行ない、それが不要な書籍の集まりになってしまったために、特別製の軽量・小型のペーパーバック(大半はホッチキス止め)の兵隊文庫が大量に作られ供給された。1322点、12000万冊にのぼる。このシリーズがこれまで読書経験の乏しかった若者を知的に目覚めさせ、戦後の就職や学業へ進む際に大いに力になったという。本書ではナチスの焚書に対抗してさまざまな種類の本を提供したというストーリーになっているが、むしろ兵隊の無聊を慰めるのに最も役に立つ役割だったというところだろう。<甚だしい士気の低下を確実に防げるのは、兵隊文庫しかなかった。>(p.212)それにしてもサイパン島を占拠すると4日後には兵隊文庫が送られてくるなんてやはり凄い(p.157)。巻末に付録Bとして「兵隊文庫リスト」が載る。2002年~03年に7点が同じ体裁で復刊されたらしい。

 

96 池上英洋 監修・著、深田麻里亜 著 『あやしいルネサンス』 東京美術、2016730日、1600円+税  [注×文△索○]

※「あやしい生きもの」「あやしい女たち」「あやしいからだ」「死のあやしさ」「あやしいキリスト教」の5章に分けて、ルネサンス期における現代の目からは「あやしい」と映る(主に)絵画を紹介。解説はごく簡単であまり内容がない。

 

97 吉野孝雄 『外骨戦中日記』 河出書房新社、2016530日、2000円+税  [注×文×索×]

※宮武外骨の昭和199月から212月までの『日記』を紹介。メモ的な記録から、その時々の外骨の動向を推測する。『絵葉書類別大集成』の写真は何点か掲載されているが、それ以上に『日記』本体の写真を掲載すべきでは? ページ数とかサイズとか書誌情報が欠落。例えば井上和雄の『控帳』(p.57)や、同『杉並日記』(p.108)、井上の長女・美子の題不明の回想記録(p.107)等々、引用した文献くらいきちんと書誌情報を表示すべき。

 

98 早川タダノリ 『「日本スゴイ」のディストピア:戦時下自画自賛の系譜』 青弓社、2016630日、1800円+税  [注×文○索×]

1925年ごろから45年までに刊行された「日本スゴイ」本を紹介。基本的には、<「やればできる!」という軍国コーチングにほだされるのも、現在の「日本人スゴイ」本に気持ちよくなってしまうのも、恣意的に誘導された勘違いという点では似たようなものなのだろう。遺伝学と統計学にナショナリズムが結合した奇怪な読み物は、いまも新たに刊行され続けているのである。>(p.73)というのが本書の結論。

 

99 森昭彦 『身近にある毒植物たち:“知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み』 SBクリエイティブ、サイエンス・アイ新書、2016625日、1000円+税  [注×文△索△]

※トリカブトのように毒植物として有名なものばかりでなく、普通に食べている野菜や、園芸品種などでも毒があることには驚く。自然のものなら安心・安全と錯覚している人達ほどではなかったのだが。巻末の参考文献に載っていない文献が本文中に頻出すれど、著者名と年次のみなので、文献名がわからず。

 

100 岡西政典 『深海生物テヅルモヅルの謎を追え!:系統分類から進化を探る』 東海大学出版部、フィールドの生物学202016530日、2000円+税  [注×文○索○]

※珍しい生物に出会いたいという気持ちから、クモヒトデの分類にはまり、研究者となってしまうビルドゥングス・ロマン。実に詳しく研究のいろはから書いてくれているので、とても面白い。研究のスタートは文献をひたすらコピーすること。これがボディブローのように後からじわじわ効いてくる(p.23)わけだ。これが素人と研究者の違いの一つだろう。

なお、本文中に文献表示があるものの、巻末の引用文献に未記載のものが結構あった。記載漏れなのか、孫引きなので記載に当たらずということか。

 

■2016年映画鑑賞メモ(8月)

今年の1月から7月までの7か月間分では104本(月平均14.8本)。8月は11本なので通算115本。

 

便宜的にほぼ見た順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、見たすべてではない可能性もある。

邦題はTV放映時のタイトル。原題はWikipediaによる。なお、ストーリーその他詳細についてはWikipediaなどを参照してほしい(Wikipediaに立項されていない作品については、適宜参考となるサイトを示した)。アメリカ映画については特記しない。TVのみの映画もしくはドラマ・スペシャルは*。

なお、いつも録画したうえでCMを飛ばして見ているので、放映された月ではないことも多い。

 

8月

 

105 「ボディ・ターゲット」1993年 原題:Nowhere to Run Wikipedia

Wikipediaにあるように、「シェーン」の現代版ともいうべき作品。護送車から逃亡した囚人サム・ギレン (ジャン=クロード・ヴァン・ダム)が、土地開発のために立ち退きを要求されていた、農場を経営する若い未亡人クライディー(ロザンナ・アークエット)に助けられ、納屋を貸してもらう。クライディーに惚れていた保安官にサムは痛めつけられてしまう。背中を思いきり殴られたはずなのに、なぜかクライディーはサムの胸を冷やしているのだが。疑似家族を守るというハリウッド映画のよくあるパターン。最後、ハッピーエンドと思わせて、潔く保安官に逮捕される。


106 「ゴジラ」1984年 Wikipedia

※ゴジラシリーズの第16作で、第1作ゴジラから30年ぶりに東京を襲ってきたという設定。スーパーXといった怪しげな秘密兵器を出したりしなければもっとましな展開になっただろう。それにしても冒頭にだけ登場したフナムシの化物(ゴジラに寄生していたフナムシが、ゴジラの放射性物質を浴び続けたことで巨大化したという)を、後半でも出せば面白かったかもしれないが。


107 「ゴジラFINAL WARS2004年 Wikipedia

ゴジラ生誕50周年作品。ゴジラシリーズに出ていた怪獣たち総出演らしいが、とにかくストーリーは杜撰で、俳優は学芸会並みの演技だし、お粗末極まりない。20年前の106の方がまだましだった。


108 X-MEN:ファイナル ディシジョン」2006年 原題:X-Men: The Last Stand Wikipedia

※「X-MEN2」の続編。前作で死んだはずのジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)が生き返って、その存在が重要な駆け引きの対象になるようなのだが、うまく活かせていない。人格が入れ替わるのが明確でないせいか。最後のアルカトラズの研究所を襲うマグニートーたちと行動を共にするのに、ただ破壊するだけ。また、ミュータントを人間にする薬「キュア」に対してX-MENたちがどう対処しようとしているのか判然としない。だからどうしてX-MENたちがマグニートーたちに対抗して人間側について闘っているのかよくわからない。


109 「ウルヴァリン:X-MEN ZERO2009年 原題:X-Men Origins: Wolverine Wikipedia

※ウルヴァリン誕生を描く。ローガン(ヒュー・ジャックマン)が、隕石の金属「アダマンチウム」によって骨格を強化する身体改造をされてウルヴァリンとなり、逃げだすのだが、それはどこだったのだろうか? 恋人を殺したビクター(リーヴ・シュレイバー)を追って、ストライカー(ダニー・ヒューストン)の実験施設「島」へ行くのだが、どうやらそこではなかったようだ。それにしても「アダマンチウム」は壊せない金属らしいが、骨格に入れたり、剣にしたり、銃弾にしたり、結構可塑性があるみたい。


110 マライアと失われた秘宝の謎英 2013年 原題:The Adventurer: The Curse of the Midas Box 〔映画.com

※退屈な展開。誘拐された弟が地下で穴掘りとして酷使されているのだが、どうして夜中に外に出てこられるのか。なぜ悪者ルガー(サム・ニール)は、目指していた「ミダスの箱」という、中に入れれば何でも黄金に変えてしまう箱を目の前にして、マライア兄弟二人だけで取りに行かせるのか。逃げ遅れた弟が水攻めに逢うのだが、なぜか「ミダスの箱」のあった部屋の真上は鉄格子状になっている。ということは誰もが足元に「ミダスの箱」が見えていたわけなのに、誰も気づかなかったのか。


111 「ファイナル・カウントダウン」1980年 原題:The Final Countdown Wikipedia

※原子力空母ニミッツが突如真珠湾攻撃の前日にタイムスリップ。日本の空母攻撃という歴史改変の直前で、元の時代に戻る。ストーリーは凡庸だが、空母からの飛行機の離着艦シーンは迫力ある映像。


112 「アイ,ロボット」2004年 原題:I, Robot Wikipedia

2035年、サイボーグ化されているスプーナー刑事(ウィル・スミス)が、USロボティクス社のロボット心理学者のカルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)の助けを得て、新しいロボットNS-5型はロボット三原則が破られていると確信。NS-5型ロボットの反乱を見て、その元凶であるUSロボティクス社のメインコンピュータ「ヴィキ」を破壊。しかし、最後に危険とされて集められたNS-5型ロボットが見つめているのは、NS-5型ロボットをさらに進化させたサニーという名のロボットだった。なかなか楽しめる出来栄え。


113 「ポセイドン・アドベンチャー21979年 原題:Beyond the Poseidon Adventure Wikipedia

※残念ながら前作を見ていないが、本作はストーリーもないような駄作。


114 「オブリビオン」2013年 原題:Oblivion Wikipedia

※冒頭から、地球上での異星人監視を行っているジャック・ハーパー(トム・クルーズ)が、何やら思わせぶりな夢を見ているところで、途中の展開も想像できてしまう。ともあれ、ジャックの乗る偵察ポッドや、スターウォーズ風の追跡劇(こちらは球形のドローンとの対戦だが)はきれいに作られている。オートバイ風の乗り物は進歩しておらず、冴えない。60年前に切り離した宇宙船がどうして長い間宇宙空間をさまよっていたのか不思議だが。


115 「マキシマム・リスク」1996年 原題:Maximum Risk Wikipedia

※ニースの刑事アラン・モロー(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は殺害されたミカエル・スヴァロフが瓜二つだったことから、ミカエルの秘密を探るべくニューヨークへ行く。ミカエルの恋人アレックス(ナターシャ・ヘンストリッジ)とともに、裏切ったミカエルと勘違いしたマフィアから狙われる。さらに腐敗したFBIはなぜかミカエルでないことを知りながら襲ってくるのだが、なぜ双子のことを知っているのか?


■2016年読書メモ(8月)

今年の1月から7月までの7か月間で76点。8月は15点だったので、通算91点(月平均11.4点)。依然としてこれまでの平均値(16.5点)より大幅に少ない。映画ばかり見ているためか。

便宜的にほぼ読了した順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、読んだすべてではない可能性もある。なお、一応巻頭から奥付まで目を通したもののみとする。

 

記載方法は、かつても記したことがあるので、こちらを参照されたい。



8月

 

77 常盤新平 『翻訳出版編集後記』 幻戯書房、2016617日、3400円+税  [注△文×索×]

※著者が1959年から1969年までの約10年間在社した早川書房で翻訳出版を担当した思い出話が、1977年から1979年の2年半《出版ニュース》に連載され、ようやく本となる。内容的・時間的に錯綜していたり、繰り返しが多くても、著者が2013年に亡くなっているので整理すること無く、わずかに注記で補う程度の編集と思われる。それにしても、頻出する『ゴッファーザー』のような誤記は何とかならなかったものか。

一号雑誌で終わってしまった《ホリデイ》のことは、くどくどと何度も出てくるのだが、その2年後(1963年)に《エラリイ・クィーンズ・ミステリ・マガジン》の編集長になったことには全く触れず。退職の理由も曖昧なので、巻末に解説「「後記」の後期」を書いている宮田昇が遠回しに書いている(pp.312-4:『新編 戦後翻訳風雲録』に退職経緯が触れられている由)。

 

78 【仕事関係につき省略】

 

79 山崎啓明 NHKスペシャル 盗まれた最高機密:原爆・スパイ戦の真実』 NHK出版、2015115日、1600+税  [注×文○索×]

201511月に放送された番組の取材から本になったもの。<核の機密を独占しようとするアメリカの諜報組織アルソスと、それを奪おうとする原爆スパイたち。その終わりなき闘争が本書のテーマ>(p.236)。なかでもソ連へ最高機密情報を大量に提供したのが、マンハッタン計画最年少の天才科学者セオドア・ホールだった。18歳でハーバード大学を卒業後、軍にスカウトされ、プルトニウム型原爆の開発に携わった(p.99)。ホールはアメリカが唯一の核保有国となれば世界のパワーバランスを一変させてしまうから、アメリカと敵対するソビエトも原爆を持てば勢力は均衡し、平和が守られると考えて、スパイとなった(p.190)。これによりソ連はアメリカの情報を得て一気に核開発に追いつく。ホールはヴェノナと呼ばれたソ連暗号解読計画でスパイであることが露見したが、FBIの尋問に口を割らず有罪にはならなかったようだ(p.230)。

あちこちに取材し、資料を見ているようだが、いかんせん詰めが甘く、上っ面だけで肝腎なところが曖昧なまま。緻密な記述であれば遥かに面白い内容となったであろうが。

 

80 とみさわ昭仁 『無限の本棚:手放す時代の蒐集論』 アスペクト、201641日、1480円+税  [注×文×索×]

※子供の頃からコレクター志向。ただし、一時的に熱中しても、それを上回るコレクターがいたり、ゴールがとても手が届かないと見極めると、一気に手を引いてしまう。<集めては飽き、飽きては集め>(p.70)るの繰り返しだ。しかし、著者の凄いところは<チェックリストを作らない者はコレクターじゃない。>(p.122)というところだ。<何かを集めようと思ったら、ぼくは最初の一個を手に入れるより先に、まずはエクセルでチェックリストの作成をはじめる。コレクションはそこからスタートするのだ。>(同)すなわちあるジャンルにおいて蒐集すべきものの一覧を最初に用意して、あとはひたすらチェックボックスを埋めるだけだ。そしてコレクターを物欲派と整理欲派に分類し、<整理欲派のコレクターは、本質的には「物体」には関心がない。集める行為だけが好きなだけで、集まったものには興味が向かないのだ。>(p.148)だから、物を集めず情報だけを集める「エアコレクター」なるものを提唱する(p.149)。

 

81 宮下志朗 『カラー版 書物史への扉』 岩波書店、2016526日、2700円+税  [注×文×索×]

20081月から201412まで岩波書店のPR誌《図書》の表紙に掲載された、書物にまつわる短文をまとめ直したもの。写本あり、揺籃期本あり、メモ帳あり、ビラあり、富山の薬袋ありで、掲載されたものの多くは大変興味深いのだが、あまりにも断片的・エピソード的で、<書物や文学の歴史をさまざまな側面から照射>(p.185)できたかどうか。なお、pp.166-7に掲げられている鈴木信太郎・渡辺一夫訳『サン・ヌゥヴェル・ヌゥヴェル:ふらんす百奇譚』(洛陽書院、1949年)の第1巻だけは老生も所有している。この本は唯一鈴木・渡辺の共同作業による唯一の装幀とのこと。

 

82 礫川全次 『雑学の冒険:国会図書館にない100冊の本』 批評社、2016610日、1700円+税  [注×文×索×]

※冒頭で「なぜ、国会図書館にない本を問題にするのか」で予防線を張っているが、どうも「アカデミックな知的空間」との対抗軸としての「在野の知的空間」を重視し、それが位置する雑書の世界を示さんがためとしか思えない。私家版・非売品などを除いても国会図書館にない本など膨大にあるだろう。しつこいぐらいに「なぜ○○が国会図書館に架蔵されていないのかは不明です」といった文が現われるが、今発行されたばかりの本ならいざしらず、かなり以前の本が架蔵されていない理由などわかるはずもないだろう。

 

83 中右 瑛監修 『浮世絵でみる!お化け図鑑』 パイ インターナショナル、201679日、2200円+税  [注×文△索×]

※英文併記の本で、タイトルもSomething Wicked from Japan: Ghosts, Demons and Yokai in Ukiyo-e Masterpiecesと併記されている。そのために各作品の解説は短くなり、ややわかりにくい箇所もある(テキストは山本野理子)。ほとんどの作品が拡大部分図と全体図(見開きも多い)を出しているので、240ページあってもさほどの点数は掲載されていない。月岡芳年の作品が多い。

 

84 明星聖子、納富信留編 『テクストとは何か:編集文献学入門』 慶應義塾大学出版会、20151030日、2200+税  [注◎文◎索○]

※<〈正しい〉テクストとは何か。その正しさを支える信頼は、どう形成され保持されるべきか。>(p.x)――このような<テクストの信頼性を担保する営み>(同)を編集文献学という。プラトンや新約聖書といった古典をはじめ、チョーサー、ゲーテ、ムージル、フォークナー、カフカらの文学作品、ニーチェの哲学作品、シェイクスピアの戯曲、ワーグナーのオペラ、こうした人口に膾炙したかのような作品ですら、実はそのテクストは決して確固たるものではない。それぞれのテクスト成立の略史を読むと、<流布するテクストの編集根拠や原則が何なのか。>(p.246)を常に念頭に置いて、情報を扱わなければならないことを知る。しかし、旧来の文献学の基本的な考え方――すなわち、<失われた唯一のオリジナルへと向かってゆく伝統的な樹形図的校訂のみならず、それに反対してベディエが提唱した、最良の写本を1つ選んで校訂する「最良写本」法も、現存するヴァージョン間に優劣をつけて、ヴァリアントを周縁に追いやっていることに変わりはない>(p.88)として否定され、<現在の編集文献学においては、「本文」と「ヴァリアント」を分けるという方法に疑問が付され、すべての草稿をそのままの状態で提示するべきだ>(p.121)とまで主張されている。ここまでくれば編集を放棄した「編集」文献学とでも言おうか。

*本書を読んで気になった本。

●ピーター・シリングスバーグ/明星聖子、大久保譲、神崎正英訳『グーテンベルクからグーグルへ:文学テキストのデジタル化と編集文献学』慶應義塾大学出版会、20099月、3200円+税

●ルー・バーナード、キャサリン・オブライエン・オキーフ、ジョン・アンスワース編/明星聖子、神崎正英監訳/松原良輔、野中進訳『人文学と電子編集:デジタル・アーカイヴの理論と実践』慶應義塾大学出版会、20119月、4800円+税

●小森陽一・他編『岩波講座・文学』第1巻、テクストとは何か、岩波書店、20035月、3400円+税

 

85 リンクアップ+グラフィック社編集部編 『伝わるインフォグラフィックス』 グラフィック社、2014725日、2400円+税  [注×文×索×]

※全くの作例集。ほんの申し訳程度に説明らしきものがつくが。

 

86 原田治、平田雅樹、山下裕二、ほか 『意匠の天才 小村雪岱』 新潮社、とんぼの本、2016630日、1600円+税  [注×文△索×]

※《芸術新潮》20102月号特集「小村雪岱を知っていますか?」を増補したもの。著者名は便宜上奥付に合わせたが、実質的には編集部が大半のコピーも書いている模様。ほとんど小村雪岱を知らなかったので、とても面白く読めた。

 

87 早川いくを 『へんな生きもの へんな生きざま』 エクスナレッジ、201581日、2800円+税  [注×文×索×]

※タイトルそのままに「へんな生きもの」を集めた写真集。どうでもいいようなコメント付きだが、巻末に極端に小さい文字で掲載された生物の学名、科目、簡単な説明などを記す。ただノンブルがノドの奥に小さく入っているため、ページを参照しづらい。

 

88 小島道裕 『洛中洛外図屏風:つくられた〈京都〉を読み解く』 吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、201641日、1700円+税  [注×文◎索×]

※多数ある洛中洛外図屏風を総括して全体図を見せてくれる。とりわけ室町幕府が描かれた「第一定型」と呼ばれる初期洛中洛外図屏風(歴博甲本、東博模本、上杉本、歴博乙本)について政治的背景、都市風俗などを詳しく説明。その後江戸期に入ると、二条城が左隻の中心に描かれる「第二定型」が定石となるが、<権力者が「自らの都市」を描かせようとしたものと、京都の外部にいる人間が京都の様子を知りたい、手元に置きたい、という欲求に基づいて描かれたもの>(p.137)と二分化していく。もっとも洛中洛外図屏風の最盛期は寛永年間のごく初期までで、それは<「都市建設の時代」において、京都が最も先進的で発展した都市であった>(p.193)ためであった。その後人気がなくなるが、元禄頃から嫁入り道具としての需要、あるいは名所絵としての利用がなされていき、量産されたことを概括する。後半はやや駆け足気味。縮小されたモノクロ図版では屏風に描かれたものが判然とせず、大判の図録か画集を見ながらでないとわかりにくい。

 

89 木村博之 『インフォグラフィックス:情報をデザインする視点と表現』 誠文堂新光社、2010828日、2800円+税  [注×文×索×]

※大半の事例が自身の作例であるため(他者の例の明示が乏しいのだが)、大変具体的な制作の紹介となっている。本書において、インフォグラフィックスの構成要素を、ダイアグラム、チャート、表、グラフ、地図、ピクトグラムに分類し、それぞれの特性や着眼点、作り方などを詳述している。完成したものでは気づきにくいポイントも当時のラフスケッチなどを掲載して、実に丁寧にガイドしてくれる。

 

90 鈴木雅彦・鈴村嘉右 『データビジュアライゼーションのデザインパターン20:混沌から意味を見つける可視化の理論と導入』 技術評論社、2015520日、2580円+税  [注×文×索×]

※例示は主にダミー原稿による作例。紙上でのデータの可視化も可能だが、本書ではWEB上での可視化に重点。

 

91 稲葉千晴 『バルチック艦隊ヲ捕捉セヨ:海軍情報部の日露戦争』 成文社、2016330日、3000円+税  [注◎文◎索○年表◎]

※実に史料をよく調査してあるし、バルチック艦隊が出港してから日本に接近するまでの停泊地を訪れて足で調べてもいる。20世紀初頭での通信の実態もわかったし、この時代の諜報活動の限界も納得。「第3章 日英同盟の諜報協力  3 海軍武官暗号――イギリス暗号技術の導入」(pp.80-85)では、日本海軍は日清戦争後アルファベットのコード表暗号をイギリスから導入したが、すぐに日本語のコード表に作り替えた。しかし、海軍は外務省にもこの暗号システムを提供したが、外務省は英語のコード表を使ったために容易に解読され、パリで電報を傍受された上、解読文をロシアに提供されていたのだった。巻末に月日を明記した年表を付す。

 

■2016年読書メモ(7月)

今年の1月から6月までの6か月間で60点。7月は16点だったので、通算76点(月平均10.9点)。依然としてこれまでの平均値より大幅に少ない。映画ばかり見ているためか。

便宜的にほぼ読了した順に通し番号を付しているが、メモし忘れたりしているので、読んだすべてではない可能性もある。なお、一応巻頭から奥付まで目を通したもののみとする。

 

記載方法は、かつても記したことがあるので、こちらを参照されたい。



7月

61 田崎健太 『電通とFIFA:サッカーに群がる男たち』 光文社新書、2016220日、760円+税 [注×文△索×]

※テーマとしてはいいタイミングなのだが、切り込みが甘く、結局電通でスポーツビジネスを牛耳っていた高橋治之への取材も腰砕け。電通はスポーツマーケティングの会社・ISLを合弁で設立するが、IOCの人間たちへの賄賂といった<汚れ仕事をやってくれるISL社は都合のいい存在だった。>(p.168)と書くだけで、電通を無罪放免としてしまう。昨年読んだアンドリュー・ジェニングス『FIFA 腐敗の全内幕』(文藝春秋、15.10.30)はきちんと情報ソースを明示しているが、本書では曖昧でしかない。

 

62 デイヴィッド・トゥーミー/越智典子訳 『ありえない生きもの:生命の概念をくつがえす生物は存在するか? 白揚社、20151230日、2500円+税 [注◎文◎索○]

David Toomey, Wired Life: The Search for Life That Is Very, Very Different from Our Own, 2013

※「ありえない生きもの」を本文中では「奇想天外生物」としているが、極限環境に生きる生物から始まって、そもそもの生物の起源に遡る(いままで超怪しげな説と思っていたパンスペルミア説にようやく納得)。ケイ素生物やSFに登場するさまざまな生物たちはもとより、さらに多元宇宙やシミュレーション宇宙の生物の可能性に至るまで、幅広く探索する。あらゆる観点から生物とは何かを追究しているのだが、生物の定義は実に難しい。知的エンタテインメントとして素晴らしい本。

気になった文献は、

Margaret W. Robinson, Fictitious Beasts: A Bibliography, Library Association, 1961

Wayne Douglas Barlowe, Ian Summers, Beth Meacham, Barlowe's Guide to Extraterrestrials: Great Aliens from Science Fiction Literature, 2nd edition, Workman Publishing Company, 1987

 

63 田中辰雄、山口真一 『ネット炎上の研究:誰があおり、どう対処するのか』 勁草書房、2016425日、2200円+税 [注○文○索○]

※ネット炎上の参加者は、年収が高く、ソーシャルメディアをよく利用する子持ちの男性とする(pp.110-1)。さらに、炎上事件に書き込んだことのある人はインターネットユーザの1.5%であり、現役は0.5%、さらに相手に向かって直接攻撃を行う人は0.00X%のオーダーとする(pp.124-9)。これが2万人への調査による統計的な分析結果だ。パーセント表示にしてしまうとほんのわずかな人たちと思えてしまうトリックがある。だが、1つの炎上事件で書き込む人の数は数千人と見込まれる(pp.128-9)。これは決して少ない人数とは言えないだろう。一方で、攻撃者のプロフィールについては、かなり特異であり、コミュニケーション能力に難がある人たちとみなす(pp.142-5)。これは上記の統計とは全く別の先行文献の断片的な事例からでしかなく、統計と結び付けることは無理なのだが(<これはきわめて少数になるため、統計的調査は無理だ>p.142)、あたかも上記2万人の中から抜き出された攻撃者であるかのように読者をミスリードさせるべく配置されている。総じて著者らは炎上に関わる人々を少なく見せようとし、当事者への直接攻撃は<数人~数十人>(p.137)と見做したいようだ。

7章で受信と発信を分離したサロン型SNSを提案している。メンバーシップ制のサロンでの話題に対して、非メンバーである一般者は受信(読むこと)ができても発信(書き込み)はできない仕組みだ。しかし、本書p.55に掲げられた炎上事例の流れでは、<事例に気づいた人が、Twitter2ちゃんねる等のソーシャルメディア上に投稿(主に批判的な文脈で)し、拡散される。批判が集まり、炎上が始まる。><人気まとめサイトやニュースサイトに掲載され、多くのインターネットユーザが知るところになる。批判が大量に集まるようになり、大炎上となる。>ということなので、隔離されたサロンに直接書き込まれることさえ防げば炎上は避けられる、というわけにはいかないだろう。

些末だが<情報収集力の濫用への危惧は、映画「華氏451」のビッグブラザー以来、よく表明されている。>(p.167)は間違い。ビッグブラザーはジョージ・オーウェルの小説『1984年』に出てくる独裁者。ついでにp.174注1)に記載のある「村上(1992)」は巻末の参考文献に未掲載。

 

64 《芸術新潮》 20165月号、新潮社、特集=若冲:水墨ニューウェイブ、pp.14-85

※福士雄也解説「水墨でたどる革新者(イノベーター)若冲の軌跡」(pp.26-57)は、とてもわかりやすい若冲水墨画の解説。でも《四季花鳥図押絵貼屏風》(宝暦9年)などは画像を見る限り、雑な描き方で、下手な偽作としか思えない。金子信久「かわいい江戸の水墨画:若冲だけじゃないんです」(pp.72-83)は、何と言っても徳川家光の《兎図》! 意図してかわいく描いたわけではないだろうけど、一番のかわいさ。この絵を貰った家臣はどうしていいか困っただろうとは思いますが。

 

65 マーガレット・マクミラン/真壁広道訳 『誘惑する歴史:誤用・濫用・利用の実例』 えにし書房、20141225日、2000円+税 [注×文△索○]

Margaret Macmillan, The Uses and Abuses of History, 2008

※歴史を自己に都合の良いように解釈したり、都合のいい面のみを見たり。そうした誤用・濫用について述べたエッセイ。元々が講演だったせいか、本文には一切出典表示がないが、断片的な記述が多いので、注記すべきだった(原著にも注記がないかどうかは不明)。巻末にある「さらに読み深めたい方へ」の文献は、せめて邦訳のある本はその旨記すべき。たった2ページなのだから。

 

66 白水貴 『奇妙な菌類:ミクロ世界の生存戦略』 NHK出版新書、2016410日、780円+税 [注△文×索×]

※菌類は60万種とも150万種とも1000万種とも言われているくらいだが、同定されているのは約10万種にとどまる(p.42)。その生態は未解明なところも多いそうだが、動物でも植物でも航空機燃料でもプラスチックでさえ、食料にしてしまう。偽の花を作らせる菌がいるかと思えば(pp.100-1)、ゾンビアリにして地上25cmの菌の生長に都合の良い環境で死に絶えさせたり(pp.123-8)、罠を作って狩りをしたり(pp.128-132)、「ガンセル」という銃のような細胞から獲物目がけて「原形質」の弾が撃ち込まれたり(pp.132-4)、とにかく想像を絶するような活動ぶり。こうした菌類の生態を実に面白く描写してくれる。巻末「参考文献一覧」とあるが出典表示。

 

67 榎本博明 『中高年がキレる理由(わけ)』 平凡社新書、2016315日、760円+税 [注×文×索×]

※本文中で引用しているデータ類と、具体的な中高年がキレている状況説明とが、あたかも一致しているような書きっぷりだ。例えば鉄道係員への暴力行為の加害者が40代で20.1%、5018.4%、60代以上21.9%だが、10代・20代計で15.0%いるわけだ(p.21)。駅員に暴言を吐いている例をいくつか示したあと、<このような暴言を吐いている人物には、・・・たしかに中高年が多いように思う。>(p.23)と結びつけてしまう。さらに印象例を書き並べただけで何らの統計的なデータもなく、<キレる中高年が増えている>(p.40)と決めつける。そして、中年は<つまづきやすい人生の折り返し点>(第2章タイトル)であるし、これまでの人生を振り返って<「こんなはずじゃなかった」という思いの数々>(第3章タイトル)がストレスとなり、<そのために、ちょっとしたことで攻撃性を爆発させてしまったり、衝動に駆られてとんでもないことをしてしまったり、ということになりがちなのである。>(p.102)と結論付けてしまう。

 

68 溝口敦 『闇経済の怪物たち:グレービジネスでボロ儲けする人々』 光文社新書、2016420日、740円+税 [注×文×索×]

※ネットでの裏情報提供業者、出会い系サイト、デリヘルの経営、危険ドラッグの仕切屋、闇カジノのイカサマ・ディーラー、FXや仮想通貨販売業、六本木・関東連合の育ての親、純金インゴットの密輸入や振り込めなど特殊詐欺の首領、街場の顔役の9人が登場。冒頭と最後以外は仮名で登場。

 

69 大場裕一 『恐竜はホタルを見たか:発光生物が照らす進化の謎』 岩波書店、岩波科学ライブラリー、2016527日、1300円+税 [注×文△索×]

※発光生物のうち、陸上生物には少なく、大半は海で生活する生物だ。四足動物・植物・淡水魚は光らない。ルシフェリンとルシフェラーゼの反応と言っても一筋縄ではいかず、発光の仕組みは生物ごとに異なり、意外に全貌は解明されていないという。文章は大変読みやすく、うまく構成されている。難を言えば、発光生物がイラストで紹介されていたこと。モノクロ写真ではわかりにくいと思ったのかもしれないが、イラストも暗く、とてもわかりにくい。もしかすると著者の既刊本(『光る生物(DVD付)』学研プラス、2015年/『光る生きものはなぜ光る?』文一総合出版、2015年)で<美しく光る姿を堪能できる>からだろうか。なお、<発光する甲虫はまだこれからも新しく見つかる可能性はある。二〇世紀に入ってからも、・・・>(p.7)は「二一世紀」であろう。

 

70 金子信久 『日本おとぼけ絵画史:たのしい日本美術』 講談社ARTピース、201633日、2600円+税 [注×文×索×]

※明治以降はほんのわずかで、ほとんどは江戸期の絵画なので、「絵画史」というほどのものではない。64にも類似作品の紹介があったが(ダブりはなし)、禅画/俳画/南画や、かたち/苦い/素朴などのキーワードで「とぼけた味」の作品を紹介した軽い本。

 

71 マーク・アダムス/森夏樹訳 『アトランティスへの旅:失われた大陸を求めて』 青土社、20151210日、2600円+税 [注○文○索○]

Mark Adams, Meet me in Atlantis: My Obsessive Quest to Find the Sunken City, 2015

※アメリカのジャーナリストがアトランティスの謎を解こうと世界各地のアトランティス研究者(プロもいればアマチュアも)を訪ね歩く。調べてはいるのだろうが、とりとめもない取材がひたすら続く。とりわけ地図がないため、どの場所をアトランティスに比定しているのかわかりにくい。ちなみに、巻末「資料について」中、L. Sprague de CampLos ContinentsLost Continentsの誤記(p.380)。それにしてもこの項で挙げている文献には刊行年が表示されず、次の「参考文献」にはどれも刊行年表示がされているのはなぜか。

 

72 石坂泰章 『巨大アートビジネスの裏側:誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか』 文春新書、2016520日、830円+税 [注×文△索×]

※著者は元サザビーズジャパン社長。前半は売れる美術作品の特徴を描いたりして面白い。売れる美術作品は、<美術史における作家の評価、希少性、作品の質、知名度、来歴、歴史的背景、露出の少なさ、コンディション>(p.24)が高額になる条件のようだ。一方、評価される偉大な作家の条件とは、<技量、独創性とともに、その作家を抜きに後世の美術史を語れるかどうかが、その作家が美術史に残る作家となるかどうかの分かれ目となる。>(pp.70-1)という指摘は原則的には賛成だ。本書の中で一番面白かったのは、オークションの前に、<名画を「身体検査」する>(p.49)こと。偽作の検査や盗品・ナチス没収品のチェックが重要。後半は34ダニエル・グラネ、カトリーヌ・ラムール/鳥取絹子訳『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店、2015727日)と似た内容であるし、本書よりもはるかに詳細。なぜか本書の参考文献にはあがっていないが。

ケアレスミスがいくつかあり、例えば、<欧州では美術館の年間入場者数が七千五百万人で、テーマパークの六千人を上回る。>(p.189)は「六千人」だろう。

 

73 山根明弘 『ねこはすごい』 朝日新聞出版、朝日新書、2016228日、760円+税 [注×文○索×]

※行間スカスカのレイアウトなので、おそらく予定分の原稿量に達しなかったためか、どこもページ数をひたすら稼ごうと涙ぐましい。雑駁な記述に終始し、ねこのすごさは伝わらない。巻末の参考/引用文献では点数としてはそこそこ列挙しているが、これも1点ごとに1行空けるという贅沢ぶり。ただし引用箇所を明示していないので、役に立たず。

 

74 アンドリュー・ジンバリスト/田端優訳 『オリンピック経済幻想論:2020年東京五輪で日本が失うもの』 ブックマン社、2016318日、1600円+税 [注◎文×索×]

Andrew Zimbalist, Circus Maximus: The Economic Gamble Behind Hosting the Olympics and the World Cup, 2016

※オリンピックの経済的効果は全然期待できないのだし、儲かるという幻想がロサンゼルスから始まったに過ぎない。かろうじて儲かったロスの場合は既存のスポーツ施設を流用していたし、その後に開催したい都市とは条件が全く異なる。<IOCにとって問題なのは、一般の人々による抗議が起こると、政治家たちがオリンピックの開催は経済的にも政治的にも得策ではないのではないか?と我に返ってしまうことである。>(p.211970年代後半に立候補都市が減り、いままた次々と立候補取り止めの都市が続出している。手を挙げているのは独裁体制に近いところか、他にやるべきことをやらずにいる東京のような愚かな都市くらいなもの。<奇しくも、2012年にオランダ政府は調査のなかで、将来的に非民主国家だけがオリンピックを開催するようになるだろうと指摘していた。なぜなら、そうした国家だけが「大会開催に向けて権力と資金を中央に集める」ことができるからだ。>(pp.165-6、太字は引用者)その指摘通りのことが起きている。オリンピックに浮かれている大衆は、まさにパンとサーカスに踊らされているに過ぎない。<招致を後押ししているのは経済的な利益を得る人々、例えば建設会社やその労働組合、保険会社、住宅会社、融資を集める投資銀行家、そして弁護士たちや地元のメディア企業、ホテル、レストラン業などだ。>(p.71)「非民主国家」になりかかっている日本では、TV局と新聞社というマスコミ(一部の出版社も)がオリンピックのネタで儲かるがゆえに、その欺瞞性については一切目をつぶり、諸手を挙げて大歓迎だ。本書では、オリンピックが儲かるという幻想を短期的・長期的な視点で根拠がないことを明らかにする。いわんやIOCが念仏のように唱えている「遺産(レガシー)」などというものの嘘も暴いている。ちなみに<IOCの「ブランド保護に関するテクニカル・マニュアル」には、「立候補都市はマーケティング計画を支援するために、大会期間中および大会前の1カ月間すべての広告看板、都市の交通機関の広告、空港の広告などの管理が必要になる」と記されている。>(p.137)つまりすべての広告看板はスポンサー企業用に譲渡さなければならないわけだ。非スポンサー企業は皆このことをご存知なのだろうか?

 

75 クリストフ・ポンセ/豊岡愛美訳/ヒロ・ヒライ監修 『ボッティチェリ《プリマヴェラ》の謎:ルネサンスの芸術と知のコスモス、そしてタロット』 勁草書房、2016115日、2600円+税 [注◎文◎索○]

Christophe Poncet, The Choice of Lorenzo: Botticelli’s Primavera between Poetry and Philosophy

18世紀に成立したとされるマルセイユ版タロットの《恋人》のカードにおける二人の女性にはさまれた若者という構図が、《プリマヴェラ》のウェヌスとフローラの二神の配置と酷似しているとする。だが、15世紀初頭成立のミラノ版タロットでは、女性が一人(p.9)。二人目の女性が加えられた理由を15世紀の絵に求めるが、それがなぜ18世紀になって出現することになるのだろうか。女神フローラをシモネッタ・カターオネ、女神ウェヌスをルクレツィア・ドナーティに定めた後、二人を愛して叶わなかったロレンツォ・デ・メディチが、タロット《恋人》の中央にいる若者であり、《プリマヴェラ》で姿が描かれないのはロレンツォ自身が鑑賞者であるからと説く(p.82)。アクロバット的な論拠ではある。

フィチーノによるプラトン『ピレボス』注解やロレンツォの『自伝』、クリストフォーロ・ランディーノによるダンテ『神曲』注解などを緩用して、《プリマヴェラ》の各モチーフを分析したところは説得力がある。たとえば、メルクリウスが杖を伸ばしている仕草には、メランコリアの霧を追い払おうとしているとか(pp.106-8)。<はじめにプラトン主義者フィチーノが思想的な筋書きをしつらえ、そこに寓意家ランディーノが神話のような衣装を与えた。そして古代世界を模したこのルネサンス期のキリスト教的な物語は、ボッティチェリの絵筆によって現実世界における美のシンボルへとたちまちに変貌をとげたのだった。>(p.117)という本書末尾の結論にはうなずくところがあるが、タロットを持ちだした論証には無理を感じる。

注が原注なのか訳注なのか判然としない。どうやら出典を表示した原注の中に、邦語文献などを特記せずに追加した模様。巻末「参考文献一覧」中、パノフスキーの『イコノロジー研究』の翻訳版元版を「精興社1971年」としているが、明かに「美術出版社」の誤り。

 

76 永原康史 『インフォグラフィックスの潮流:情報と図解の近代史』 誠文堂新光社、2016210日、2800円+税  [注◎文○索○]

※インフォグラフィックスの歴史を、都市交通図や図解、統計表現などから現代のデジタル表現までを、数多くの事例を紹介することで俯瞰する。冒頭で、<20世紀後半のインフォグラフィックスは、ヴィジュアライゼーション(可視化)とストーリーテリング(物語化)の2方向に進んでいるようにみえます。>(p.10)と規定し、この二つの方向を例証していく。前者は定量化された情報を可視化するものであるし(p.111)、後者は具体的な絵によってコンテキストが瞬時に理解できるもの(p.66)、もしくは<図版に演劇的な振る舞いを与えることで、物語るように。わかりやすくインフォメーションする>(p.106)ものである。20世紀末にはリチャード・ソール・ワーマンによって<インフォグラフィックスが「理解のデザイン」として提示された>(p.112)という指摘は賛成だ。

毎ページ豊富な図版を掲載しているが、各見開きにおける図番号の並び方がわかりにくい(図キャプション原稿を作ってしまってからレイアウトしたためか)。誤記も散見される(例えば、p.26[註17]の図26-1,2→図24-3だし、p.78の「プレフェア型」は「プレフェア型」)。

 

 

 

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隠居生活続行中。

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